ちょっぴりお得な生活豆知識

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2010年10月20日
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テーマ: 感動した話(882)
カテゴリ: その他


 研究は文部科学省の補助金で、青森県立保健大学(青森市)の藤井博英・看護学科教授らが8月に始めた。イタコの口寄せを受けたことのある自死遺族5人の協力を得て、受けた理由やその後の心境の変化、どこに癒やされたかなどを聞き、3年をかけて調査する。

 藤井教授は「自死は病死に比べ、遺族の立ち直りに時間がかかる」と話す。周囲に「兆候に気づかなかったのか」と責められ自責の念から引きこもり、後追いするケースも少なくない。いきなりカウンセリングを受けてもなかなか解決しにくい苦しみだという。

 しかしイタコは「故人はあなたを恨んでいない」「天から見守っています」と温かい言葉をかける。「それを機に故人と和解し、現実社会と向き合い、カウンセリングを受けたり立ち直るきっかけをつかむようです」

 藤井教授らが02年、精神疾患など慢性疾患患者670人に聞いた調査では、口寄せを利用したことがある人は35%で、そのうち8割が「とても癒やされた」「話を聞いてもらい落ち着いた」などプラス効果を感じていた。「北東北は自殺率が高い。民間信仰を科学的に検証し、遺族支援に役立てたい」と話す。


 口寄せを頼む人はどんな思いでイタコの元を訪れるのか。10月上旬、日本三大霊場の一つ「霊場恐山」(同県むつ市)へ向かった。

 JR下北駅から路線バスで約40分。車外に出た途端、強烈な硫黄臭が鼻を突いた。岩場の間から火山ガスが噴出し、色とりどりの風車がカラカラと回る。コバルトブルーの宇曽利(うそり)山湖とのコントラストは「あの世」に迷い込んだようだ。今でも地元では「死後は恐山に行く」との信仰が生きているという。

 恐山には7月と10月の祭りのころ、口寄せの小屋が建つ。この日は入り口の「総門」脇に4軒並んでいた。東京都練馬区から来た自営業、佐藤正一さん(54)は4月に亡くなった母を呼んでもらった。「当たっていることが多かった。母と久しぶりに会えたようで思わず涙が出た」。渋谷区の女性(70)は2月に病死した姉と最期の別れができなかったという。「言い残したことがないか聞きたかった。でも『体に気をつけて』などありふれた内容で、期待外れだった」と少し残念そう。


 イタコになるにはどんな修行が必要なのか。「元祖津軽イタコ大師匠」の鳴海秀雲さん(77)は 「やる気があれば誰でもなれます」 という。鳴海さんは東北地方に4人ほどいるイタコのうち唯一の男性。8歳から手ほどきを受け、その後も数人の師匠についた。自衛隊などで働いた後、50代前半から活動に本腰を入れた。

修行は師匠に弟子入りして経文や祭文を覚えた後、1週間の断食に耐え、免状をもらう。平均5年前後で、10年以上かかる人も。昔は師匠の家に住み込んだが、今は通いが多いという。

 私は3年前に亡くなった母を呼び出してもらった。口寄せ前、母の名前や享年を聞かれた。経文を唱えた後、口寄せが始まった。

 亡くなる半年前に一度危篤に陥ったことなどを「母」が語り始めた。「今年は人間ドックを受けたようだが、来年花見が過ぎたころ、もう一度受けるように」「階段を下りる時は下から2段目あたりに注意しなさい」。心当たりのあることばかり。男性の声も津軽弁も気にならず、思わず涙があふれた。「母」は最後に「いつも見守っているぞ。父親と仲良く暮らしてくれ」と語り、約15分間で終わった。

 容体が急変したまま逝った母が何を言い残したかったのか、ずっと気がかりだった。東京に戻り、父(74)に報告すると「占いと同じじゃないのか」と冷たい。でも、私の心は確かに癒やされていた。イタコにすがる人たちの思いが少し分かった気がした。

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 ■ことば

 ◇イタコ
 東北地方の民間信仰で、死者の霊を自分に宿らせ、言葉を遺族などに伝える「口寄せ」を行うみこ。恐山では昭和初期、管理する曹洞宗円通寺が例大祭に招いたのが始まりとされる。「津軽のイタコの習俗」は国の無形民俗文化財に指定されている。


【記事全文】2010年10月19日 毎日新聞
イタコ:自死遺族へ癒やし 口寄せで故人と和解 大学も注目「8割に効果」







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Last updated  2010年10月20日 10時04分26秒
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