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Jun 1, 2005
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カテゴリ: 社会
 私からお願いし相互リンクを快諾していただいたNEKOZE氏のサイトにおいて、待望の新作のFlashが公開された。(暫定版だそうである)


 さておこがましくもNEKOZE氏のFlashについて一言語らせていただければ、氏のFlash最大の特色は事実と自らの思想をバランスよく配分しつつ、それでいてそのFlashを見るものに
「私はこの事実についてこう考える、あなたはどう考えるか、感じるか」
と、問いかけるスタンスにある。それはけして氏の思想・主張を押しつけるものではなく、今の教育では薄れてしまった「考える力」こそが全ての問題を読み解くための鍵なのだと語りかけているに他ならない。
そしてそのスタンスこそが、私は氏のFlashにおいて(技術・センスの高さももちろんであるが)最も貴重なものだと考えるのである。

 感動をおぼえる名作とはそれを見るものに「インスピレーション」を与えてくれる。そして氏のFlashもその例に漏れることはない。
今回、私が氏のFlashから得させていただいたインスピレーション、今回の日記ではそれについて述べてみたいと思う。
この日記を読む前にNEKOZE氏のFlashを全作、少なくとも最新作だけでも見ていただきたいと思う。いや、もしかしたらそれだけで私の駄文など不要になってしまうかもしれないのではあるが。


http://nekozemax.hp.infoseek.co.jp/

【以下本文】

 今回のNEKOZE氏のFlash、そこに出てくる「アイデンティティ」。印象的な音楽と写実と叙情を取り混ぜた画像により構成されるFlashの中、この単語がひどく私の目を引いた。最近では日常会話にすら用いられるようになったこの言葉の意味を辞書で引いてみると下のようになる。

○identity
【読み】アイデンティティ、アイデンテティ、【変化】《複》identities
【名】同一[本人]であること、自分自身、身元、身分、正体、独自性、(自己)同一性{(じこ)どういつせい}、個性、恒等(式)

 「日本としてのアイデンティティ」と言ったとき、おそらくそれは独自性・個性といった意味を中心に「日本が日本であること、またはそのための条件」を指すのであろう。その「日本」の意味は「日本国」なのか「日本人」なのか「日本民族」なのか、多くの人はその言葉の含まれる文章全体を読解し、その文脈に応じた意味を「日本」に当てはめる。短絡的な「主義の方々」は文脈に応じた判断をすることなく(出来ないのかもしれない、あるいは意図的にしないのか)機械的に判断するようだが、今回は彼らのような「例外」についてはあえて除外することにする。

 今の日本は、欧州各国、米国、中国などの諸国家と異なり、明確な国家、国民、民族としてのアイデンティティを持ってはいない。
いや、見失ってしまったと言うべきなのだろう。
第2次世界大戦は、日本が歴史の中で形作ってきた民族的な価値観を、西欧物質主義が打ちのめした戦いだった。
その敗戦と復興の過程で、日本はそのアイデンティティを全て否定することで自らに勝利した西洋文明を積極的に導入し、結果として世界有数の経済大国としての「日本」、かつての日本とは様々な意味で異なる国家を作り上げた。

 その否定した行為全てが間違っているなどと言う権利は、今を生きる我々にはない。
終戦後の荒廃を建て直し次の世代のために新生日本を作り上げるため、戦争を生き残った国民全てが味わった辛酸は想像するだに悲惨なものだったろう。戦いの中でインフラを破壊された瓦礫の中の国家から、しかもそれまでの価値観を外国の駐留軍にうち砕かれ失意のどん底に追い込まれながらも、くじけることなく今の経済国家日本を作り上げた先人達に感謝こそすれ、文句を言うことなど「誰にも」許されるものではない。
だが経済を追い、物質的利益を求め、戦後の荒廃から今の繁栄へと駆け上がるその過程の中で、何かが失われてしまったこともまた否定できない事実なのである。

 では私たちは新たな「戦後のアイデンティティ」を零から作り上げるべきなのか?

 作り上げられたアイデンティティを誇示する国家は既に存在する。

歴史的事実すらねじ曲げ、あらゆる事象を自己中心に解釈し、歪んだ顕示欲とプライドで自らを過大評価し、相手を貶めることでしか保てない「作り上げられたアイデンティティ」。
歴史という熟成過程を経ていない薄っぺらなアイデンティティなど、その国内でしか通用しないことは彼らを見ればわかる。
アイデンティティは一朝一夕で作り上げられるほどに軽いものではない。

 では私たちはかつての「戦前のアイデンティティ」をいま復活させるべきなのか?

 一部にそういった動きがあるのも理解できないではない。
だがそれは零から新たなアイデンティティを作り上げるのと同じ程度に愚かなものであることを理解しなければならない。
我々が望むと望まざるに関わらず、敗戦後60年という年月が流れた事実、そしてその間に日本も含めた世界の全てが変わり続けていた事実。これらを考えれば「戦前のアイデンティティ」が今の時代に完全に合致することがないであろうことは誰にでも理解できる。
アイデンティティの進化・変化にとって、60年の断絶の時間は時計を逆回りさせるには長すぎる。

 では私たちはどうすればいいのか。

 古きを訪ねて新しきを知るしかない。
かつての「戦前のアイデンティティ」を書物で知り、それを実際に知る世代に確認することができるこの時代こそが、断絶したアイデンティティの流れを元のあるべき形に戻すことができる最後の機会なのだ。
敗戦の破壊ののち急速に組み上げられた「今の日本の姿」と「戦前のアイデンティティ」を突き合わせ、60年の断絶さえなければ今ここにあったであろう姿を、あるべき姿を思索し模索すべきだ。
 そこに必要なのは左翼的な「旧時代の全否定」でもなければ右翼的な「旧時代への回帰」でもない。
全否定によるゆがみが今の日本に暗い影響を落としている事実を客観的に判断し、回帰するには時の経ちすぎてしまったアイデンティティからエッセンスを取り出し、その中から新たな時代のアイデンティティを「考え出す」。
全否定されてきた「戦前のアイデンティティ」の中には、当然今の日本にマッチするものもしないものも、必要とするものもしないものも混在しているはずだ。
また急激に組みあがった現代の薄いアイデンティティにも、当然見るべきものがあるはずなのだ。

 幸運にも、見失ってしまったとはいえ我々日本人の心の中には過去を偲び未来に思いを馳せるだけの度量が脈々と息づいている。
今こそ失われた60年のときを越えて、戦前の美徳と現代の美徳を併せ持った未来の日本のアイデンティティを作り上げなければならないのである。
過去をただ否定し自虐の中に閉じこもるのではなく、過去を見据えて取り込み、その上で未来を描く行為こそが必要なのである。

 最後に素晴らしいFlashを作り続けてくれるNEKOZE氏に重ねて感謝の言葉をお送りしたい。
お体に無理することなく、今後もご自身の満足できる名作をUpしていただけることを熱望し結びとする。





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Last updated  Jun 1, 2005 07:57:29 PM
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