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2018.03.29
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時間が、 昨日のどこかで、くゆられる あぁ、そぉだったねと、 おおきな森のちいさな切り株みたいに ふつふっ、くつくっと イノチの物語に発酵しさらさら編集され 臥薪嘗胆(がしんしょうたん)より芽新生譚(がしんしょうたん)さ (ね、人生はフライ返しのたまごなの?) ほぉら、 ねむりこっくりすっかり うっかりそっくりひっくり返って ふらふら、ふぅらルぅプ 光イズムの囀りと、陰シズムの樹木と Fly high! 檸檬、オレンジ、マンゴウ、マスカット‥ カラフルな果樹は、貴方たち 疾風の、どんなナァセリィにだって まぁるくきらら耀いている いま花冷えの 「なごり雪ナウ」も去り、 まばゆくて、菜の花まばゆい私の言葉は ありがとう ありがとう あり・・・ 再生のメッツァ《森》より
2018.03.22
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廴の彩_zero 「光がZero に等しい、」と、兎。銀いろの耳をふりふり、「赤い時 計から 今, 迫りでた カオ ス、わたしが 七カマドの耀に くべる としよう。」 11月の、森の陽はちろちろ燃えイノチが一途に発色しています。 「まぎれもない 辛抱が コップリ,コップリ 貯 えられ、」と、栗鼠。飴いろの頬づえ をつき、「まがいものなく命 の 水になるから、まちぼうけの赤い時 計から 昔, 毀れた コスモ ス、まちどうしくて逆もてぎに 七輪,挿して いったよ。」 勝手の、土つき男爵たちは、押し合いへし合い泥仕合いしています。 どうやら垢ぬけ、コンロのうえでおしゃべりを始めたようです。 「秋の、縫い目には」 「 だれもが、」 「 摂理のスリープ,ストレイシープって いってた。」 「紅い実 は眠らず、」 「あぁ、」 「私はちっとも 眠れない。」 「空は、」 「砂糖菓子が哀しくなって揮発した」 「Indigo」 「ブルー,ブルー,ブルー。」 「片時も!」 「忘れてなかった、私の 靴。」 ぐつぐつ ξもおイモも想いも、ごった煮込んでいます。 あい色の、秋の夜長… ちいさな泉のそば、トチの大木はみんなの暖かなお家です。 黄いろい大きな葉は、虫たちの暮らしの夢床です。 「古今東西,なにせ医学書にもないこと、この命の 水を、ホーホー捧たる筆に縒り 合わせて秘鑰にし、だれにもホーホー分かる様 つづる としよう。」とは、梟の、 金いろの胸づもり。 頃合いも煮えて、宵あんばいです。 宴卓は、ナベとなべてサラの白い花がさいています。 いま、耳をくすぐった・・ あの扉のベルは、風のいつもの挨拶でしょうか。
2017.02.11
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廴の彩_zero 「光がZero に等しい、」と、兎。銀いろの耳をふりふり、「赤い時 計から 今, 迫りでた カオ ス、わたしが 七カマドの耀に くべる としよう。」 11月の、森の陽はちろちろ燃えイノチが一途に発色しています。 「まぎれもない 辛抱が コップリ,コップリ 貯 えられ、」と、栗鼠。飴いろの頬づえ をつき、「まがいものなく命 の 水になるから、まちぼうけの赤い時 計から 昔, 毀れた コスモ ス、まちどうしくて逆もてぎに 七輪,挿して いったよ。」 勝手の、土つき男爵たちは、押し合いへし合い泥仕合いしています。 どうやら垢ぬけ、コンロのうえでおしゃべりを始めたようです。 「秋の、縫い目には」 「 だれもが、」 「 摂理のスリープ,ストレイシープって いってた。」 「紅い実 は眠らず、」 「あぁ、」 「私はちっとも 眠れない。」 「空は、」 「砂糖菓子が哀しくなって揮発した」 「Indigo」 「ブルー,ブルー,ブルー。」 「片時も!」 「忘れてなかった、私の 靴。」 ぐつぐつ ξもおイモも想いも、ごった煮込んでいます。 あい色の、秋の夜長… ちいさな泉のそば、トチの大木はみんなの暖かなお家です。 黄いろい大きな葉は、虫たちの暮らしの夢床です。 「古今東西,なにせ医学書にもないこと、この命の 水を、ホーホー捧たる筆に縒り 合わせて秘鑰にし、だれにもホーホー分かる様 つづる としよう。」とは、梟の、 金いろの胸づもり。 頃合いも煮えて、宵あんばいです。 宴卓は、ナベとなべてサラの白い花がさいています。 いま、耳をくすぐった・・ あの扉のベルは、風のいつもの挨拶でしょうか。
2017.02.11
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風*で、swing,swim, 蟹^ がひらいて、チチチと夜゜゜が飛ぶよ。 (帰って来ない僕の声・・君の声・・)おおお、おおいと鷗&の、 風*でしたね。 rich、clutch、switch ハジマリ・・マッス・・。 しゃー・しゃー・しゃくらーれ・・ ものくろーれ・・ ――かぜ・・ 「な」を、 ...ナシミール、ナカミール、 ナイテール? あら。 それはさて波~に措きましょうよ。 にゃー!!! 風*で、swing,swim, 「み」を、はてさて、 舟にも負けず劣らずね。 ・・・どえらい だだだ、だだ、…たたた、たた、あ! あ!あああ!!! だだだ、だだ、 …たたた、たた、あ! 骨折ボキボキ、真相ボキボキ・・ ぐっ。だが。ぎゅっ。だか。 きゅきゅるきゅる・・。 (ああ、君のフライング、 秋へのカマイタチ! ) しゃー・しゃー・しゃくらーれ・・ ものくろーれ・・ ――かぜ・・ あ!あああ!!!トッチッタ、の国でも゛、 ぺぺぺ、の国でも、イケボの国でも、 ツクツクボーシ・・。 いがぐりあたま、 いか帽子がかぶります。
2016.09.21
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風*で、swing,swim, 蟹^ がひらいて、チチチと夜゜゜が飛ぶよ。 (帰って来ない僕の声・・君の声・・)おおお、おおいと鷗&の、 風*でしたね。 rich、clutch、switch ハジマリ・・マッス・・。 しゃー・しゃー・しゃくらーれ・・ ものくろーれ・・ ――かぜ・・ 「な」を、 ...ナシミール、ナカミール、 ナイテール? あら。 それはさて波~に措きましょうよ。 にゃー!!! 風*で、swing,swim, 「み」を、はてさて、 舟にも負けず劣らずね。 ・・・どえらい だだだ、だだ、…たたた、たた、あ! あ!あああ!!! だだだ、だだ、 …たたた、たた、あ! 骨折ボキボキ、真相ボキボキ・・ ぐっ。だが。ぎゅっ。だか。 きゅきゅるきゅる・・。 (ああ、君のフライング、 秋へのカマイタチ! ) しゃー・しゃー・しゃくらーれ・・ ものくろーれ・・ ――かぜ・・ あ!あああ!!!トッチッタ、の国でも゛、 ぺぺぺ、の国でも、イケボの国でも、 ツクツクボーシ・・。 いがぐりあたま、 いか帽子がかぶります。
2016.09.21
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嗚(オ) サない姉ノ火垂るイキ、ふ、フ、フ、ト吐に土にナくす、しーっ、 白、ク、泡立、つ、ツメ草を夜見ノ床に、嗚(オ)ヲ シまい妹(マイ)ノ、シまい繭ノ、シまい「アヱギ」ノ片喰(カタバミ)ノ 目にすみついタ、 サくラ花くラうララら、冥(クラ)埜ノ フたりノたり春ノ縁がワにゆきましタ、 ゆきヤナギはナガぁくてヤワらで、ラララ、カチゅうシゃ、ラ、ゆきヨ フたりノたり春イろはカルタしましタ、 「き」は首のナガぁいキリンさん、ううん、「さ」じゃなくッて サない姉ヲまって、イるキリンさん、そうヨ、そうネ…。
2016.04.14
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ずさんな糸くり、厨ごと。悪戯な仕掛けばかりが笑い出す。つまる、つまらぬ帆苅ごと。それなら、それなり。雨ふらしの声を、ガラス細工にきき分けて。ひかりを咲かせて。夜どおし由おこし、1つ1つの梁にする。
2016.02.13
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星(あかり)夜に入ろう心の空きかけて羽に2つの体温計が充ちているよ だれにも指の赤いシールはみせない 25時の小瓶抽斗にかくまわれてる星を、いくつも、いくつも、ともそう私のなかにジンジャー頭もどすまで
2015.11.21
