世界の片隅で小さな声で申し訳なさそうに「スティール!」と叫ぶ!

世界の片隅で小さな声で申し訳なさそうに「スティール!」と叫ぶ!

Oct 25, 2023
XML
カテゴリ: 真空管
SIEMENSのCaという真空管を紹介します。

前回紹介しました Daという真空管 同様に、ドイチェポスト(ドイツの郵便会社)の型番です。
ドイチェポストは電話の業務もやっていたので、電話の中継増幅器で使用されたものなのでしょうね。(現在は郵便のドイチェポストと電話のドイチェテレコムの別会社になっています)

帯は...なんか貼り直していますね。
良い状態ではないですが、Ca旧型自体が市場に出ている時点で「とりあえず買っておく」なので、円安の向かい風の真っ只中を強引にいきました。


構造は....
2枚のプレートの間にグリッド、そして中心にフィラメントがハッキリ見えます。


各部材も丁寧に加工され溶接されています。


電極もガラス細工で支えられています。

「芸術的」ともいえますが、当時はこのような手法が最も機械的・電気的に精度を出しやすい手法だったのでしょう。
この後の世代からプレートを箱のように加工して電極一式を組み上げる近代真空管の手法が現れるのでしょうね..。とても興味深いです。



規格は、 Frankさんの資料室の「Ca」規格 が参考になります。
また、 EU Valveの「German Post tubes (Part 2)」 に詳しく書かれています。

フィラメントは3.65Vが指定されています。(電流1.1A)
妙に半端な電圧指定ですが、当時の電源事情から機器実働状態としては3.65V上下数パーセントが想定され製造されたのかもしれませんね。

プレートは大型ですが最大プレート損失は5Wそこそこです。




etracerで特性を測定してみましょう。(おそるおそる...)
200Vで12mA流れるところで測ってみます。

【1本目】Nr.10806

Ef=3.7V(etracerでは3.65Vが出せず3.7Vとしました), If=1.09A
Ep=200V

Ep=11.84mA
rp=4703Ω
gm=1347μS
μ=6.3V/V

【1本目】Nr.10806

Ef=3.7V(etracerでは3.65Vが出せず3.7Vとしました, If=1.09A
Ep=200V
Eg=-15.8V
Ip=12.04mA
rp=4712Ω
gm=1137μS
μ=5.4V/V

エミッションは十分ある(Ipカーブは綺麗に伸びている)ようですが、何せ古い真空管(しかもゲッターが無い時代のもの)なので、高圧は200Vを超えたあたりから電流値がガタガタして怪しいです。
多分ですが、私が入手したものはコレクターの選別から落ちたものかもしれません。
もしくは、この時代のCaは現存する大半はこのような特性になっているのか...。
一般的な真空管試験機ですと実働を想定した高圧側の電圧電流までは測定せず、動作中心付近(Caでしたら200~220V付近)しか見ませんので、高圧側の乱れまでは見えませんし予測もできません。
しかし、これが100年前の真空管ですから、むしろこれだけの電気特性が出ているだけでも奇跡です。(因みに1930年代後半の真空管でも高圧側が一寸不安なものも多く存在しますので、古い真空管は「そういうもの」だと思います)


増幅動作に関しては、Ep200V、Ip12mA、負荷7kΩ(4.7kΩのrpに対してロードラインを結構立ててます)で0.175Wが想定されます。(歪率が増えますが、プレート損失内でかつグリッドがプラス領域に入らない程度の出力が出る妥協点です)
狭い部屋(自分に近い距離)に置いた93dB以上の高能率スピーカでリュート音楽を静かに楽しむのがせいぜいかと。

グラフを見ての通り、高圧側は微妙ですので、いつ駄目になってもおかしくないです。
しかし、この「いつか使えなくなる」儚さに魅力を感じるのも確かです。

手持ちの旧Caはゲッターの無いタイプの真空管なので、測定していて心臓が止まりそうになりました。
買ったはいいですが、怖くて使えません。(^^;
しかし遠い将来、真空度が落ちて「ただのガラス球」になってしまいます。(100年も真空度を保っているというだけで奇跡です...)
増幅するためこの世に生まれた真空管ですから、使ってあげないと...。


今回、Caの構造から真空管の歴史を見ることができ、とても有意義です。
買って後悔はして...いません!たぶん...(汗)

もし、このブログをご覧の方で旧型Caをお持ちでしたら、今回の実測データを参考にされてください。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Sep 7, 2025 02:12:15 PM
コメント(2) | コメントを書く
[真空管] カテゴリの最新記事


■コメント



Re:Caという真空管(10/25)  
D404F203 さん
1938年にシーメンスが発行したCaのデータを持っています。
EpIp特性も載っています。
ご入用であればお送りましす。
Caは電話通信に使われたようですがCaの親分であるDaは電話通信には使われなかったようです。
Daの主な用途は有線ラジオ局のファイナルと有線通信設備の保守点検に使用するビート信号発生器だったようです。
EdもDaと同じ用途だったようです。 (Oct 28, 2023 08:08:35 PM)

Re[1]:Caという真空管(10/25)  
D404F203さん
情報ありがとうございます。

当時の人もまさか、こんな使われ方をするとは思ってなかったでしょうね。 (Oct 29, 2023 09:14:04 AM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Freepage List

Profile

イィヴィ平野

イィヴィ平野

Comments

DavidKig@ Сетевой маркетинг натуальной косметики России. New! Как ЗОЖ-блогеру начать зарабатывать и м…
イィヴィ平野 @ Re[1]:Taylorの203Zという真空管(04/20) はしもと様 結果は私の測定器での実測値で…
はしもと@ Re:Taylorの203Zという真空管(04/20) タイラー発表の特性とかなり違うのですが?
D404F203@ Re[2]:12A6という真空管(11/15) イィヴィ平野さんへ 少し説明不足があり…
イィヴィ平野 @ Re[1]:12A6という真空管(11/15) D404F203さん、ご無沙汰しております。  …
D404F203@ Re:12A6という真空管(11/15) お久しぶりです。 12A6はWEが製造し…
揺れ柳@ Re[3]:誕生日(08/18) イィヴィ平野さんへ 確かにそうですね 考…
イィヴィ平野 @ Re[1]:誕生日(08/18) 揺れ柳さんこんにちは。 トランスが4Vで…
揺れ柳@ Re:誕生日(08/18) 去年の記事でしたね すみません DA30の記…
揺れ柳@ Re:誕生日(08/18) いつも真空管のデータを開示していただき…

Favorite Blog

本買った New! 岡田@隊長さん

改造バカとかならあ… New! nana1451さん

LAB71【クランク交換… バスプリンさん

Furious 50s manado06さん
すずめ娘のダイバー… すずめ娘さん
ププ湯沢のGet's Haw… pupuyuzawaさん
CANTOIMA(今泉仁志… cantoimaさん
達人のひとりごと(J… 真空管の達人さん
シュウの薬 syu(シュウ)さん
あたごおか… あたごおかりなさん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: