「背あぶらちゃっちゃ 」
朝イチで、本部のデスクから、電話が入った。
「今日警察から移送されてくる〇〇さん、そっちについたらすぐ納棺して、目張りしといて」
人は、病院で死なない限り、警察のお世話になる。
自殺・他殺・事故死・自然死、とにかくすべて、死の瞬間、医者が立ち会っていない限り、一度は、警察に集められ、監察医のチェックを受けた後、遺族のもとに返される。
たいていのひとは、遺体を運べるクルマなど持っていないので、葬儀屋の出番だ。
「ちょっとちょっと、オイラの自慢のクルマ、でっかいから大丈夫よ?」
とか、せっかくだが、そんな問題では、ない。
たとえばそれは、 ちょっとでかくて柔らかい本棚を、横にして、完全に水平な状態で 運べるのか?
と、いう、レベルの話である。
座席に座らせればいいでしょって?
まぁ、法律的には、問題ありませんが。
そんなことを言う君は、警察出る前に、死体遺棄の疑いで連行されるといいよ
警察から返されたすべての遺体が、自宅に戻るわけでは、ない。
遺族の希望や、住宅事情、遺体の状況をかんがみて、葬儀屋が遺体をお預かりする場合も、ある。
今回は、まさに、それ。
すぐ納棺⇒棺に目張り
お腐れ様(腐乱死体)の、黄金コンボである。
「了解しました。お腐れ様ですか?」
「 背あぶらちゃっちゃ だよ」
「・・・はい?」
だれがラーメンの話をしろと。
「風呂で死んだの。
一 週 間 前 」
・・・うわぁお。
「ひっでぇんだよ、ゆうべ△△(社員)に現場にホトケさん迎えに行かせたんだけどさ、手袋無しで持ち上げてタンカに乗せやがってさぁ。
そのあと手ぴっぴっとか振ってんの。
俺言ってやったよ、 おいおい人汁飛ばすなよ って」
「・・・こってこてですもんねー・・・」
「そーなんだよ。背あぶらちゃっちゃだよー。」
何度も言うな。
「まぁ目張りしても匂いはもれると思うから、ドライアイスと消臭剤多めに入れといて。
あと、匂いが移るといけないから、冷蔵庫には入れない方がいいよ。」
・・そうですねー・・・。
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