数字の扉＆言葉の窓

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2004.12.02

「ちょ、ちょっと、待ってください。」

このままでは、問答無用で熊がどんどん射殺されかねない。

「襲ったと言っていますが、怪我はなかったのでしょう？
ただ、驚いて逃走しただけではありませんか？
熊が人間を襲うということは、ほとんどありません。
何もしなければ、熊は人を襲いません。
どうか、我々に捕獲のチャンスをください。
我々はすでに、村近くまで出てきた熊を、一頭捕獲しています。
しかし、このまま山に戻しても、餌不足が解消されない限り、また村に下りてきてしまうでしょう。

どうか、ご理解ください。」

「じゃあ、何か。うちのばあさんが嘘ついてるとでも言うのか。
自慢じゃあねえが、うちのばあさんは、嘘と漬物だけは大キレェ～なんだ。イチャモンつけるんじゃあねえ。」

「そうではなくて、勘違いかもしれないと言ってるんです。」

「まあまあ、清さん。このまま、放っておいたりしないよ。」

村長は、そう言って、清二をなだめた後、岩田教授を振り返って言った。

「教授。このような騒ぎが起こってしまったら、なかなか、村のみんなを説得するのは難しいと思いますよ。
熊よりも人命が大切です。
熊は何もしないというけれど、相手は熊。言ってわかる相手じゃないですからね。
私どもは、私どもなりの対策を立てさせてもらいますよ。
教授、悪いですが、これでお引取り願えますかな。」

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