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おととい過ぎの、ちったちった 無惨な散華が わたしの左の胸のサモワール無調法に沸かして ぷよぷよ、の音芽をうみます。 溺れる子葉な、びん、びん、びん、 声高にはずんでは床にまきかえっては。 どの珠も、 どのどの珠も、 あいらしいあたらしさで、でんぐりがえり。 いまからは叶いますか? 「そうですね。」とコニャはМ それでは、七色の、ああ、ありがたい。
2015.10.20
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詩が消えてしまわないように瓶のふたをキュッとしめた
2015.10.02
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ハイネの詩(うた) 花のをとめ をうたひては 君を想ふ やま越ゆ ゆき越ゆ きのうゆ過ぐ されど尚も 雨だれ 曲(たま)ぬらせば 君を慕ふ あゝ キリギリスは かの重荷を さめざめ ざんざめ 雨 と泣きぬ ぬ(野)ぐちに おきゐて 心にぬ(寝)る 君、 花をとめぬ あはれや ぬばたま 君を恋ふ 夢ぬの たえなる 花 夢ぬの たえなる 詩 …… ソレデモ、」 ヲ仔細 シテ サレ ソレデモ、」 ヲ世俗 シテ サレ 打消/接続/打消/接続 ウチケシ シテ サレ セツゾク シテ サレ 。 あゝ 永久なる 君 ぬばたま あどけのない 笑みして あやもわかぬ 須臾(しゅゆ)に咲きゐ あ(吾)が 雨の情に はなをとめぬ あ(昂)となれ たまなれ君 あめ(天)ふる きよらの はな あめ(天)ふる きよらの うた …… ※ハイネ『Du bist wie eine Blume 君は花のやうに』 野口雨情『ぬばたま』によせて
2015.07.05
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『レイニー・キャッツ 応援団』アイツら0のへっちょこ鼻の恋慕なら 8の字 ぶち込め多多、雑多、気ぜまな 忙しさ毛繕いできざんで 繰り繰り9回は時系列の餌食 青っちょ「1」が ぶっ飛ぶぜリターン!タッン!タン!ッ!雨、雨、雨、日、日、日、3日坊主の お天気 7曜 日曜 55(ゴーゴー)!2つのアイ 帽子に しかめりゃ 前髪 66(シックスシックス)!獣と耳(に)銃と似(に)柔と逃(に) 下駄ねこあついぜ4った あついぜ はねこのした Oh!雨、雨、雨、日、日、日、3日坊主の お天気 7曜 日曜 55(ゴーゴー)!
2015.06.22
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『花のスケッチ』花のこぼれ 落ちた先は 岩間から「ぬっ。蝸牛の しょった 陽のカタチが はな淡いよ三角 パレットを 舐めつくすと 紫陽花、可憐なはな の心臓が ときめき はじめた ( 泣いてる のだろうかな ) 花 須臾に咲いた はな つゆに咲いたぬるぬる 花に雨の ふらすこ 画家なら、丈いっぱいの はな 描く のだろうかな…。 ※ 須臾(しゅゆ):しばし。一瞬。
2015.06.22
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[ 都市構造: 音のヴィジョン ]街 は不思議 にシグナルを 守らせ壁 は雨模様 をペイントで 実らせ道 は未処理 にホワイトを 語らせ人 は季節感 をサウンドで 光らせ
2015.06.22
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「つぐみつ 2」歩みは ふっと新たな生殖の斐 をもたらしていま、泥めく 未成熟な青い魚 を月に 泳がせうすらに こわる詩を鎖ほどくそうして生まれる 泌を私は つぐみつ いるのだ
2015.06.22
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「つぐみつ」歩は 生の青さを かかえて天田の 泥の路も みましたうすらに こわる詩の テンポの鎖に 生れる泌よ つぐみつ
2015.06.22
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「冬のダンス」オレンジ でしたか 犬の散歩 ばかりで冬の陽 あおいで ブーツは あたたかきづかないの? が罪と いうのでしょかきずつけあう としても 2人は 恋仲では?黒い髪を ひとつに 結い あげていたとオレンジ の太陽を 心に 曳航した 僕紅茶は いまも同じ マーマレード言葉だけは さわらないわ とわらっていた 君
2015.06.22
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「ぬばたま十夜(焔)」奥路の火が 祖って射てあの山穂も 萌えゆきます鎹(かすがい)なく 扇状して雪に垂れる かえる野ですふるえふれる すがらにまめゆづひと ずんだのいろはるよこ とい たまかずらはあかやかにも りんごしゅ
2015.06.22
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「斐草子」青やか さ夜なら らっぱはらっ ぱっと嘯き月のかお見 ても あしもと踊る影ふっ とうしている 水の色は かなしと15の うさぎが こい というのです
2015.06.22
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『いま紫陽花 君へpoem』花びら ざわつき 梅雨ぞらから。ドロップス。今夜の 靴の音が 歌わないの きっと気まぐれ ホントウ のせいね つまづくだけ ツヨクなるよ便利な コトバ並べ ほほM ポエムは携帯から ささやく 遠距離 恋愛だね と彼に いわれて泣いてる子に ホントウだね といわないで 励ましてる 私がいる うつむくだけ ツマラナイよ雨傘 かたむけ 頬ぞらから。ドロップス。 ホントウ が紫陽花の 色みたいに かわってく机のうえ ノートの ホワイト色チビてく 鉛筆から 心うつし鏡のなか 笑顔もどし 君の生きる 詩に 染まりたいな
2015.06.22
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道(1) 「The Road Not Taken」by Robert Frost によせて森ではイエロウ早(さっ)に色づき樹はしづやかだった私は、その森なか立っていたゆく末 わからぬアノ2本の道分岐点で道それこそ自然のなりゆきから造作もなくただ 分かれていたそう辿れずあの道 この道在ったあれらは 虹をいれた想えばまだ 無邪気な トランクだった耽れば…唯、sorry(ソーリー)…でもないあの頃独り旅は 慣れ私は、長い間アノ2本の道 その分かれにひとりきりで佇み…その 道の1つその ゆく末へと目を据え見たけれども道の折れた 先には叢だけ あって未来は 消えいっていた
2015.06.07
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『ジュレる羽』水にふたつ 燃え空にふたつ 裂け ああ… 忘れて ジュレるは ねえ… 咎なら いづこに怯えて小夜 軋みのなかああ 水鳥 の涙だけ渡ってく 絡み合いが逢い愛だと哀しい目で憚り、囀り、其れほど アラレもなくやみ夜に撹拌され 澱んだ喘いでいて羽、瓦礫の銅かった いまは垢い 略奪から 更なる 紅奪われ羽、耀々 明かったもの いまも尚も 赤くあったと私たちに 羽、 マッサラーマと 平和あれと戦場へと白い羽が 翔け祝福をと生まれるもの私たちの 闘う血だと うぶ毛を 撫で …統べるものは 砂塵と ああ… 忘れて ジュレるは ねえ… いづこに
2015.06.07
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『step-by-step』ポポ、ポ! ポポ、ポ! ボム!ポム! 僕が歩くのはアスファルトのうえじゃじゃなじゃない与えられた教科書は頭のカバンに格納(かくのう)撹拌(かくはん) フォルムから、思い思いの、綿帽子!ポポ、ポ! ポポ、ポ!拘束(こうそく)のモノクロが 光り 輝き始めるのは、君の 笑顔 が ポポ、ポ! ポポ、ポ! (ふわり 綿帽子みたいに僕の心に (ふわり 舞い降りるからポポ、ポ! ポポ、ポ! ポポ、ポ! ポポ、ポ!まだ夢の色はみつかってない、けどまだ夢の色はてにできてない、けど 一歩 一歩 ・ ・ ・ ポポ、ポ! ボム!
