数字の扉＆言葉の窓

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2004.12.01

「村長～！大変じゃあ！」
「あ、ただいま、来客中です。」
「それどころじゃねえ。」
受付の女性が制止するのもきかないで、清二がどかどかと村長室に乗り込んでいった。

「村長！大変じゃあ。熊じゃ。熊に襲われた～！」
引き戸をガラガラと開け放し、清二が入ってきたのを、なんだか助かったというような顔で、村長は出迎えた。
「騒々しいなあ。清さん。」
「落ち着いている場合じゃねえ。村長。ばあさんが、襲われたんじゃ。」
清二には、隣にいる岩田教授のことなど目に入らないようだ。村長の目の前まで、づかづかと近づいて、怒鳴った。

清二はたしなめられて、はじめて岩田教授の存在に気づいた。
「これは、失礼した。じゃが、大変なんじゃ。」
「熊に襲われたとおっしゃいましたか？」
「ああ、ばあさんが襲われたんじゃ。」
「なんだって！お鈴ばあさんが熊に襲われたのかい、清さん。」
「ああ、そうじゃ。」
「それは、大変だ！それで、お鈴さんはどうなったんだい。」
「ああ、大丈夫じゃ。無事じゃ。怪我はねえ。」
「そうか、それは何よりだ。」
「教授、熊が人を襲ったとなると、教授の言うような悠長なことを言ってる状況ではなくなりましたな。まずは、村人の安全が最優先です。村近くに出没する熊を、とにかく排除しなくてはならんでしょう。」

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