なかでもこの After Dinner は、本作に収められたライヴ作品の多くが海外での公演からの選曲であることからも窺えるように、日本よりも海外での評価が高く、むしろ国内においては知る人ぞ知ると言った存在でした。なにしろ「なに」にも似ていないのですから。褒め言葉(?)にしろそうでないにせよ、とかく「ストーンズみたいなロックン・ロールだよ」とか「ギターはマイブラみたい」などとついつい表現してしまう我々凡人とってはやっかいなグループです。洋楽の安易な焼き直しでないことはわかります。だからと言って「日本的」なのか、と問われるとそれはそれでちょっと困ってしまいます。
そんな彼女たちのエッセンスが詰まった作品が 1 曲目の "After Dinner" じゃないかと思います。テープ処理なのか変調された雅楽風バック・トラックの居心地の悪さと、無邪気に見えながらどこかしら不可解な部分が垣間見える大正期の童謡じみた歌詞、そしてそれらをなんなく包み込んでポップに纏めてしまうキュートなヴォーカル。深読みしようと思えばいくらでも深読み出来そうな音楽ですが、私にとってはとても中毒性の高い音楽でもあります。この CD を聴くと優に一ヶ月ぐらいは頭の中をグルグルと彼女たちの音楽が駆け巡るのです。特に、音の空間処理が印象的な "Shovel & Little Lady" や、ヒカシューの巻上公一氏と思しき男声ヴォーカルの素っ頓狂な合いの手が飛び出す "Cymbals At Dawn" 辺りはツボ中のツボ。会議中でもなんでもつい気を許すと口ずさみそうになっている自分に気付きます。
【Track Listings】 - After Dinner - 01. After Dinner 02. Sepia-ture 03. An Accelerating Etude
05. Shovel & Little Lady 06. Cymbals At Dawn 07. Glass Tube 08. Dessert 09. Sepia-ture II
- Live Editions(1986 - 1990) 10. A Walnut 11. Cymbals At Dawn 12. RE 13. Kitchen Life 14. Glass Tube
16. Ironclad Mermaid 17. After Dinner 18. The Room Of Hair-Mobile