皮膚科医独身の ”こだわり” ブログ

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2007.09.16
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カテゴリ: 政策について
 元防衛庁長官 中谷元氏 の講演を聞かせていただきました。 『わが国の防衛のあり方について』 と題し、テロ対策特別措置法延長の話題にも触れられました。

 小沢民主党はテロ特措法の延長に反対しており、マスコミ報道でも明らかに自民党は劣勢ですが、中谷元氏のテロ特措法への真摯な考えをお聞きし、この考えを正々堂々と唱えれば充分に国民の共感が得られるのではと思いました。

 講演の要旨は以下の通り(テロ対策特別措置法関連部分)。



 その理由の第一は、世界の中での日本の役割を果たすため、9.11という人類に対するテロ集団の挑戦に対して、国際社会がその根絶を図るために国際連合決議をし、日本が主体的判断して決定したことであるからです。
 小沢民主党はテロ特措法の延長に反対しておりますが、これは日本の国益よりも党利党略を考えた自分たちのための議論であり、本当に国益を考えたことではないと考えます。テロ特措法は米国のことだけを考えたものではなく、日本自らの主体的なテロへの取り組みです。これを止める損失のほうが大きく、国益を考えると継続すべきです。小沢氏は根拠となる国連決議がないと言っておりますが、「安保理決議1368」が2001年9月12日に採択されています。これは9.11のテロを、米国のみならず人類全体に対する卑劣かつ許しがたい行為、国際の平和及び安全に対する脅威と認め、国連としてあらゆる手段を用いて闘うことを決意する非難決議を全会一致で採択しています。 決議は、冒頭で国連憲章に基づき、加盟国は個別的または、集団的自衛の固有の権利を持つことを確認し、テロ攻撃の実行者、組織者、支援者を法に照らして裁くために、全ての加盟国に共同して迅速に対処するよう強く要請しています。 安保理決議1267、1269、1333でも、国連はテロ行為への適切な措置を要請しています。
 この法律は単にアメリカのために支援している訳ではありません。現在、約20カ国がテロ撲滅のための「不朽の自由」作戦を継続中であり、またNATO全加盟国を含む37カ国が『国際治安支援部隊』に参加し、アフガニスタン全土で治安維持活動を行っています。さらに27カ国が『地方復興チーム』に参加しています。インド洋では『海上阻止活動』が行われており、我が国を始め8カ国が活動しております。我が国はこれまでに11カ国(米国、英国、イタリア、カナダ、ドイツ、フランス、オランダ、ギリシャ、スペイン、ニュージーランド及びパキスタン)に対して給油支援を行っております。
 私も防衛庁長官時代、インド洋上での給油活動を視察しましたが、高い技術と能力を要し、温度が50度を超える目玉焼きができる程の甲板の上で、砂塵に巻けず海上自衛官が懸命に給油活動に取り組んでいましたが、これは国際社会に対する目に見えた国際貢献です。
 日本の給油活動のおかげで海上阻止活動を行う各国海軍が1週間かけて、港に引き返す必要がなくなっています。大変感謝されています。

 第二に、我が国の中東政策への影響です。アフガンはロシア、中国、インド、パキスタン、中東の権益が衝突する地域であり、この地域から抜けることはこの地域の発言権を失ってしまいます。 我が国は石油の90%を中東に依存しており、インド洋の輸送船の安全確保の問題もあります。

 第三に、アメリカとの関係。同盟は自分に都合の良い時だけの関係ではなく、困っている時にともに助け合うことが真の同盟関係です。 今こそ日米同盟が真の同盟であるかどうかが試されています。

 第四に、日本の安全保障政策の信頼性の維持があります。この法律は国会での議決によって決定したものです。民主党は派遣そのものに反対していた訳ではなく、テロ対策そのものには反対をしませんでした。事実、派遣のための国会承認は民主党も賛成してくれました。政権が交代することにより、安全保障政策が不安定になるのは決して国家のために良くありません。

 第五に、今まで積み上げてきたことへの評価です。 今、テロ対策支援から手を引くことは日本の国家の権威を失い、国際社会の信頼を損なうことになりかねません。


 中谷元は、防衛大学校卒業という国会議員としては異色な経歴の持ち主です。 防衛大学校及び陸上自衛官出身者としては初めての防衛庁長官でした。 今日述べられた考えを正々堂々と唱えれば充分に国民の共感が得られるのではと思いました。





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最終更新日  2007.09.16 17:05:04
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共感を得ました。  
私です。 さん
皮膚科医独身さん、お久し振りです。私の住処に行く前によくここを経由させて頂いております。

さて、ポジティブに考えるなら、今こそ日本人が政治に
関心を持ち、日本と自分たちの将来を真剣に考え、政治に積極的に参加するチャンスなのではないかと感じてます。 そういうこの私も実感が湧かない部分もあるのですが、例えばこのテロ特措法に関して言えば、”防衛大学校卒業”という言葉から私の幼馴染を思い出し、検索してみると、なんと非常に重要な役割を担っていること
を知り、驚くと同時に、テロ特措法をより身近んに感じることにもなったのです。

しかし、残念ながら、どうしても普通の日常生活からは、国益まで考えたり、それを正しく理解できるとは限りません。だからこそ、まずわかり易い説明・情報は、不可欠と思います。

『日本の主体的判断と決定による目に見える国際貢献』
『50度を超える甲板の上での極めて難しい技術による
ロジスティックス』『11カ国の日本にとっても極めて重要な国々に対しての支援』『困った時にも助け合う真の同盟関係』果たして、これらのことに対して、なぜ反対なのか納得できる説明ができるのでしょうか。 

この国際貢献を継続することは、日本が工業製品だけでなく、文化・芸術面でも貢献し、更に誇りを持てる国になっていくための大切なステップ、試練だと思います。
今まで積み上げてきた評価を簡単に失っては、信頼を得ることは今まで以上に難しくなります。選択と集中が重要であるという観点からも、大切なことは何がなんでも守り抜かねばならないと思います。 (2007.09.16 22:12:36)

国益とは?  
椎名 さん
1)延長した際のメリット、デメリット。延長しなかった時のメリット、デメリット。国益という観点から具体的にお答え下さい。
2)給油活動を止めると国家の権威を失うとか、国際社会の信頼を損なうとか、貴方の説明には定性的な表現が多いですが、アフガン対策の全体像を国民は理解していません。給油がその全体の中でどれ程の貢献となっているのか、もう少し分かりやすく詳細をご説明頂けないものでしょうか?
3)最後に政権交代によって安保政策が不安定になるといわれていますが、具体的にはどういうことでしょうか?想像は出来ますが。。。以上
(2007.09.24 15:40:34)

Re:テロ対策特別措置法延長について 元防衛庁長官 中谷元氏の講演(09/16)  
WILD_TURKEY  さん
米国が米国の活動を国連活動とし認めてもらえば良いだけのこと。
米国が国連を軽視しているからこんな複雑な国際情勢を生む。
米国=世界でも世界一でもない。
そんなおごった国と簡単に同盟関係を重視しては見下げられ利用されるだけ。
対等関係をきずく為にも言うべきことははっきり言えば良いし、無理に複雑な部分を単にイエスノーで答える必要もない。
自民党は民主党より米国を説得するべきです。 (2007.10.06 03:56:34)

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