生前からこの人には注目していた。年齢もほぼ同じだし、考えていることが似ていたので(考えていることは似ていてもそのレベルは雲泥の差だが)。
あっという間に亡くなってしまい、それがまた話題になった。今でも彼女の新刊が出版されている。おととい1冊買った。「死とはなにか」。今それを読んでいる。
タイトルが直截的でちょっとドキッとするが、内容はそれほどヘビーなものではない。彼女がいろいろな雑誌や新聞に寄稿した短いエッセーのようなものを集めたものだ。
著者がひとつのテーマでまとめたものではないので、やや散漫な印象だが、それだけにちょこっと本音のようなものが出ていておもしろい。
「生きているとはどういうことか」「存在するとはどういうことか」について考えることだけの人生だった、とか臓器移植で人間は幸せになれるのだろうか、といった根源的な問いかけをするわりに、暑そうだからといって飼っている犬の毛を刈った、というエピソードが紹介されていたり…。
人間というものは日常の忙しさにまぎれているうちが幸せなのかもしれないと思う。なまじ考える時間があるから余計なことを考えてしまうのだ。池田氏も1日24時間、「存在とは」と考えていたわけではあるまい。寝る時間もあれば、お昼は何を食べようか、と考えることもあれば、恋人に電話して「この間はゴメン」と一言謝るべきだろうか、などと考えたこともあっただろう。
私も授業をやっているときに人生について悩むことはない。授業の準備をしているときも悩まない。してみると、悩み多き人生は多忙が解決してくれそうだ。
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