まるで調和することを DNA が拒絶しているとでも言いた気な程に神経を逆撫でするヒステリックで不安定なヴォーカル、これでもかと言うぐらいに手数の多い吉田達也のドラムス、あたかも King Crimson のカヴァーを演奏する This Heat とでも言った趣のノイズとメロトロンが織り成すアグレッシヴなサウンド、或いは病的なメイクに女装といった倒錯的な北村昌士の外見などは勿論のこと、1985 年に登場するや否やわずか数年の間に 12 インチを含むシングル 5 枚、2 枚組を含むアルバム 5 枚にヴィデオ 2 本をリリースすると言う常軌を逸した過剰な露出戦略(?)など、話題には事欠きませんでした。ある意味インディーズ・シーンが生み出した稀有なトリック・スターとでも言った存在だったのかもしれません。
CD をスタートさせると、小さなヴォリュームでなにやらほのぼのとしたメロディーが耳に飛び込んできます。確か、これは "Mickey Mouse Club March"。と思うまもなく突然ギター、ベース、ドラム、それにメロトロンが渾然一体となった怒号のような音の奔流に飲み込まれてしまいます。これは単に静と動を極端に対比することで我々を驚かそうとするハッタリなのか。もしくは、エンターテイメント界において今なお隠然たる影響力を持ちながら無垢な仮面で真実の姿を覆い隠すディズニーに、"Amerika" と言う「正義」の国家を表象させているのでしょうか。そして、北村昌士が口にしているのはアメリカの「良識」、Simon & Garfunkel の "Scarborough Fair"、、、などと深読みしている時点で彼らのトリックに引っ掛かっているのか。
彼らの 1st シングル "ドグラ・マグラ" は、夢野久作の同名作から阿呆陀羅経の部分をそのまま引用したものでしたが、本作における 2 曲目もそれと同じく久作の『猟奇歌』からの引用。4 曲目 "To Be (帝国の逆襲)" では Steppen Wolf の "Born To Be Wild" の歌詞が切れ切れに聴き取れます。