死ぬまでうたたねブログ

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2006.08.12
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カテゴリ: ご本
あなたと読む恋の歌百首

俵万智が集めた恋の短歌百首の解釈鑑賞本。

ふと買って読んでみたらば、「あれ?これ、いつか読んだことがあるような…?」。

奥を見ましたらば1995年4月から1997年3月まで朝日新聞日曜版に連載されていたとありました。
95~97年と言えば、私が中学3年から高校2年まで。
そーいえば、毎週欠かさず読んでました、コレ。
なつかすぅ。

正直言いますと、百首が並べられた目次を見て
「人の恋愛なんてひけらかされてもあんまり面白いもんじゃないなぁ」と思った。

さわやかな恋の始まりを楽しんでいる歌にしても、不倫の恋にもだえ苦しむ歌にしても、フラれた相手に意地を張ってみている歌にしても、一人でやってください、という感じ。


そんなこんなで
あ~、読む気なくなっちゃったな、どうしよっかなとペラペラとページをめくること14,5分、あれれ、不思議と。
なぜだか、俵万智さんの解釈を読むと素直に人様の恋愛短歌が美しいものに思えてくる。
自分でも驚いたのですが、俵さんの解釈を読んではじめてそれぞれの歌の奥行きがみしりと。自分の鑑賞能力の低さにがっくり。

例えばこんな歌。

「たった今全部すててもいいけれどあたしぼっちの女でも好き?」  渡邉志保

かぎかっこも含めて一首です。
自分一人で読んだ時は、勝手にしやがれの極地だと思った。勝手に全部すててください、「わたし」じゃなくって「あたし」っていう女がそもそも嫌い、そういう舌ったらずな言い方で男に媚びないでください、プン!
これが俵さんの鑑賞だと、次のように。

(略)自分が恋愛する場合、相手の何に惹かれているのだろうか?と考えはじめると、なかなか明確には答えられない(略)

「あたしぼっちの女」という表現が、若い作者らしい。「私そのもの」に、ちょっと謙虚な感じと、いたずらっぽいニュアンスが加わった(結句が「いい?」だと、卑屈になる。「好き?」の甘え加減がいいのだ)。もちろん、外見や性格など、捨てようと思っても捨てられないものも多いけれど、相手が自分の何に惹かれているのかを知りたい気持ちが、一首にはあふれている。


むぅ、そうか。「あたしぼっちの女」をバカっぽいとしか思えない私はまだ若いんでしょうか。それとも心が狭いんでしょうか。


いつかふたりになるためのひとりやがてひとりになるためのふたり  浅井和代

これも何だか感傷的過ぎるなあと思っていた。
俵さんが書いていることによると、この歌の読み方は俵さん自身でも変化したらしく、連載していた32,3の頃はこの歌を恋人同士の歌だとだけ思っていたのだそうだけれど、十年たって文庫本を出すにあたって読み返してみれば、これは母親と子の歌だと思うのだそうである。



未婚の母、と言えば俵万智さんは相当に情熱的な人だ。
朝日新聞に連載というのに、毎回のように自分の過去の恋愛談を盛り込んでいるし、鑑賞の節々にもそれが見える。例えば、次のような。


赦せよと請うことなかれ赦すとはひまわりの花の枯れるさびしさ  松実啓子

裏切った人間を、ゆるすのとゆるさないのと、どちらが愛情が深いだろうか。一般的にはゆるすほうが相手を理解し、心を優しく広くもった結果だと考えられるだろう。家族的な愛や友情においては、そうかもしれない。が、恋愛においては、思いが深ければ深いほど、ゆるすことはできないのではないかと思う。つまり、もし「ゆるす」という気持ちになれたとしたら、それは何かをあきらめ、何かが終わったということなのだ。
(略)ゆるすよりもゆるさないほうが、愛をあきらめるよりも愛しつづけるほうが、多くのエネルギーを必要とするだろう。傷つくことや疲れることを恐れていては、恋愛はできない。



自分で言っている通り、俵さんは「恋愛ミーハー」で多分に乙女チックなのだけれど、恋愛にかける人並み外れたパワーは最早、一つの「才能」と言っていいのではないかと思う。
そしてその恋愛に命を賭けることも厭わない姿勢が、彼女の名を世に広く知らしめたものかも知れないと思う。


ところで、連載当時に読み、恐らく強いインパクトを受けて現在まで記憶に残っていた歌が二首ある。



馬を洗はば馬のたましひ冴ゆるまで人恋はば人あやむるこころ  塚本邦雄

前者はいつか起こるかもしれない理想として、後者は頭で思い描くだけで充分な、高校生の頃の自分の考える恋愛だったのだと思う。
タッチアップを部活動で教えてもらって「面白いルールだなぁ~」と思っていたということもきっとある。


他に良いなぁ、面白いと思った歌をいくつか。


新妻の笑顔に送られ出でくれば
中より鍵を掛ける音する      久松洋一

氷河期より四国一花は残るといふほのかなり君がふるさとの白  米川千花子

体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ  穂村弘

トレーラーに千個の南瓜と妻を積み霧に濡れつつ野をもどりきぬ  時田則雄

われら鬱憂の時代を生きて恋せしと碑銘に書かむ世紀更けたり  山中智恵子

白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて待たう  齋藤史





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Last updated  2006.08.12 18:09:41
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のへぴょん@ 同意! 確かに・・・季節のご挨拶に拘りつつ、 …

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