2015.06.06
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トコヤ『はらっぱーな床屋さん』ぽっこ ぽっこと ひなたきていろいろ ふ~わと お!ひっこし 「ワタボウシサン、ゴチュウモンハ?」 「かぜさんの すきなやつ」こっこ こっこと ひなたきてきょろきょろ ふ~わと お!ふみきり 「ヒヨコサン、オコノミハ?」 「おひさんの すきなやつ」もっこ もっこと ひなたきてそろそろ ふ~わと え?ちゅうしゃ? 「ドウイタシマショウ、ケムシサン?」 「…いたくないやつにしてね」
2015.06.06
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≪ 斐然章 ≫ 1. 古代カルデア語の綴れ織り、『ザディッグ』。 書物はいつの世にも肥沃な永地を生んだものなのだろうか。 サディの翻訳は「黄金の穀物」といわれるだけあり 未知なる耕作を見せてくれるのだけれど。 2. 夜の帳に 女たちのフォルムは支配され くりかえされる むつみ愛 寝台のアラレモナイ軋み 蜜夜のアラレモナイ喘ぎ けれど飛礫してしまう のは、ナニカが損なわれたから のは、ナニカが過ぎたから 愛憎の糸に絡まりつづく、 宿命は 日ごと繰り越され粘くなるから 妬みの飴細工 灯せば、溶けだす痛みたち 千夜一夜に 疼く花たちの悲願が 濃縮の蜜をうむ 3. 否応もなく、昼の行事が始まる サルタンのご寵愛を一身に受けておられる、 美しく麗しく聡明な妃シェラー様におかれましては…云云 彼らの辞令には決まって きらびやかな 型番のついていそうな 意匠のベールが用意されている だが メソポタミアの民は知っている 星座を詩う、 日焼けの羊飼いの少年が 言葉の杖をかざし 心に瞬く、標をさす夜の訪れを おお! オロズマッドの神の 御前に 真実を告げる者ザディッグ なんと 世間の事実とは 事情の付箋された引用 それも覆われて バビロンへの道は遠ざかる サルタンのご寵愛を一身に受けておられる、 美しく麗しく聡明な妃シェラー様におかれましては…云云 こうしていても埒はあかない 寵妃への社交辞令に すわっと解き放つ、女彪の足どり・・ 4. 『ザディッグ』、 叡智溢れる物語り さすがサディだわ だが、と妃シェラーは鎮まりへと精神を向け 召使の差し出す葡萄酒を、机にと、ほっそり指す サディが殊更に 酷評を 妃シェラーに望んだ、わけ。 アラビアでは物語りの器は シェーラザード姫の美酒に充たされていて もはや噂話の酔いなしには 文字に意味を見いだせないとすら楔されている サディが望んだのは 酷評をも生む 至上の文学への希求であって 能わぬ者の戯言ではない “女彪のアメジスト” 時の著名な文人たちが 妃シェラーの批評眼を称したものだ それ故、 やっかみの口ぐちが 妃シェラーの女彪のような肢体のこなしに 淫らの汚れ を塗ろうにも叶わなかった だが、サルタンに嫁して 一度たりとも “苦蓬”(にがよもぎ)月につかまれていないのは やはり寝所での秘め事によっているのは確かだ 千夜一夜は 悲しい性(さが)の文学なのだと 妃シェラーは思う 今宵、 サルタンは隣国に出向いていて 『ザディッグ』の囚われ人は自由だ おお! 月が照らす、 文学、という陶酔 秘匿の時の樽から注がれるのは 魂の詩! その美酒に、ひとり酔いしれるのもわるくない “女彪のアメジスト”に火がともる 5. 裕福な名門の家の息子、ザディッグ。 知的で人柄のよい、容姿にも恵まれた主人公が 世間の悪意やご都合主義のせいで 幾たびも命を落としそうになりながら 仕舞いには、バビロンの王に迎えられるというお話。 だが、物語は完結していない。 この日の朝、 サディのもとに届けられた羊皮紙には 妃シェラーの七行の詩 沙漠のオアシスに緑がやってきた 小鳥はいくつものさえずりを甦らせるだろう 隊商の人々は郷里の言葉をとりもどすだろう 樹下の駱駝はふたつのねむり わたしの白日夢はそうして花の色をみる やがて実のはつらつとした甘さ この胸の躍りをいかにしてうたおうか サディは紅潮した面持ちで 返信をつづる 極上の斐の布、 極上の果実、 となる『ザディッグ』 きっと献上いたしましょう
2015.05.16
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『マグノリア・ブロッサム』 いまマグノリアが白く芳香しているよ。つやのよい緑の肉をエアロビックに繁み合わせ、気迫の澱をスプレーしたような錆色の裏打ち。そこに精神の排泄をみて、裸心のエロスに僕はふるえる。 この陶酔の園路が切り開された先には、アメリアの精神が僕の人生に自由の翼を広げるだろうという幸せの予感が待ち受けている。時代の喪失は、僕の背広と革靴を旧びたものにするかもしれないけれど、アメリア、君というマグノリア・ブロッサムの鴇色のほほ笑みを僕の傍に見出すとき、僕はいつでも裸心のエロスにふるえることができる。 だが北部出身で苦学しようやくに職を得た僕に、この館は厳然たる南部の文化を突き付けてきた。君の大伯母さまたちに、彼グラント将軍夫妻が東洋の国ジャパンで自ら植樹したのがオレゴン原産ローソン・ヒノキと南部原産ホソバマグノリアだった話をしても、「サザン・マグノリアの美しさは格別ですものね、博識さん。」南北戦争から一世紀経つ今も、「さんざめく屋敷」と君が呼ぶ大家族は僕に南部的“由緒”というものを問いただす。 アメリア、君は、マグノリア香るよく手入れされたこの庭をも越えて、僕という人生の冒険に一から飛び込んでくれるだろうか。君は僕のこんな不安を笑うかもしれない、スティール・マグノリアの強靭な艶やかさで。あのマーク・トウェインの名言を引き合いに出して。 僕はアップルパイが好きだけれど、君の作るペカンパイを愛している。園路の先に、噴水の前に。巻き毛の美しい君が立つ。初めて君を見つけた、あの日のように。一歩ずつ、一歩ずつ・・。
2015.05.16
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「つるつたえ」そらのそらぞらしそらはそらぞらしのばせば ゆびひとつはわせば ことばひとつ とおい陸地(おか)の 遠めがね どこまで摘んでも ゆめ生える まつり笛の音のようと はる草の色いうおらのそらぞらしおらもそらぞらしのぞめば ゆびひとつはこべば ことばひとつ
2015.05.16
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「掲示板」わたしは景色に危うく浸透される、類から種へ個々には、文明の生命化此処には、時間の空間化わたしたちは型式に恐らく吸盤される、在から来へココ茲には、蔓延の企及化
2015.05.16
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≪ ツナミ異夢 ≫ 薫る風が、ワタシをあしらう。浜の砂粒ひとつ、舞い上げられずにいて…笑ってやる。あの日に痕ずさるワタシを止められない風を、笑ってやる。 ちいさく、風紋は、心にはぐれて。記憶をゆらし、海をくゆらし…。 落ち葉に見えたのは子犬で、梅雨入り前の浜に子犬を見つけると、アナタとワタシは幼い顔で座りこんで。「スバン」なんて名まえ呼びにくいのに、二人うれしそうにつけたのは、それが弟の口癖だったから。隣のお兄ちゃんの投げたボールがミットに音たてるたび、「スバン!」て。 あれから4年だね。今やまらかな三陸の浜風を、ワタシはアナタと笑って、笑って…。≪ 誕生石 ≫ 「一発ゴール、決めるよ。」 「・・イカ酢なんだから。」 うみの、明るいまたたきを きみに届ける 俺のとっておきのスケッチみたいに あの3月の暗澹なんかじゃなく… 喪われし骨の、なんとも碧いねむりの底も 陽色のひなげしの花ゆれり りんりん、と りりん、と りり、と ・ ・ 波 網 舵 沸 ・ ・ イカ舟、 夏のイカ舟に、また乗るよ。 俺、 そうして きみに届ける うみの、エメラルドグリーンのまたたきを 俺のとっておきのシュートみたいに。
