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May 9, 2005
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カテゴリ: 社会
 個人的諸事情で更新の間隔が非常にあいてしまった。
拙文をわざわざ読みに来てくれていた方には大変ご迷惑をおかけしてしまった事をまずお詫び申し上げたい。
また少しずつ思うところを書き述べていくので、呆れることなく見ていただければ幸いである。

 さて、文芸春秋から「日本の論点2005」という本が出ている。
昨年秋に出た本なのだが、税別2667円と少しお高く私は購入をためらっていた。
が、GWちょっといろいろなことで妙な時間が空いてしまい、それをつぶすためにもこの本を遅ればせながら購入したのだが「ああ、もっと早く買っておくべきだった」と非常に後悔した。
相反する思想についての小論文をこれだけまとめて読むことのできる書籍は少ない。思想の左右に関わらず読むべき本であろう。

 少し話がそれたが、この本の中で中川秀直氏が本稿の表題に使わせていただいた言葉を述べておられる。
http://www.nakagawahidenao.jp/  ←中川秀直氏の公式ページ

ご本人は政治の面に関してこのことを語っておられるが、これは政治の面だけに限ったものではないのではという視点から、以下該当部分を引用させていただき少し述べてみることとする。

<<ここより引用>>
(前略)
 五五年体制下、どちらかというと野党は、現実認識に欠け、理想論ばかりを主張する「すべき論」に偏り、かたや与党の本流の政治家たちは、逆に現実認識の枠内で可能な施策のみを行う「できる論」に偏るきらいがありました。前者を”書生的”というなら後者は”官僚的”です。
 しかし既に五五年体制が崩壊し、与野党の政権交代の可能性が出てきたいま、そういうやり方は通用しません。まして、一部メディアや政党、評論家に見られる部分批判だけの「だめだ論」は論外です。今強く求められているのは、理想の国家像をかたちづくるビジョンと、その理想を実現させるリアリズムを持つ政治家なのです。その資質には、将来を見通し、時代の精神を先取りしていく「すべき論」と、冷徹な現実認識に基づいて実現可能なことを行う「できる論」の間に身を置き、その緊張関係のなかで、あらゆるチャンスを逃さず戦略的に突破を図る力と、強い精神力が不可欠です。
(後略)
<<引用終わり>>
 出典『日本の論点2005』理想の政治家は「すべき論」と「できる論」の緊張関係のはざまで屹立する 中川秀直 より
(氏の論はこのあと自らの理想とする政治家や小泉政権、政治思想等について述べている)

 この「できる」「すべき」「だめだ」の3論は均等にそのバランスを取れば非常に素晴らしい効果を発揮する。
最も理想的な形は、ある事柄をダメであると認識し、こうすべきだという理想の下に、できる範囲からその理想を追うというスタイルであろう。

 では現代日本においてはこの3論のバランスはどうだろうか。
まず日本の状態を見てみれば、言論の自由は保障され、収入もまぁまぁ、しかし長引く不況は確実にその影を落とし、効率重視の社会は一部軋みを上げ始めている。海外に目を転じれば多くの国と安定した外交関係を維持してはいるものの、近隣諸国の一部には不安な動きが見られるとともに米国は孤立主義を深める傾向にあり、アジア地域の長期安定に関しては不安定要素が多いのが実情である。
この様々な状況の中で、多くの人が多くの事象に「だめだ」「すべき」「できる」を思索している。

 本来我が国のような民主主義社会において、万が一の政府の暴走や各種社会問題に対して何らかの安全弁として働くのは、国民個々の問題意識である。誰か個人あるいは特定の集団の持った問題意識が、より多くの国民の共感を呼びその結果として選挙等を通じて民意を反映させるのである。(村山政権発足の時代を思い描いてもらいたい)
 しかし、いわゆる左派的思考が中川氏の述べている「だめだ論」「すべき論」に偏りすぎたあまり、日本における本来最大の政治勢力たる「浮動票層」の共感を呼ぶことが不可能になってしまったのである。


 情報の入手手段が限定され一般国民の情報源が大手マスコミに偏っていた時代、新聞という勢力、TVという勢力は極めて大きな力を持っていた。それは発信する情報を恣意的に選別することで一般国民の思想の方向性を制御しえた。
 だが大手マスコミ間での意見の差異(朝日vs読売(又は産経))の明確化や、ネットの普及による情報入手手段の多様化がその時代に終わりを告げつつある。一般国民はあちこちにちりばめられた情報の断片を元に、自ら真実を推測しその推測を裏付けるべく更なる情報を求めた。大声で語ることが許されない雰囲気のあった様々な思想すらもネットの匿名性の庇護のもとで語ることが出来るようになった。
その結果、未来に対する改善・向上を求める人々は青臭い書生論にそっぽを向き、同じように目先の事柄に傾注しすぎた政府・行政にも疑問の目を向けている。

 現在の問題点を把握し、あるべき理想の未来をビジョンとして描き、そのビジョンに向け現実的に前進する。

 理想を語りそれを実現しようとするものは、現実を冷徹な目で認識しなければならない。
現実を理想に合わせた尺度で批判することは簡単である。それこそ部分批判の「だめだ論」を小児的に語るだけですむ。
だがそれでは誰の共感も得ることはできないのである。
 同様に現実という尺度で理想を推し量りそれを批判することも無意味だ。批判すべきはその理想ではなく実現手段を持たない、あるいは考えようとすらしない批判家・夢想家なのである。

 現実を理想という山の頂に押し上げる、その道筋と計画を示せる能力・識見がこれからの時代には必要になるだろう。
混迷する日本社会を新たなる発展に導くことが出来る、その能力を持った堅固な意思の持ち主の登場が待たれてならないのは果たして私だけであろうか。






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Last updated  May 10, 2005 12:47:50 AM
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