短いストリングスのイントロに導かれて幕を開ける本作 "The Lexicon Of Love" ですが、収録曲中 "Tears Are Not Enough"、"Poison Arrow"、"The Look Of Love"、そして "All Of My Heart" と 4 曲ものシングル・ヒットを生んでおり、その他の楽曲もどれをとってもシングル・カットしてもおかしくない出来栄え。曲自体のクウォリティーの高さと同時に、プロデューサーたる Trevor Horn の意向がかなり反映されているであろうアレンジも見事で、ストリングス、ピアノ、サックス、女声コーラス、それら全てが効果的に配されています。David Bowie、もしくは Bryan Ferry 直系と思しき Martin Fry の、ナルシスティックでややくどいヴォーカルは好き嫌いが分かれそうですが、曲間が短くシームレスな作りになっているので、それこそアッと言う間に聴き終わってしまいます。
リアル・タイムで聴いている時には思いつきもしなかったのですが、先程書いた(タイトルのクレジットはありませんが) "Show Me" の冒頭のストリングスのオープニングに呼応するように、ヒット・ナンバー "The Look Of Love" の短いヴァリエーションで幕を閉じる構造、一曲一曲は 3 ~ 5 分程度にコンパクトに纏めてはいますがアルバム全体として起承転結を感じさせる流れ。これはニュー・ロマンティックやファンカラティーナを隠れ蓑に、Trevor Horn が「プログレッシヴ・ロック」の復権を狙った作品だったのじゃないか、と今は思っています。
【Track Listings】 01. Show Me 02. Poison Arrow 03. Many Happy Returns 04. Tears Are Not Enough 05. Valentine's Day
07. Date Stamp 08. All Of My Heart 09. 4 ever 2 gether 10. The Look Of Love (Part Four)