2015.05.16
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「花薬」 あてがわぬ踏み ひとつ 夜もすがら こみちの果ての ふところに かえる心地で ぴょんと跳ね にぎり食む つぐんだはしから こぼれきて 花の片より 目に薬 やわらむくちに 春ならいの あ、まい雪・・ さくら片より来て 空が住む
2015.04.13
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咲いている青い花 あのひのみちのりこんなにも 息しているよ わたしきり ひらかれるき、よらに姉が よらに 咲いている *演習*「おさない肺」
2015.04.13
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しるすべのない 理由 という ぶっしつがわたしを 白きものに かえて ゆき *演習*「声のする装飾」
2015.04.13
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わたしは しばりつけられた ものの きわみのはてで わらい もののようです と、紅い くち *演習*「あたらしい薔薇」
2015.04.11
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ゆるい垣根づくりの葡萄畑で、ゆうべは白いうさぎと出会った。ぴ、ぴぴ、とハレーションする風の息に、ふたつ耳をそろえ傾けている。 ((( 夜の底、しんしんしんと月の髪。物語のグラスが色づくまえに、すでにハートの鍵は握られている。うさぎが、私を葡萄色でみつめた。 ≪ アール・の青い湖に、心は、 全身の息を生にくり込みダイヴする。≫それは言葉の注がれた葡萄なのだろう。赤いふたつぶが、白いうさぎの目になり私に問いかける。一輪車の轍、シロツメクサが拉かれている、その先、身構えられた、大地の、やわらかな自由が広がる。 ((( 夜の底、こんこんこんと土の笛。焦がれた茶色の土壌に、根が手をのばし、浸し、浸す、滋養の水が動いている。と、白いうさぎ。いま、畝間のラインを駆けアールを描いてゆく。 白いうさぎ、 が時、をま綿、に妖し、く躍る、 ヌーボー、 の蒼夜の硝子。 白いうさぎが、 時間をフックにカガヤキ跳ねる、 デコの、 金月の窓絵。止まらぬ光陰の矢をココにとめ、永遠をうつしみにデザインする。が、野性の、白いうさぎ。その、跳躍は生命のアスレチックな機能だ。恐れも慄きも、驚きも、その身体エネルギーにタメ生きる瞬瞬を爆発させ、まえ脚で トン! 突く、うしろ脚を トーン! 蹴りあげる。今宵の、澱みのない月射の中をゆらぎなく駆けてゆく、烈しい運動能力。 白いうさぎが、光陰の矢となり葡萄畑の χ を越える、 アールのままにアールを超え、野性を生きる。自然の青い海に、魂は、やわらかなメロディーを生命にくり込みダイヴする。そうして、雨の日は…ほら、ナラの木の洞のうち。ひとり泣くことも、あるだろか。 よるの胸 しんしんしんと 月のかみ… よるの腹 こんこんこんと 土のふえ・・・
2015.02.10
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6) 空のからくり時計は、私のようには躊躇をもたず陽射しを動かしてゆく。 膜の間から。死んだものへの“世界確認”―― 鶏のように、飛べない羽根でも空を忘れずにいて、 カテナリー曲線を焦がれて上ろうとしては、 夜空に張り付いているでしょうあの影絵、術力の強い火の鶏冠、 波に氷を敷きつけ風に流されるあいまいな夢の雲は、みずを白粉にして、 よどみのない水面へと呼び戻す。 鶏は腕時計のガラスみたいになった。 向こう側とこちら側の緊張。天秤、その均衡の美は決して、 人生を安易に生きさせはしない だが緊張に筋疲労してしまうといった捻じ伏せられたイビツサはない。 「kaqui…。」 ガウディ・メイドの暮らしを綴りたくて、 2年契約で日本語教師兼家政婦の仕事を引き受けた。 (おーぷん・ゆあ・あいず?) 最初の年、スペインでも柿が普通に市場で売られているのを見て、 フシギな感覚に落とし込まされた。 皿の上で半熟という詩がフォークとナイフのある食卓に構造される、 ダイニング・テーブルの上の光景に、 柿をガプリとやりたいと妄食する私がいて、 「(牡蠣?)」 それは私が食餌欲求を起こしているのではなく、 不吉な韻律をひびかせながら、頭の皮を引き剥かれた、 様式の源にある、液体-海-心の産湯への浸かりたさが、 感触の穴たちにムズカシサを感じさせたものなのだと気づいた。 「柿の種…。」 日本の海にほつれる光に散乱されて、つくつくぼうしがうまれ、 1つのウタを敷島として耳にひびかせる。 その峠を超えて、私は様々に蒔かれた時を旅する。 「火気――。」 スペインの柿は細長。 掌のうえの立体分度器がカテナリーする。 ポエジーな偏微分は、夢想の中の微笑ではなく、 今、ツルツルと実体を光沢させる『柿』なのだ。 白、鳩の、羽音の、青い色の、大空までの、 眩 し い 軌跡のひろがり――。 唐突なのさ、とくすぐる 鐘の音、が ほら、(ほら、) 翔けあがる子午線上の朝のつややかさの指の先を、 迎えて、あしもとに 着地、を っ、 と さ せ る か ら 。 地を踏み、しめ、 た 。 ――――――正午の鐘が鳴る、ガウディ・メイドの朝に。
2015.02.09
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1) カテナリー曲の、 しみ (で・たらめ)こどもタッチの紙魚。 それでも懸垂線になる。道路の交差点の信号の、 蜘蛛の巣になる。無情な宇宙の存在―― 洗浄泡つけて (で・めきんの目を拝借)まあるい――。 セントルイスのゲートウェイ・アーチ。 あるいはブラジル、フロリアノーポリスの、 ヘルシリオ・ルス橋。 でも炎と化した仮面さながら気味の悪い静寂の気球の内部。 必要なのは、青いスポンジ。 はずれた車輪としての、あたし。 (で・らっくす)壁を遊泳せよ。 2) 1月21日(水)午前6時半:私室 ノック、ノック。 子供部屋の2つ。白いドアの可塑。 規則正しい砂時計。まだ色褪せた光の浴槽。 「コンテ・スティック(sticks)」 「コンテ・クレヨン(crayons)」 ≪≪≪ ポエジーな偏微分 ”ガウディー・メイドの朝” ≫≫≫ continue statement...continue statement...... 「ま しま ろ。」 → マフラー 」骸骨。「 → 体操着 ...窓は夢の扉...薄い唇... ...朝まだき...まだ夢遊病... (...半ば閉じている眼...するりとあらわれる嘘の絵...) 「も へあ。」 → フランス語の絵本 」伝書鳩。「 → パソコン ...煮とろけたレモン...汚い卵の黄身... ――赤と黄色を混ぜ合わせながら・・・ ≪≪≪ ポエジーな偏微分 ”ガウディー・メイドの朝” ≫≫≫ continue statement...continue statement...... 「しろう さ ぎ。」 → 縄跳び 」教師。」 → キーホルダー ...ゆるやかな時間...沈殿槽のなかの活動... (...しゃれこうべ思い出す...そのぽっかりと穿たれた眼窩は蛇の巣穴...) 「あ いす。」 → リップクリーム 」時間。「 → 宿題の紙模型ハウス 「たい む。」 → トイレ ...甲高い響きの金属音...