適当な日常

適当な日常

1.選択肢B


里美 「そかそか。じゃあ暇なわけだ?」
晶  「そうなるな」
里美 「じゃあちょっと手伝って。少し人手がほしかったの」

言われるがままサトについていくと、そこは体育倉庫。

晶  「体育倉庫……? 二人きりでこんなところに来るなんてもしかしt」
里美 「バカ、違うってww それに二人きりじゃないし」

体育倉庫の古びた鉄扉を引いて開けると、中ではかわいいニット帽が動いていた。

晶  「なんだ、なぁたんか」
真梨 「あれ、姫もサトに捕まったの?」

ニット帽は、吹奏楽部の後輩のものだった。七瀬真梨、楓雅家と仲の良い七瀬家の長女だ。

里美「真梨は引き続きボールの点検してて。私と楓はこれを体育館まで」

サトが指したのは、バレーボールのネットを張るのに使うポールだ。

晶  「フム、今日の体育はバレーってとこか」
里美 「バレー部の備品だからさー、私が任されたのよねー」
晶  「こんなん、顧問の先生にやらせればいいのに。それもサト一人でやらせるとか、何考えてんだか」
里美 「先生たちも忙しいんだよ。それに、楓が手伝ってくれてるから大丈夫」

そういいながら、ポールの先端部分をよいしょ、と持ち上げるサト。

晶  「何本必要なんだ?」
里美 「えと、4コート使うから、八本」
里美 「楓は後ろのほうお願いね」

俺は言われたとおりポールの後ろのほうを持つ。

晶  「……これ結構重くないか?」

ポールを持った手にはずっしりと重みを感じる。

里美 「毎日のように運んでたら慣れちゃったよ」

うーん、部長は大変である。

里美 「……あっ!」

ふとした瞬間、俺の両手だけ強い重力を受けた錯覚を覚えた。いや、サトが手を滑らせてポールを落とした。落ちるその先は、サトの足。

晶  「でりゃぁぁぁ!」

渾身の力を込めて落ちるポールを止めようとし、さらに落下方向を右にずらす。
鈍い金属音が体育館内に響く。そして静寂。

晶  「……ふぅ、危ない危ない」
里美 「ごめんっ、うっかりしてて……。ありがとうね」
晶  「あんまり無理しないようにな」

ポールをセット、ネットを張り、最終確認。

晶  「っよし、こんなもんかな」

体育館にはバレーのネットが4つ立てられていた。
我らながら見事な仕事ぶり。

里美 「ありがとねー、このお礼はいつかするから」
晶  「いやいや、困ってる先輩を助けるのは後輩として当然ですよ」

紳士的にお辞儀をしてみる

里美 「あ、もうすぐ授業始まっちゃうね。私真梨呼んでくるから楓は先教室帰ってていいよー」

見ちゃいない。

――B.選択肢 終――

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