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5 ライン川下りのボートにて

ライン川下りのボートにて


 ヨーロッパに来て、便所には全く苦労させられた。日本では、パチンコ店とかデパートにて簡単に用をたせるのだが、そんな風にはいかない。第一見つけにくいし有料のところが多い。

 ライン川下りは、マインツ~コブレンツ間の約100キロが楽しい船旅が味わえる、歌に歌われる『ローレライ』の岩が見られ、風景も美しいところが多い、と聞いていたので、早速乗ってみることにした。マインツはフランクフルトから電車で30分のところにある。フランクフルトの駅で用をたそうと思い、トイレに行くとドアにコインを入れるようになっていた。規定のコインを入れてドアを開けようとしたが、ガンとして開かない。電車の時刻も迫ってきたし、万一開いたとしても中に閉じ込められたら大変だ、と思いあきらめることにした。

 モスクワからずっと各国のトイレを利用しているわけだが、外国人、とりわけ白人の体の大きさは、トイレで身をもって知らされた。
 時々、まともに座ったら落ちてしまうようなものに出くわしたが、便器を止まり木みたいに用をたす姿は、まことに様にならない。

 さて、ライン川下りのボートのトイレ。ここにも、ドアにDM…と有料の印がしてあったが、かまわず入った。やっとの思いがかなって、いい気持ちになってトイレを出ると、手洗いの鏡の前に紙タオルが置いてあったので、なかなか行き届いていると感心しながら手を拭いた。そして、振り返ったときである。年のころ70歳前後のじいさんが、真っ赤な顔をして怒っている。訳のわからぬドイツ語でガミガミ言っている。

どうやら、「お前はトイレットペーパーを使ったし、紙タオルも使った。だからお金を払え」と言っている。こちらも有料と分かっているので、払うつもりでいたのだが、あまりにもうるさく言うので、少しからかってやることにした。「あなたの言うことはよくわからない。」と英語で言うと、便器の所に行ってトイレットペーパーを指差し、紙タオルも持ってきて見せたので、「日本じゃトイレは無料だ」と言ったら、「ノーヤパン、ノーヤパン」とますます青い目をむき出して怒った。あまり興奮させて、体でもこわされては困るので多めに払ってやると、やっと落ち着いてくれた。後で考えたら、そのトイレは前払いになっていたのだろうと思う。客が来たとき留守をしていたじいさんのほうが悪いとは思ったが、それよりクサイ商売もあるもんだ、と感心した。

 それにしても無料のトイレの少ないところである。ヨーロッパの人々は、トイレに行くたびにお金を払うのだろうか、立小便なんかしないのだろうかと考えてしまう。しかし、パリのセーヌ川にかかる橋の下に、立小便の現場を突き止めることができた時はヤッタと思った。そこは多くの人が利用するらしく、足の踏み場もないくらい、あちこちに水溜りができていて、すごい悪臭を放っていた。

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