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「サキさんにお荷物です」
「ん?
サキに...ですか?」
とりあえずサインをして、荷物を受け取った私は、 差出人 を見ました。
「●撃大王 編集部」
おお~~~っ
これは...
慌ててサキ(中3)にメール。
「例のアレ、ついに届いたよ♪」
それは、 サキの大好きな漫画家 の サイン色紙 でした。
●撃大王は、月刊誌。
どちらかというと、男性読者の方が多いと思われる漫画雑誌です。
読者の年齢層も、恐らく高校生年代以上が主流では?
自分のもらうお小遣いの中で毎月買うことはできないサキですが、付録の良いときなどには奮発して買っていました。
そしてその雑誌の中に、サキの大好きな漫画 『よつばと!』 の連載がありました。
その漫画の最後のページに、読者からの 投稿コーナー があります。
読者からのイラストが 毎月10点くらい掲載 され、
更に中の 1点だけ に 作者のサイン色紙 が当たるのです。
サキは、ずいぶん前にこのコーナーにイラストを送り、
見事 サイン色紙をゲット
大好きな漫画家の先生のイラストとサインに興奮していました。
その後しばらく経ったころ、サキは再びそのコーナーにイラストを送り、
またしても
作者のサイン色紙当選
という幸運をつかんだのでした
「サキ、この先生のサイン、前に一枚もらったよね?
どうしてまた送ったの?
サイン、もう一枚欲しかったの?」
と尋ねたところ、
「もしも次に当たったとしたら...
前のときと同じイラストがくるのか?
別のイラストがくるのか?
それを見たいと思ってね」
なるほど~!
そういうこと、私じゃ考えないけどね。
しかも、
2回も続けてイラストつきサイン色紙が当たる
なんて、あんまり思わないけどね。
でも本当に、
たった2枚の葉書を送り、2回ともサイン色紙をもらえるなんて、
やっぱりサキは運に恵まれていますね。
ところが...
その後、 いつまで待っても2枚目のサイン色紙は届かず...
「サイン色紙、来ないねぇ~~。
きっと先生、めちゃくちゃ忙しいんだろうね」
という会話すらしなくなり、
いつしか時は 一年以上 流れ、
私もサキも、 その色紙が当たったことすら忘れかけていました。
「●撃大王 編集部」
この名前を見たときに、何となく懐かしい気持ちで思い出した私。
すご~~~い
忘れてなかったんだ
こんなに遅くなっても、
ちゃんと送ってくれるんだ
帰宅したサキが、早速荷物をオープン
前回の色紙のイラスト はこれ。
さて、今回のイラストは???
ジャ~~~ン
はい。
前回とまったく違うイラストになっていました。
でも、サキの名前を書いて下さっている 文字の癖 は前回とまったく同じ。
「やっぱり、先生が書いてくれてるんだね」
よく見ると、前回同様、イラストの下書きの鉛筆の線が残っていたり、色を塗った部分が、ほんの少しにじんでいたりします。
「ほんとにこれ、ぜんぶ手描きなんだぁ」
「やっぱり絵が上手だねぇ~~
よかったね、サキ」
感激する私とサキ。
「ねぇ、ママ。
サキがこの色紙の中で、 一番感動したところ、
どこかわかる?」
「ん?
わかんない。
どこ?」
サキは、 サイン色紙をひっくり返し、 右下の隅 を指差しました。
「これ、見て」
何と、そこには...
こんなイラスト が描かれていたのです。
「これはね、
ササッと描いたメモ書きみたいに見えるかもしれないけど、
でもこれは、 サキだけのために描いてくれたもの なんだよ。
すぐに届いていたらこれはついてこなかったから、特別なものなんだよね」
あずまきよひこさんの漫画『よつばと!』は、とってもほのぼのとしている優しい漫画です。
あずま先生、本当に優しい人なんだなぁ~~
小さなイラストにこめられた先生のあったかい気持ちに、私も感動しました。
ありがとうございました
こうして、サキの宝物がまたひとつ増えました。
ひなたまさみ