行政視察報告


                           伊藤眞智子

1、期日     7月7日(月)~7月10日(木)

2、視察場所
  ①諫早市  中心市街地活性化事業 諫早湾干拓事業
  ②北九州市 学術研究施設
  ③萩市  歴史的景観事業  都市景観条例・景観基本計画

3、視察報告
 ①諫早市   中心市街地活性化事業 
  茅野市では市街地の空洞化が進んでおり、駅東口整備、仲町通り線整備などの  施策 を行ってきているところである。
諫早市は人口9万4千人、長崎県のほぼ中央に位置し、交通の要所としてまた  産 業 の拠点として発展している。しかしここでも駅前の空洞化が進み、平  成 1年より駅周 辺再生のための調査活動、さらに平成5年頃からの商業者  のワーキング活動、消費者 の意向調査などを経て、平成10年中心市街地活  性化基本計画が立てられそれに基づ いて事業が進められているところであ   る。
 主な事業の計画は次の通りである。
○商店街まちづくり協定制定事業
   区域内の住民、商業者の話し合いによる接客サービスや街並み景観までの基   準となるまちづくり協定の制定
  ○アーケード整備事業
  ○共同店舗コンセンサス形成事業
市民、商業者のまちづくりに関する話し合いの場や学習の場の創出
  ○空き店舗対策事業
  ○商店街広域カード化事業
   商店街のスタンプ事業の統合化、多機能カード化
  ○駐車場共同利用システム構築事業
  ○共同宅配事業
  計画推進のために、タウンマネージメント機関(TMO)を商工会議所の中に  つくり、市民、商業者、行政が一体となった体制が組まれている。
現地を案内して貰った感想は次の通りである。
 ○市役所横に、長崎県で最大規模の市立図書館があり、建設後2年間でのべ10 0万人の利用者が訪れたという。ゆったりとした空間がありたくさんの人が訪れ ていた。
  図書館利用者がついでに商店街で買い物をしたり、また商店街に来た人が図書  館を利用したりする割合も多く、たくさんの人が訪れる公共施設の配置が 地域  の活性化に役立っているとの話だった。
 ○浸透製のタイルで敷き詰められた道、色を統一した街並みなど一体性のあるま  ちづくりがされていた。また歩行者専用のアーケード通りには鉢植えの植物   ベンチが置かれ、買い物客がくつろいでいた。
 ○商店会の事務所には駐車場があり、また買い物用ワゴンの貸し出し、買い物預  かり、 宅配サービスなどの受付を行っている。
 ○近くの諫早公園も含め、市内の周遊コースを整備し、歩いて楽しめる中心市街  地の回遊性を高めるプログラムを作っている。
 ○空き店舗がでた場合、商店街にふさわしくない 業種が入る恐れがあるので、市  が買い取り開店したい人に貸し出している。

 街はお年寄りから若者まで結構なにぎわいであった。市民、商店主、行政が一体となったとり組みが功を奏しているきている。
 特にタウンマネジメントの①ハードからソフト優先へ②大規模開発から身の丈サイズへの変革③物作りから仕組みづくりへというビジョンが今の時代にあったまちづくりへと繋がってきていることが感じられた。
 また街づくり協定を関係者の合意を得てすすめるために丁寧に時間をかけていること、協定に基づいての改装や共同店舗化に補助や融資が受けられることも計画が進んでいる大事な要因だと思った。

②諫早市  干拓事業
 干拓資料館の見学で、干拓事業は600年の歴史があり、人々が様々な努力をして行ってきたことがわかった。しかし、江戸時代の干拓は人の手によるものであり、そのあゆみは遅く、環境に大きな変化を及ぼさないやり方で行われてきたものである。今問題になっている干拓は、広大な面積を重機を使い強引に行うもので、劇的な環境の変化が
自然の回復力に追いつかず今の環境問題となっている。また干潟が失われ海の環境汚染が進んでしまっている。
 宝の海と言われた有明海の汚染の深刻さ、漁業の不振にそれは人間の傲慢さへの自然からのしっぺ返しと思われてならない。飛行機からの有明海の海の色、諫早湾の調整池の水の色のきたなさ。また利用されていない広大な干拓地。高台にあがって全体を眺めたが、途中の棚田は垂直に近い石積みの畦で昔の人は本当に苦労して田んぼをつくってきたのだと、しかしその中には放置された田も多く、農政の矛盾と止まらない公共事業に政治のありようをおもった。
ムツゴロウが今後も生き続けられるようにと思いながら諫早をあとにした。


②北九州市  学術研究都市
北九州市は人口100万人の巨大都市。小倉、八幡、若松など北九州工業地帯が広がっている。低迷を続ける日本で、これからは地域の活性化のために知識を資源としての産業再生が必要とのことで国公私立 の大学や大学院、研究施設を集積し、アジアの中核的な学術研究拠点にしようというものである。
 ひびき野の山を開発し広大な土地に校舎や施設が配置されていた。国の補助を受けながら(都市整備公団)平成7年から15年度の第一期で286億円かけて整備されたものである。これから21年度にかけて北九州市の事業で270億円が投じられ第2期工事が行われるとのことであった。
 100万という長野県の半分の人口がすんでいる都市、工場が建ち並ぶ様子や莫大な予算を投じてつくられる研究都市は自分の範囲を超えていて、感想もまとまらない。
 ただ、そのコンセプトがアジアに目を向けていること、環境や情報を中心に事業を進めていることにこれからの産業のあり方を示唆していると思った。

③萩市   都市景観のとり組み
 萩市は毛利家の城下町として、また明治維新の発祥の地としてたくさんの歴史のある街である。武家屋敷や土塀、商人の町屋が多く残っているが、宅地開発や観光業の発展によって歴史的街並みが破壊されるようになり、貴重な財産を守ろうと市独自の条例を定めたのが始まり。
 昭和47年に「萩市歴史的景観条例」が制定され、宅地造成や建築に際しての届け出を義務づけ、助言、指導、勧告を市が行うものです。そして景観保存に必要がある時は補助金も出していました。それ以来長い間、今の街並みを保存するために市民行政共々大変な努力してきたことが伺えた。
 また、その後平成12年に今までの条例を改正し、今までの歴史的景観保存はそのまま継続し、新たに都市計画区域の大規模建築物や都市景観指定の内容を付け加えた、「萩市都市景観条例」を制定した。歴史的街並み保存地域だけではなく街全体の景観を歴史の残るものにふさわしいようにしていこうというとり組み。建物や広告塔の高さ制限、外観の色彩などに対して助言指導していく規定があるが、特に全国チェーンのお店、パチンコ店など理解を得るのに大変苦労していると担当職員は話してくれた。また、萩市の基調色を焦げ茶色と定め、ガードレールや電柱などもその色に変えるようにしていると言うことだった。
 今までの歴史的街並み保存は、かなり行政が条例を元に強力に行ってきたものだが、、新たに指定された「伝統的建造物指定地区」では地元を中心に「まちづくり研究会」と言う自主的なグループが結成され、イベントを開催し、伝統的建造物の調査研究、地元住民の合意を得るための学習会説明会などを行政と行いながらすすめているということだった。 街づくりへの住民参加のあり方という面で示唆に富んだものでした。

 茅野市に来る人は何を求めてくるのでしょう。山、湖、高原・・・。何を大切にしていかなければならないのか、またそれをどのように守っていくか考えさせられました。

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