オランダ・ベルギー(4)



展示室内を更に進んで行くと、待望のフェルメール作品が展示されていた。

ヨハネス・フェルメール(1632-1675)

 17世紀にオランダで活躍した画家である。レンブラントと並び17世紀
 のオランダ美術を代表する画家とされる。 生涯の殆どを故郷デルフトで
 過ごした。

 彼の作品は、完璧な静けさと平和な空気が満ち、優しい光が全体を覆って
 いる。 精神的な癒しを求める、多くの現代人に訴えかけるためか、近年
 フェルメール人気が日本を含め世界中に広まっている。

「牛乳を注ぐ女」(1658-60)

 オランダの伝統的な風俗画では、この絵のように身繕い(牛乳を注ぐ、手
 や顔を洗ったり、身繕いする)の構図は、女性の清さを象徴するための伝
 統的な構図である。

 フェルメールのもっとも著名な作品の一つで、壁、パン、籠、陶器などの
 質感描写が高く評価されている。画面右下の箱状のものは足温器。フェル
 メールの作品には女性像が多いが、働く女中を単独で表したものはこれ1
 点のみである。 この絵でフェルメールが表現しようとしたのは光と色の
 バランスや調和であろうか。

 衣服の鮮やかなブルーは、「フェルメール・ブルー」とも呼ばれる。この
 青はラピスラズリという非常に高価な鉱石を原材料とした絵の具を使用し
 ている。 フェルメールが亡くなった時、多額の借金があったといわれて
 いるが、このような高価な画材を躊躇なく使ったのが、その一因かもしれ
 ない。 

「青衣の女」(1663-64)

1847年、アムステルダムの銀行家アードリアン・ファン・デル・ホープが
 市に寄贈したもの。

 フェルメールの画業の最盛期である1660年代半ばに何点か描かれた、室内
 の女性単独像の1つである。画面向かって左から光が差す点は他の作品と共
 通しているが、他の作品と異なり、窓そのものは画面に描かれていない。
 女性は妊娠しているように見えるが、この当時の女性のファッションはふ
 くよかなシルエットが好まれ、厚手の綿の入ったスカートをはいているた
 めに妊娠しているように見えるのだという説もある。

※この絵とは、つい先日(2011.9.22)京都市美術館で再会している。アム
 ステルダムで見た絵を、再び京都で見られるとは感激である。 ただし、この絵
 は気が遠くなるような技法で、青衣の部分が修復されていて、日本で修復後
 初の公開である。 詳細は下記を参照して下さい。

青衣の女・修復 へジャンプ

『牛乳を注ぐ女』・フェルメール

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他の絵を見る

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『青衣の女』・フェルメール

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※参考 2011年9月22日、同上の絵を京都市美術館で再び見る。 ただし、
  青衣の部分を修復後、日本で初公開されたものである。 残念ながら撮影
禁止のためパンフレットを複写したものを掲載する。

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画像は上記のみ





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