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2017.12.03
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カテゴリ: 小説/物語
台所も玄関と同じようにひんやりとして静まり返っていた。

テーブルの上にはお茶碗に入ったご飯とサラダが置かれていた。
ご飯は確かめるまでもなく硬くて冷たい状態であることは、その色つやが私に教えてくれていた。

ガスコンロに目をやると、朝に母がぐつぐつと温めてくれていた場所にそのまま鍋が置かれてあった。
朝は完全にお鍋の湯の中に横たえられていたハンバーグの黄色い袋が、今はお鍋の縁に半分立てかけられていて袋の上部が鍋の上に出ている。
おそらく私が火傷をしないように、またお鍋からハンバーグの袋を取り出しやすいようにと母が配慮してくれたであろうことは小学1年の私にも想像できた。

そのお鍋の前に立った。
やはり家の中のどの場所とも同様にひんやりとした空気がそこにはあった。

鍋の上に出ているハンバーグの袋を指で触ってみる。


しかしその期待は一瞬で裏切られる。
袋は冷たい。

右手の人差し指と親指で袋を持ち上げる。
袋からしずくが鍋の中に流れ落ちる。
そのしずくからも、鍋の中の水からも全く湯気は出ていない。

右手で袋を持ち上げたまま、左手の人差し指で袋の中央部分を触ってみる。

冷たい。

その指で鍋の中の水を突いてみる。

氷のように冷たい。

鍋の側面に手の平を当ててみる。

痛さを感じるほど冷たい。


そのハンバーグを温めていてくれたあの鍋の中のお湯が、
そのお湯に熱を伝えるため、コンロから出る青い炎の上でこれでもかと言わんばかりの熱さを保持してくれていたあのお鍋が、

朝の出来事が無かったかのように、
少しでも温かさが残るようにと私のことを案じてくれた母の気持ちさえ無かったかのように、

それら全てが私を突き放すような冷さをまとっていた。





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最終更新日  2017.12.03 01:22:38
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