適当な日常

適当な日常

1.選択肢A


里美 「お互い大変だね……。 まぁ、がんばって♪」
晶  「うい、サトもな」

身長167cmのバレー部部長と別れ、俺は音楽室に向かう。
途中、ロッカーによって自分の楽器を取り出す。茶色のケースに入った、白銀の管楽器、トランペット。三期生にトランペットの奏者がいないため、俺がセクションリーダーを任されている。セクションリーダーはいろいろとあるので、早めに学校に来る必要がある。

晶  「ん……? クラリネット……?」

音楽室から、少し曇った、優しいクラリネットの音が聞こえてくる。ドアを開けると、音の曇りが取れた。扉の向こうには、ニット帽をかぶった少女が。

晶  「なぁたんか」
真梨 「あ、姫ー」

この呼び名も少人数しか使わない。あまり思い出したくない出来事があって、それにちなんだ名前だ……。

晶  「朝早くから一人で練習か。感心感心」

俺と頭一個分背の小さい後輩の頭を撫でる。

真梨 「姫~、今日帰り送ってもらってもいい?」
晶  「俺は今のところ予定とかないから良いが、弟君もか?」
真梨 「うん、お願いね」

楓雅家と七瀬家はとても仲が良かったりする。俺と真梨、もといなぁたん、も吹奏楽繋がりで仲が良い。最近はなぁたんとその弟を家まで送ることもしばしば。

晶  「なぁたんはかぁいいからいつでも送ってあげるよー」

といいながらなぁたんがかぶっていたニット帽を取る。

真梨 「あ! 返してよぉ~!」

そしてニット帽を持った手をうえに持ち上げる。それにともない、ニット帽を取り返そうと背伸びしたりピョンピョン跳ねたりするなぁたん。たまに少し下に下げると、その隙に跳んで取り返そうとする。その瞬間また上に持ち上げる。以下繰り返し。

真梨 「姫ぇ~……」

疲れ始めた頃、少し泣きそう、且つ起こった表情で俺を見る。これ以上やるとやばいわ。

晶  「本当になぁたんはかぁいいなぁ……」

ニット帽をまた被せて頭を撫でる。カウンターで胸を叩かれたが、あまり痛くはない。そして頬を膨らませてすねてしまった。

晶  「あぁ、ごめんごめん、からかいすぎたw」
真梨 「姫のバカー……」
晶  「Σ」

しまった、本当にやりすぎたようだ。えっと……、そうだ。

晶  「ほら、なぁたん機嫌直して。ほら、頼まれてたアニメ」

鞄の中からCDを一枚取り出す。それを受け取り、機嫌を直したようだ。本当に子供っぽい。(笑

晶  「んぁ、他の人たちきたっぽ。練習の邪魔して悪かったな」
真梨 「じゃ、また帰りにねー」

そして俺はパート練習に向かった

――A.選択肢 終――

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