うしなわれた遠い笑い声... ――紫のドーム・・・ 妹「ふわ」と 」ガチ「 ・・・・・・・・・・・・(兄、のお出かけ前、忘れ物チェック。) ・・・・・・・・・・・・(お決まりの連想ゲーム。) * 7時20分お迎えの幼稚園のオレンジ色バスと、 7時10分のヒマワリ色スクールバスと。 時間の違いで、おしまいになる。 ところで知っていますか、 幼稚園に入園可能な子供の年齢は3歳から5歳、 保育時間も一日平均4時間。 <質問>迷路の入口って何ですか? <回答>かたつむり・・・! 兄妹の頭のなかのカオス経路は、今朝も、 白色に明滅してるかな? っと、それは野暮かな? なにはともあれ、忘れ物ナシ! 3) 1月21日(水)午前7時50分:一階 ノック、ノック。 奥様のベッドに珈琲とトマトゼリーと新聞をお持ちして、 壁の煉瓦色にカメレオンする。その瞳はおぼろな大輪。 虫眼鏡と水晶のプラスアルファ。 擬態する。それでもシャボンの泡をつけたようなほっぺたが揺れる。 旦那様はビジネスで「ニーハオ」の国にジェット中。 いま、成熟の前におののいている内気な揺れ。 4) 1月21日(水)午前午前9時53分:インターフォン ピンポーン。 迎えの美術商の赤いアウディが停車しているのかをコナンする。 大きな影を放り投げて、寒冷紗する。ホ・ムズする、 ポ・アロする。トネリコの入り組んだ枝の合間から。 「ソーセージ雲…。ガウディ・メイドにはうってつけのお日和ね。」 「いってらっしゃいませ。」 5) 『誰がヤモリだろう』 た、てがみ梳く女、 「青い」すい、―― す、い、せ、い、 ふき、ぬけて、 それ(ドレミ)だからだ、 といちず意に、 き、り、き、ず、 ふと、手を「白い」・・・、 が波、なみ、だ、 * 『フライするパンのみみ』 通りをエビに埋めてしまった私がジャガイモ羽ばたく9姉妹ですから、 るったるった、おん、るったるった、おん、うおん、 パン手渡しフライするパンともかく川がするりん泳ぐ、 るったるった、おん、るったるった、おん、うおん、 そいつらまずは10の黄金とりかかりやがるでしょう、はい、 るったるった、おん、るったるった、おん、うおん、 合わせると、19のきいろいたまねぎがパンの耳になる、成金のすすめ、 るったるった、おん、るったるった、おん、うおん、 19のきいろいたまねぎは38のありえない手すき和紙。 * 『市場へは8分』 かいもの、かごをかかえて、かんがるうみたい、なの、 えぷろん、まえポッケには、カメレオンのさいふ、 した、が、アクロバティック、 ぷーぷか、トランペットのひびき、 架空・仮装・滑空・滑走・スケボー走らせ、 銀色、雪花石膏のいなづま、 かすりもし、ない、ない、(な、)な、(な、)いの、は パプリカ)オニオン)キャロット) 魚は獲れたて)チーズ)レーズン)ヨーグルト ここらで、ココアな公園へアダージョ!
2015.02.09
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第2詩集『不思議の泉』amazon販売←共同出版:お師匠さんの塚元寛一さん & 青山ライフ出版 電子版はコチラhttp://pocket.jp/?p=2398 よろしくお願いします~♪
2015.01.31
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カテナリー曲の(で・たらめ)こどもタッチの紙魚。洗浄泡つけて(で・めきんの目を拝借)まあるい。青いスポンジ(で・らっくす)壁を遊泳する。1月21日(水)午前6時半: ノック、ノック。 子供部屋の2つ白いドアが可塑する。 ≪≪≪ ポエジーな偏微分 ”ガウディー・メイドの朝” ≫≫≫ by しぇりー「ま しま ろ。」 」骸骨。「「も へあ。」 」金塊。「「しろう さ ぎ。」 」教師。」「あ いす。」 」時間。「「たい む。」妹「ふわ」と」ガチ「兄、のお出かけ前、忘れ物チェック。お決まりの連想ゲームは、7時20おむかえの幼稚園のオレンジ色バスと、7時10分のヒマワリ色スクールバスと。時間感覚のちがいで、おしまいになる。ましまろ = マフラー ↓骸骨 = 体操着 ↓もへあ = フランス語の絵本 ↓伝書鳩 = パソコン ↓しろうさぎ = 縄跳び ↓教師 = キーホルダー ↓あいす = リップクリーム ↓時間 = 宿題の紙模型ハウス ↓たいむ = トイレ兄妹の頭のなかのカオス経路は、今朝は「白色」に明滅してる?なにはともあれ、忘れ物ナシ!午前7時50分: ノック、ノック。 奥様のベッドに珈琲とトマトゼリーと新聞をお持ちして壁の煉瓦色にカメレオンする。 旦那様はビジネスで「ニーハオ」の国にジェット中。午前9時53分 ピンポーン。 迎えの美術商の赤いアウディが停車しているのかをコナンする。「ソーセージ雲…。ガウディ・メイドにはうってつけのお日和ね。」「いってらっしゃいませ。」 『誰がヤモリだろう』 た、てがみ梳く女、 「青い」すい、 ふき、ぬけて、 それ(ドレミ)だからだ、 といちず意に、 ふと、手を「白い」、 が波、なみ、だ、『フライするパンのみみ』通りをエビに埋めてしまった私がジャガイモ羽ばたく9姉妹ですからパン手渡しフライするパンともかく川がするりん泳ぐそいつらまずは10の黄金とりかかりましょう、 『市場へは8分』 かいもの、かごをかかえて、かんがるうみたい、なの えぷろん、まえポッケには カメレオンのさいふ 架空・仮装・滑空・滑走・スケボー走らせ、 かすりもし、ない、ないな、いの、は パプリカ)オニオン)キャロット)魚は獲れたて)チーズ)レーズン)ヨーグルト ここらで、ココアな公園・・・午前11時15分。空のからくり時計は、私のようには躊躇をもたず陽射しを動かしてゆく。鶏のように、飛べない羽でも空を忘れずにいて、カテナリー曲線を焦がれて上ろうとしては、地上へと呼び戻される。その均衡の美は決して、人生を安易に生きては生まれない。だが緊張に筋疲労してしまうといった捻じ伏せられたイビツサはない。「kaqui…。」ガウディ・メイドの暮らしを綴りたくて、2年契約で日本語教師兼家政婦の仕事を引き受けた。最初の年、スペインでも柿が普通に市場で売られているのを見てフシギな感覚に落とし込まされた。皿の上で半熟という詩がフォークとナイフに構造されるダイニング・テーブルの上の光景に、柿をガプリとやりたいと妄食する私がいて、それは私が食餌欲求を起こしているのではなく、様式の源にある「心の産湯」浸かりたさが、感触の穴たちにムズカシサを感じさせたものなのだと気づいた。「柿の種…。」日本の海にほつれる光に散乱されて、1つのウタを敷島が耳にひびかせる。その峠を超えて、私は様々に蒔かれた時を旅する。スペインの柿は細長。掌のうえの立体分度器がカテナリーする。ポエジーな偏微分は、夢想の中の微笑ではなく、今、ツルツルと実体を光沢させる『柿』なのだ。白、鳩の、羽音の、青い色の、大空までの、眩しい軌跡のひろがり…。唐突なのさ、とくすぐる鐘の音、がほら、翔けあがる子午線上の朝のつややかさの指の先を、迎えて、あしもとに着地、をっ、とさせるから。。。地を踏み、しめ、た。正午の鐘が鳴る、ガウディ・メイドの朝に。。
2015.01.31
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イラスト: しゆう(糸憂)さんツイッター: しゆう*糸憂 @junju_usakohttps://twitter.com/junju_usako/status/552484779661467648/photo/1 二兎物語 「あたし、きな子」 「えーっ!わたすもよ」 「・・・なんか、きなくさぁい」 「えへっ、ほんとは、わたす、あん子」 「あん子ころころ」 「ぷぅぅぅ」 「あはは、ふくれっつら、かおが二ばい」 「ひゃ、いま、おろしてぇ!」 やっぱイソベさいこー!
