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2006年06月18日
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テーマ: ホタル(1)
カテゴリ: 日本文化
 もうそろそろ蛍の舞う季節でしょうか。今では都市部では蛍はほぼ絶滅状態で、観光スポットで蛍狩りをセールスポイントにしているようなところにでも行かないと蛍は見られませんが、私が子供のころは普通に川原や田んぼの用水路に蛍が飛んでいました。不思議な緑がかった光を明滅させる蛍は、子供に人気で、ガキ大将を先頭に列をなして夜な夜な蛍狩りに出かけました。「ほーほーほたるこい♪」と歌を歌いながら虫網片手に蛍舞う水辺を歩きました。当時はおおらかなもので、親たちも夜に水辺へ子供たちが遊びに行くのも危険だとは思っていなかったようです。捕まえた蛍は、蚊帳の中に放ったり、虫かごのなかで光るのを楽しみました。虫かごの中には必ず「ホタルグサ」と私たちは呼んでいた水辺の草を入れました。この草に付く夜露を蛍が好んで飲むと信じられていたからです。
 蛍は、日本全国ではけっこう種類が多いのですが、やはり有名なのはゲンジボタルとヘイケボタルです。ゲンジボタルの方が体が大きく、体長15~20mmほど、ヘイケボタル8mmほどです。ゲンジボタルのほうが鑑賞の対象としては主流で、古典文学などに登場する蛍もほとんどはゲンジボタルだと思われます。蛍は成虫だけでなく卵も幼虫も蛹も光ります。あの光は優れた生命の神秘によって作り出されています。まず、エネルギー効率が非常に高く、ほとんど熱を出さずに発光しています。このため「冷光」と言われます。蛍の体内にはルシフェリンという発光物質、ルシフェラーゼという酵素、そしてエネルギー源のATP(アデニシン3リン酸)があります。ATPのエネルギーは、ルシフェラーゼの助けを借りてルシフェリンをオキシルシフェリンに変化させ、この時に光が生まれます。人類の作り出すどんな照明よりも少ないエネルギーで輝くことができます。
 蛍は、古の時代でも風物詩として愛されており、多くの文学作品に記されています。


   物思へば 沢の蛍も 我が身より

   あくがれ出づるたまかとぞ見る

                               和泉式部

   (訳)恋の思いにふければ、水辺を舞う蛍が、私の思い慕う心が

      体から抜け出して舞っているのかのように見えてしまいます。





                          (枕草紙)清少納言

   (訳)夏は夜が趣深い。月夜であればなおさら、

      蛍がたくさん飛びまわっているのも面白い。


 近年、蛍は水を始めとする環境のバロメーターとして、日本全国で蛍を川に呼び戻す試みが為されています。しかし、本来そこにいるべき種類でない蛍を放ってしまったり、幼虫の餌となる貝類を放流しすぎて生態系のバランスが崩れたりと、問題も少なからず起こっているようです。もともと野生の生き物相手のことですから、人為的に手を加えるのはとても難しい仕事のようです。また、同じ種類の蛍であっても生まれ育った環境で性質が違ってくるようです。なかでも面白いのは、関東の蛍は4秒間隔で明滅しますが、関西の蛍は2秒間隔なのだそうです。しかし、それも蛍の幼虫の放流などで曖昧化し、近頃は3秒間隔で明滅するどっちつかずの蛍もいるのだとか。
 自然のバランスには充分すぎるくらいの注意が必要ですが、蛍を愛でる文化は、未来の日本人のために残しておきたいものの一つです。関係の方々にはぜひともがんばっていただいて、蛍の絶滅だけは避けたいところです。





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最終更新日  2006年06月18日 13時41分15秒
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