Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
January 11, 2010
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カテゴリ: 日々の日記
 ~ 空色の約束 ~



 とうとう約束の日が来てしまった。

私は、4年前の高校の卒業式の日に、ある後輩と約束を交わした。



 ~ 回想 ~


 私は、高校時代、品行方正で、先生や生徒から信頼があつく、隙のない生徒会長だった。

そんな私をいつも空の様に包んでくれた後輩がいた。

「...白石先輩!モンブランとダージリンティーです。」

「ありがとう。屋久君。いつも言っているけど、貴方の仕事は、これじゃなくて、こっちのデータを纏めることでしょ!!」

彼は屋久由岐君。一年生で、生徒会の書記だが、彼が煎れるコーヒーや紅茶は、喫茶店と匹敵するくらい美味しい。そして、ひと月の半分くらいの頻度で、彼はお菓子をよく作ってくれていた。そのお菓子はプロ顔負けの美味しさだ。





「麗しの姫君。こんな軟弱者の作る物なんて、後にしましょ!」

この気障な奴は、副会長で、福野豊。私と匹敵するほどの人気で、モテる。



 「...屋久君。ありがとう。今日中にデータを仕上げるから頑張って頂戴。あと、何が残っているの?」

私は、ケーキを食べながら聞く。

「...あと、これとこれです!」

渡された資料にサーと目を通し、指示を出した。

「...これのグラフを作って、私はこれを打ち込んで行くわ。」

こんなやり取りをしていた。



 卒業を間近に控え、引き継ぎ事項の書類を纏めながら思い出した。




 ー 回想 ー

夏に、副会長の福野君に呼び出された。



暑くて、苛々していた。

「言わなくても、判るだろ?姫。今日こそは、僕と付き合えたまえ!」

毎度、自信過剰な彼が嫌だった。溜め息を付いて、言った。

「...毎度、言うけど、無理!私は、貴方に興味ないし、理想から外れているわ!騎士みたいに護ってくれる人が良いの!」

「...またまた、照れちゃって!」



「...そこまでです!白野先輩が困っているじゃないですか!先輩、森先生が捜しておりましたよ!」

割って入って助けてくれたのが、書記で、剣道部の屋久君。元々、好きだった屋久君が更に好きになった。私は、逃げる口実が出来たと思い、その場を抜け出した。




 彼は、後から追いかけて来て、嘘だと告げ、謝罪し、何故か、私の騎士役を買って出てくれた。

棚から牡丹餅のようなら展開だが、かなり嬉しい出来事だった。

しかし、彼は、周りや私が見ても騎士と言うより、忠犬に近いと思った。


書類を纏め終わる頃、思った。

“私は皆のお手本になる模範生になれたかしら?これで、次は困らないかしら?”