2015.01.12
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イラスト: 創作するなっつあん、電子書籍でたよさんhttps://twitter.com/natsu3939/status/548036833829863424/photo/1 ホワイトチョコがすき どくろ 髑 髏にも一縷の羽音、わが窓に降り
2015.01.10
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ほんとうの、言は心の良いかおりを連れて、ほら今しがたや、わ、らかな赤い帽子で「管」の歌。 ありがとう あたらしい、いくつもの「ありがとう」 管のプレゼント。 ○ ○ ○ わたしからは、噤みの扉のむこう 緑のモミの木 もふもふウサギ、おしゃべりしましょ。 ノック、 ノック、 ノック、白ウサギ。
2014.12.23
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【 ハロウィンリンク隣区 】とっておき、闇のランタンともマッチの棒らみつめく目の、子箱かついでつい今しがたつごもりドアは覚ました発火な仔馬や、七、のとおりハナミズキの赤いすべ走るるンゾゾ、ぞンゾゾつきよ、と戸
2014.10.25
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【 勹の夜 ~木の匙より 】 子ぎつね踊る勹 の夜ブッ・ポウ・ソウのなぞをかけざざんと闇に波うって月を、食(は)むドンとつまり > 月を、開(あ)くぶっとび発破かけたらさんざめくホオの葉ぬけてほらら、金いろの丘 ○ ○ ○ああ、赤いまわたのように始めて、赤いが)カランカラリと子ぎつねの海から、はてさて懐中時計のトックントクリに、莟むばかりと)モノ申すのです。それは 勹 の夜のこと。ブッ・ポウ・ソウの、とおく、ちかくひとり何処にもゆきませう。なんどとささやきかかる、月を食(は)む。擁姿なき音の、今しがた。くりこしてある、月を開(あ)く。ああ、赤いはじけかかった白が、赤いが)カランカラリと子ぎつねの母さま恋しにほらら、木葉木莵はeyeの振子時計をトックントクリとほらら、アイ、に合わさりゆけば、もうろう空気は遠い近いの森のみちと)モノ申すのです。ざざめく、おっきなホオの手くぐったらひしめく、とがったモミの髭ぬけたなら――――蒼い海、――――――碧い海、――――――――青い海、をかかげて森のそらには金いろ月。まる鷹ぼうしの守のようにシテして、子ぎつねカランカラリと、子ぎつね跳ねた 勹 の夜のこと。トックントクリと、熟れて、弾けて、たまごの仕組みは、宇宙(ボオル)の海に昔からあった時計なのその憧れは始まりの、炎(ポウル)だからと)モノ申すのです。ああ、赤い炎(ポウル)のような白が、赤いが) 勹 からはじけた夜のこと。 ○ ○ ○扉体(ひたい)のむこうは、料理店『勹(つつむ) radical wrap』の夜の厨房。子ぎつねシェフは、密かに創作中。
2014.10.16
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【 勹の夜 ~wooden spoon 】 ああ、赤いまわたのように始めて、赤いが)カランカラリと子ぎつねの海から、はてさて懐中時計のトックントクリに、莟むばかりと)モノ申すのです。それは 勹 の夜のこと。ブッ・ポウ・ソウの、とおく、ちかくひとり何処にもゆきませう。なんどとささやきかかる、月を食(は)む。擁姿なき音の、今しがた。くりこしてある、月を開(あ)く。ああ、赤いはじけかかった白が、赤いが)カランカラリと子ぎつねの母さま恋しにほらら、木葉木莵はeyeの振子時計をトックントクリとほらら、アイ、に合わさりゆけば、もうろう空気は遠い近いの森のみちと)モノ申すのです。ざざめく、おっきなホオの手くぐったらひしめく、とがったモミの髭ぬけたなら――――蒼い海、――――――碧い海、――――――――青い海、をかかげて森のそらには金いろ月。まる鷹ぼうしの守のようにシテして、子ぎつねカランカラリと、子ぎつね跳ねた 勹 の夜のこと。トックントクリと、熟れて、弾けて、たまごの仕組みは、宇宙(ぼおる)の海に昔からあった時計なのその憧れは始まりの、炎(ぽうる)だからと)モノ申すのです。ああ、赤い炎(ぼうる)のような白が、赤いが) 勹 からはじけた夜のこと。 ***扉体(ひたい)のむこうは、料理店『勹(つつむ) radical wrap』の夜の厨房。子ぎつねシェフは、密かに創作中。
2014.10.14
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【 勹の夜 ~total lunar eclipse 】 子ぎつね跳ねた 勹 の夜ブッ・ポウ・ソウのとおく、ちかく月を食(は)む月を開(あ)くほらら、木葉木莵の目ほらら、さんざめく朴の葉ぬけたら金いろの丘。
2014.10.14
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【 勹の夜 ~fox dance 】ああ、赤いまわたのように、赤いが)カランカラリの子ぎつねの懐から莟むばかりと)モノ申すのですそれは、勹 の夜のこと。ブッ・ポウ・ソウのとおく、とおくひとり何処ゆきませう。なんどとささやきかかる、月を食(は)む。擁姿なき音の、今しがた。くりこしてある、月を開(あ)く。ああ、赤いはじけかかった、赤いが)カランカラリの子ぎつねの恋しからほらら、木葉木莵のeye。ほらら、アイ、に合わさってゆけば、もうろうの森の道と)モノ申すのですさんざめく朴の葉をぬけたならシテをして、子ぎつねカランカラリと、金いろ月に。それが、子ぎつね跳ねた 勹 の夜のこと。
2014.10.12
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『天気』 天気はどこか人に似ている 晴れは元気なイメージ 曇りは何かを抱え込んだイメージ 雨は泣いている 雷はイライラしているイメージ でも違うところがある 人ははっきり言えない人と言える人がいる 天気ははっきりと言える * * * * * かなしいだけの豪雨があふれて、名前の捜す数を刻む。 今日もつづいてる、阿佐(あさ)のニュース。 お母さんは朝からカラカラしゃべりすぎて、アサリの味噌汁はアワアワふきこぼれて、弟は浅ぐろい顔でとろとろふわふわ半熟の目玉焼きじゃなきゃイヤだぁと言って、おじいちゃんは「香ばしい…。麻美さん、この麦茶、美味(うま)いね。」と姿勢よく経済新聞をひろげて、おばあちゃんと美少女っぽいじゃなくて美少女なのよのツンデレな妹は近所の美大生やストリート・ミュージシャンの人たちとこの夏限定のパフォーマンスとかの朝活にでかけてて、お姉さんは花の女子大生だものとレトロな理由づけしながらお気に入りの‘ジノリ茶碗の白’ってやつでアッサム・ティーひとりだけ飲んでて、お父さんは二日酔いでまだフトンの中であさぼらけなんだろうな。弟からハイ!お兄ちゃんたべてって回ってきたホントは僕だってイヤなんだぞー!って言いたいかったい目玉焼きは僕のくちの中で、お姉さんの心理学レポートみたいな音を立てて簡単には飲み込まれまいとしてる。 「私が考えるに、この詩の場合は少年期の…。」ゆうべからお姉さんのレポートに捕縛されていた僕の詩が、自由を求めてテーブルの上にスカイ・ダイヴ。おい、『天気』くん、僕が作者だからって、そんなすがるような目でこっちを見るなって、姉上のご講義、おとなしく聞け。 「あのな、知美、いいか、詩ってのは自由な生きものなんだぞ。学問なんぞの檻に飼育しようったって、そうはハート問屋が卸さねぇよ。」お父さんがパジャマ姿でイスにすわる。「ハート問屋だなんて、ずいぶんとオジサンくさい台詞だね、せめてアート問屋くらいのこと言えないのかい。」おばあちゃんがポンとお父さんの肩をたたいて、朝活から帰ってきたスポーツ・ウェアのまま妹と台所にいく。「香ばしい…。麻美さん、この煮出し麦茶、美味(おい)しいね。」おじいちゃんとおばあちゃん…、人も人に似てたりする。 詩を奪還して、僕は庭でお待ちかねのジョンと散歩にでかける。 むくむく曇り空をもちあげてゆく風に、河原土手を歩く。 ふと思いだす、ニュースの阿佐の画像、ちょうど僕と同い年…、ちゅうとはんぱな気持ちだよ、こんなの。突然、ちゅんちゅん、ちゅん!ちゅうちょのない羽で、僕のコトバをかすめ飛ぶ小さなさえずりたち。そのキセキの先で、灰色に縮こまっていた天気が大きな青を広げはじめてる。もっと、もっと、もぉっと、雲を吹き飛ばしたくて「天気は、晴れ!」と言い放つ。もう、ゆうべ胸いっぱいに轟いた雷も、けさ頬にぬれたかった雨も、白く過ぎていく晩夏のアルバムにしまおう。ジョンが「わん、わん!」と詩をうたいはじめる。そうだ、青空はいま始まったばかりだ。
2014.10.01
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ダブル・インテグラル∬~夏の肖像1.蜜の眼 男から。 女から。 絡(から)からから、心が暴れているのだろう。 女から。 男から。 「Mさんは、なんで僕にはキツクあたるんやろ。」 「猫のしっぽよ。」 「虎のしっぽっス、ありゃ。」 女から。 男から。 絡(から)からから、心が妬けついているのだろう。 男から。 女から。 私は知っている。知って、森のつい密かな入口に。うごめく風穴の声に今しも停まったといわんばかりの言うなれば過失のレンズのように。私は輐(まる)くしずかに嗤っている。 彼女は私が知っていることを知らない。知らずに、光沢の鈍らされたささくれた赤を。その爪もかつてはとふと回想の眩い切れ端に脱け出してはみたものの。敢え無いのね、が口寂しくもある彼女。上背のある彼の湖(うみ)には彼女をうごめかせる水晶が浮かんでいるから絡からから。 その映画館はもうすっぽりと。彼女のものになったのか担ったのが彼であっても。いつからいつまでの開館などという時計の針を確かめるだけの時間軸はこの際ふっと横切られただけで。チャイムも、ベルも、アラームも、もちろん論外なのは仕事メールがすし詰めされたのはいつからだったかを追う芽がのびず女(め)ばかりがのびること。それにしても、敢え無いわね、と無為なしっぽをひと振りする。彼女の映画館とは他ならない彼の瞳なのだから。 斜め向かいの机の前で。トンネルの出口に密かな立眩みを待つような、浮きがちなけだし沈む目線の先に。私は彼女の知らない彼女を見ている。そして彼女はそのことを知らない。知らずに、彼の湖(うみ)に浮かぶ水晶のスクリーン。果てのない筋書きのないイメージを写しだし出し抜かれた彼女の現実が厭うほどに。どんなにか抱きしめられたい。2.キス 「男嫌いっつーか。」 「だから猫のしっぽ。そうだ、ね、猫は魚とりたいよね。」 「あっ、まさか、それはアカンて、僕、ほんま彼女のこと苦手やし。」 「そう言わずに、ね、週末、彼女も誘おうよ。」 受診。 処方箋。 精神安定剤。 睡眠導入剤。 お会計。 安眠。 疾苦を委ねられるS心療内科。人のほっそり湿った動きが吸いこまれる度に、ふっと視界にモスグリーンの丸帽子をかぶった建物が拡率される。扉はクリームいろの顔の口。フシギの扉が古い街の澱(おり)のような薄暮にもふわっと開かれるようにと殊更な拘りの建築デザインで、私の姉が自分のクリニックに童話作家であろうとした夢を実現させた現像。さながら幻像のように、半年ほど時を置いてうっとり佇む姿をあらわした建物はまだ初々しい。 その日暮れ、ここのところ寝つけずに会社からハイヒールでも10分足らずのS心療内科を受診する、彼女。処方は1週間のお陰さまの2種類。ちりちりと脳内でスパークするあの映画館を薬に溶かし込むと安堵して眠れる、と彼女は時間を買う。買った時間はくつがえり靴が見つからなくても夢の神殿に昇れるのだからと。仄かなトキメキが壊してゆくものを厄介そうに彼女は懐いて。懐ききれなくて。 「受診?…あなたも眠れないとか?」 「あは、メッチャ寝過ぎだって叱られてます。ここの先生、私の姉なんです。」 「お姉さん?ふふ、それもそうね、あなた悩みなさそうだもの。」 「ま、よく言われます…そうだ、Mさん、キスはすきですか?」 「キス…尻軽女って言いたいのかしら。失礼な子。」 「あ、キス、魚のほうです。週末、浜で投げ釣りするので、Mさんも来られませんか?」 「よすわ、日焼けしそうだし、第一、釣りなんてしないし、私。」 「Mさんはお客さんしてて下さい。釣れたらT君のお兄さんが調理してくれるので。」 「T君のお兄さん?砂浜で天ぷら?」 「あ、いえ。T君の家、浜からすぐなんです。キスのお刺身もメッチャおいしくって。」 「私、遠慮するわ。お兄さんと面識ないし、T君のことだってよく知らないし。」 「お兄さんも釣り仲間も気さくで、皆、美人に弱いから。Mさんなら大歓迎ですよ。」 「あなた……。」 「あは、ただの釣り仲間ですって。」3.∬(ダブル・インテグラル) 8月が夏を溢れる。溢れて、アフレコの否応もない心を波面にゆらゆらと。けれど通電の華を浮かびあげたところで、次くる夏はもはや、と肘をつく。末那識(まなしき)のだれにも等しい最後通牒はだれにも等しくない捲られ方ででたらめで確かさ。かさのない蝉の命と、止まり木に余すところなく震わせて。誰にもあることなのに、と溜息をつく。 水色のビーチ・パラソルの内にすんなり収められた女は、ヴァロットンの油絵『ボール』に奥まったまま点(とも)されているかのよう。水平の動きのある波打ち際には釣り人たち。それを、それぞれを、総べてをにして鴎の鳥瞰がクァークァーと獲らえる、人も魚もWなインテグラルで、潮風にピチピチと躰を小刻みに振動させているという。午睡の白い夢∬は、キスの廿積分…。 碧と。 紅と。 絡(から)まり、心が乱れているのだろう。 紅い。 碧い。 「Mさんは、兄貴の好みのタイプなんやて。意外やな。もしか知っとったんか?」 「お兄さん、うる星やつらの虎皮ラムちゃんのファンでしょ。彼女、虎のしっぽだしね。」 