そんなことを考えていた。すると、香り高いお茶の匂いがした。

「?」

振り返れば、にこやかに笑う少年がいた。

「...屋久君?!どうしたの?今日、生徒会はお休みでしょ?」

「先輩の姿が見えたので、声を掛けようと思ったのですが、あまりに集中していらっしゃるようなので、一緒にお茶でもと思ったのですが、迷惑でしたか?」

「迷惑なんかじゃないわ!//////」

柄にもなく、照れてしまった。

「...良かった。今日は、オレンジペコ(紅茶の品種)と後、デザートです。先輩、確かレアチーズお好きでしたよね?」

彼は言った。

「ええ、まあ...。」

「良かった。今日は、ストロベリーソースを掛けてみました。食べましょ!」

彼は、よく私の好みを把握していると思った。

「...ん!美味しい!流石ね。剣道部にしておくのが、勿体ないわ!」

「先輩に喜んで貰えて、光栄です!だけど、僕は土方歳三の様な、男らしく、強い男になりたいんです!」

「...そうなの。頑張ってね。」

彼とはタイプが違うなと思い苦笑い。

早速、ケーキを食べてみた。


「...ん!美味しいわ!残念だわ。もうすぐ、卒業して食べれなくなる。」

レアチーズケーキはかなり美味しかった。彼の煎れてくれる紅茶や作ってくれるお菓子が食べれないのは、本当に残念。

だけど、逢えなくなる方が辛い。

「そんな先輩!時々、食べにくれば良いじゃないですか!」

「...ありがとう。私、大学は遠くに行くから、ここには休みならいと来れないわ。」

彼は焦るように言った。

「先輩!どこの大学ですか?」

「...えっと、Y大学よ!」

かなりレベルが高い大学。

「...俺、絶対に先輩と同じ大学に受かってみせます!」

しっかり手を握られ、宣言された。

「...えっ...うん。頑張って...」

彼の成績では、かなりの努力が必要とされることは分かっていた。

そして、言わなかったが福野君も嫌がらせのごとく、同じ学校だったりする。



 「...そうだ。私の使い古しで悪いんだけど、これをあげるわ。」

それは、北野天満宮で買ったお守りだった。

「ええ!良いんですか!大事な物じゃ...」

「良いの。縁担ぎと思って受け取って!」

彼はかなり嬉しそうだった。

「ありがとうございます!」



 願わくば、この時間が永久に続けば良いとすら想う。




そんな想いを告げられない。

「先輩の御守り、ご利益ありそうですね?」

「そうかしら?そういえば、鬼の副長の土方歳三みたいに強くなりたい理由って、何?」

「強くなって、好きな娘を護ってあげたいんです。」

「そう...。屋久君に、護られる娘は、きっと幸せね。」

胸がズキッと痛む。

「そうだと良いんですが...。頼りないみたいで、あまり頼って貰えないけど、強くなって、護りたいんです。」

彼にそう想われている彼女が羨ましい。彼の想い人に嫉妬していた。

「...先輩は、ここを卒業しても、休みに帰るって言ってましたが、それは当然、成人式もですよね?」

「まあ...。そのつもりだけど」

彼の目が何故か輝いていた。

「じゃあ、先輩の成人式の時は、是非、お祝いの品を贈らせて下さい!」

「へぇ?」

彼が何を考えているのか、解らない。

「先輩に、僕の作ったスィーツを食べて欲しいんです!それに、先輩の振り袖姿をみたいんです!」

勘違いしてしまいそうなくらい、熱弁している気がする。

「そう。じゃあ、私も屋久君の成人式の時に何かあげなくちゃね。」

「だったら、先輩に来て欲しいです!先輩に大人な僕とのツーショット写真を撮って戴きたいです!」



屋久君の拘りはすごい。

「ハア。屋久君って、面白いね。本当に、卒業するのが、寂しいわ。」

「それ、本当ですか?僕、先輩に言いたいことが...」

「見つけたぜ!姫君!」

屋久君の言葉を遮り、福野君が乱入。

「うるさいわ!用がないなら、帰って!」

「ツレないな~。君に逢いにきたのさ!君の様な麗しの姫君に何度も逢瀬を重ねるのが、僕の日課さ!」

屋久君の存在を忘れて、一人喋りまくる。どこから、一輪の薔薇を取り出した。

「僕の心は、君という名の花に恋してしまった。そう、この深紅の薔薇の様に!さぁ、今日こそ、俺のものに!」

「ハイハイ。先輩、白野先輩の邪魔ですよ!嫌がってますので、じゃあ、さようなら!」

ポイッと福野君を廊下に追い出した。

「先輩。大変ですね!」

「ハハハ。ありがとう。本当にいい加減にして欲しいわ!」

苦笑しながら、そう答える。

「そう言えば、言いたいことって?」

聞き返せば

「ええっと、忘れてしまいました。すみません...。先輩は、自由登校になったら、来ないんですよね?」

「生徒会の仕事以外は、来なくなるわ。だけど、悩みがあるなら、いつでも、連絡して、大丈夫よ!」

そう答えた。彼は苦笑した。



 バレンタインデーを目前に控えた日々に溜め息をついた。

「ハァー」

「百合。どうしたの?溜め息なんて...。そういえば、今回も学年トップみたいね!」

「そうね。バレンタインデーがもうすぐよね。その日以外は生徒会の引き継ぎの以外じゃ、来ないしなー。」

机に伏せて、ダレている。

「そいうこうことか!屋久君!手作りを持ってきそうよね!あの可愛いルックスじゃ、周りの女の子達も狙ってるみたいだし、彼女がいないなんて不思議よね?」

「別に屋久君なんて...」

友人には、判るらしい。

「もろ出てるわよ。クールな生徒会会長様は、可愛い騎士が好きなくせして、手も足も出ずか...。」

「解ってるわよ!だけど、屋久君は、好きな人がいるみたいだし...」

嘆く私に友人は、キョトンとしていた。

“気付いてないの?!百合しかみてないし、百合の為に頑張ってるのに、哀れだわ!”

「ふ~ん。」

「私と成人式に写真を撮りたいとか同じ学校に行きたいと言いつつ、護りたい人がいるんだって!頼りなく思われているらしく、あまり甘えてくれない人らしいのよ!」

“この娘。馬鹿だわ!それは、あんたに気があるのよ!何故、気付かない?”

「じゃあ、彼に告れば?」



「ハア?!」

立ち上がって、そう叫ぶと皆が振り返った。恥ずかしいことをしていると実感した。

「気になるなら、当たって砕けろよ!バレンタインデーに手作りチョコで告白ね!」

「えっ?でも...」

煮え切らない私を友人は呆れたかと思いきや、すぐに立ち直り、目が怪しく光った。






 放課後、友人達に連れられ、チョコの材料を買いに来た。
今まで、お菓子作りの経験はなくはないのだが、最近、遠ざかっていた。そして、チョコを作ったことはなかった。


雑貨屋さんで、ラッピングのグッズを見るのも真剣。

「可愛い~v」

友人が選んでいるのは、女の子らしいラッピング袋

「百合、決まった~?」

すごんでいる私に呆れた。

「百合ちゃん。こっちが良いんじゃない?可愛いし、女の子らしいイメージになるよ!」

友人のみーちゃんは言うと、香苗も

「その方が良いよ!屋久君に百合の可愛いイメージを植え付けるわよ!」

「そうかな?私に合わなくない?」

「駄目だよ!百合ちゃん、そんなこと言っちゃ!こいう時だから頑張るんだよ!」

みーちゃんに言われ、可愛いラッピングのグッズにした。





 早速、我が家でチョコ作りの講習会が始まった。




講師は、クッキング部の元部長で、一番女の子らしいみーちゃん

 作り方
チョコレートを包丁で細かく刻む。

ボールの入る位の鍋に湯を沸かす。
温度を50℃~55℃の湯の湯せんにチョコをかけていく。
※鍋の中に、チョコの入ったボールを入れて溶かすことをテンパリングという。

ゴムベラでを動かしながら、熱を加えていく。

溶かしたら、クッキングシートで、コルネ(角笛型)を作り、チョコを入れ、型に流し込むとやりやすい!
入れたら、均一になるように上から少し落として、量を調整しよう!

※型は、銀紙の型やそのまま食べれるタルト型でもOK!

飾り付けをしてもOK!


冷蔵庫で、30分以上、寝かせましょう。


出来たら、型を逆さにして、トントンと軽く叩き、取り出したら完成!

後は、可愛いくラッピングやメッセージを書き込みましょう。




 「...ふ。出来た。後は、固めるだけね!」

色々、ハプニングはあったものの、冷やす過程まで辿り着いた。

「何だかんだ言っても、百合らしいよね。屋久君、絶対に喜ぶわよ!」

「そうかな?//////問題は、福野君よ。また、邪魔されるのかしら?」

「百合ちゃんにすごいベタボレだよね?」





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Last updated  January 15, 2010 07:21:09 AM
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