「えっ、そこつながる?」 紅い。 碧い。 絡(から)まり、心が燃えふれているのだろう。 碧と。 紅と。 緩な、けれど容赦のない、下り坂。くすぶるような彼女の蒼ざめた不治の傾斜はいかにも、根気を入れて無音でじりじり炙り出し。だれにも例外のない、繰り上がってゆく指数的な人人人人人人人人人人の、弱さ/脆さ/危うさ/卑しさ/意固地さ/意地悪さ/我が儘さ/妬み深さといった。煩悩の凡庸ですらある彼女の小さな巣窟から、だが、それは、ダーク・ワールドが満々と自信に満ち無尽の魑魅魍魎を送り込んでいるに過ぎず。かくも蔑(ないがし)ろに闇の管体はかくも容易く、彼女を見れば私のレンズの遣る瀬無い、嗚呼。 蝉に時雨れる。いまごろ彼女の、紅い、紅い、柔かい唇は、あのお茶目だけれどふいにガラス細工のように色の透きとおってしまう純水な湖(うみ)にではなく、更に上背のある彼女の不治の運命をも寡黙だけれど温かに千年も万年も溶かし込むほど、碧い、碧い、深い海に。めぐり逢いに濡れてあまやかに昂揚した紅と碧はやがて、芯をよせあうから絡まり絡まり擁きあい‥い‥く。*** Mへの手紙 *** この島の南側の入り江。 避暑のため、姉の借りた家から浜までは。 裏道を下れば10分とかかりません。 なにが楽しいって。 イルカです。 哺乳類の獰猛さを絵に据えるのは。 あの赤ちゃん顔とイタズラな仕草のまえでは。 ムズカシイしいようです。 ここの光には。 時間が。 過去・現在・未来、それぞれのベクトルを。 自由に集めているような。 そんな秘密があるような気がします。 いま、私の頬を。 かすめたのは、去年の8月の光です。 その中にはアナタがいて…。 いま、私は。 入り江の碧い色を目映く見ています。 (なぜ親切にするの?) やや怒ったように尖った表情(かお)。 のアナタが。 美しかったから、哀しかったから。 でも本当の理由は。 人間らしくあるアナタだったから。 つややかなコエ。 のびやかなヒレ。 奪われた術で、統べで、総べで。 その償いで。 人魚は。 踏み入れた新世界に。 何をえたでしょう、えるでしょう。 あの頃のアナタは。 手の中のその無数の答えを。 埋め込んで。 見つからないと泣いている。 砂場の小人で。 人間という。 美しくもあり醜くもある魂の住処へ。 その扉体(ひたい)を。 私に、密かにひらいて見せてくれたアナタへ。 黙して…。 アナタにどんな慰めももたない。 私なのだから。 こうして。 唯、こうして。 ささやかな贈りもののように。 1篇の詩。 人魚の詩(うた)。 心やわらに光と闇の∬が解かれるように。 心やさしく慈と悲の∬が解かれるように。 すっかり頑なに。 すっかり固くに。 乾涸びてしまったアナタの人生のルールが。 詩(うた)の風に。 つややかに、のびやかに。 ほどかれるように。 無為な。 無力な。 言葉という幻想が。 いつかアナタの魂の鈴となるように。
2014.08.11
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麦わら帽子~タイスの瞑想曲によせて すっかり青さが地の力をすって目を覚ましたようです、おねえさま、麦の葉のふとり方もこごみ方もゆうゆうと丸くて、威勢がよいとはこういうのを言うのでしょうね。わたしの詩もあんなふうに、生きていることを吹き込むくらい勢いのあるものだとよいのだけれど。さ中の七月もようは、雨の水色(すいしょく)を空に蒸発させたあと青色がぐんぐん力をつける道への扉をもっているように見えます。その扉体(ひたい)のあちこち小さな歪(ひずめ)を開いて手鏡で光をとび跳ねさせているのは、きっと人間好きな‘汗だく’というやつですよ。おかげで額やら頬やら、麦わら帽子をかぶって農場の小道をあるく絵の中のわたしもキラッキラッと光のしずくに遊ばれてちゃんと、笑わないでね、ちゃんと人間臭くいます。 そうそう、今日こそは、おねえさまに麦わら帽子たちの「ほんとう」を耳うちしなくては、おねえさまがこそばゆいピアニッシモにおもわず笑んでしまうくらいのコトリで。だって「ほんとう」というのは、プーシキンの『小鳥さん』のように終(しま)われたコトバの扉を開け放てば自由さのなかに羽ばたいていって世界の歌を始めて、もう誰か一人のうっとりのためだけに囀ったりしないでしょ。心の籠から放たれるべき囚われのコトバの羽、その『小鳥さん』を詩として解き放つのは、勇者の魂ですよ。いましている兎の腕時計は三年前のクリスマスの朝におねえさまの驚きの箱からわたしのベッドに跳び込んできたもので、それからというもの仄かな瞬きの魔法時間をとどけてくれています。「ほんとう」が本当に大空の羽になってしまうまえに、その魔法時間でおねえさまに「ほんとう」を耳うちしますよ。えっと…、麦わら帽子でしたね。 時折、しろい雲と走るいたづらな風にくすぐられたように、村の入り口にあるユズリハの樹が葉を高いところでオッチョオッチョと揺らしたりするので、わたしのつば広の麦わら帽子はあわてて頭のうえでプルプル。この部屋の窓はしんぼうづよい画家に違いありません。風景画の中を行き来する村人たちや旅人や虫や動物や風や光や雨や星や月、出来事や、長い沈黙や、昔からの悲しみや、子どもたちの欲望や、交通ルールの義務や、だれのものでもない宝ものや、だれかの大好物や、正義や、恋人たちの約束や、収束や、祝祭日や、夏市場のスイカや、歌と踊りや、お年寄りの楽しみや、ちいさな憐みや、思いやりや、想い出、そして「ありがとう」や「ごめんなさい」や「こんにちは」や「ごきげんよう」や「ほんとう」や「うそ」や「どちらでもない」までをもじっと黙って見つめて時間の象(かたど)りに描いているのですもの。この夏休みをとおして、風景画の中のこどもたちの頭のうえでは、野球帽やヘルメットを除けば、たいていは小ぶりな麦わら帽子たちが白やら赤やら青やらのリボンをきちんと巻いてオシャレにふるまっています、おねえさま。でも、麦わら帽子たちの「ほんとう」は、コトリ。空を飛ぶこと。リボンを魚の尾ひれのように大忙しの方向指示器にして、ほら、村の入り口のユズリハの樹てっぺんに一つばかりとまっている麦わら帽子にはリボンがないでしょ。どうやらリボンのほうは、村に一軒だけある画材屋さんに立ち寄ってうすくなってしまった赤色を調達しているらしいのです。じきユズリハの樹で落ち合っていっしょになって星空を夢のように飛んで、『UFOになった麦わら帽子と赤いリボン』、おねえさま、これはそのときにわたしの書く詩のタイトルです。きっと、そうやって西條八十の『帽子』も谷へとヒュ~ルリヒュ~と飛んでいったのかもしれませんよ。いまでもあの縁側で『帽子』を読むおねえさまの声がわたしの胸にしまわれています。それは褪せない、しあわせのアンダンテ…。 まえの道で犬がないて、昼の色を白くあふれさせます。この家の隣には人なつっこい三毛の子ねこがいます。むかし飼っていたうちのねこに少し似ていて、子ねこの名まえは、そういえば名まえはまだきいていませんでした。おねえさま、もし誰にも「ほんとう」があるのだとしたら、わたしにとっての「ほんとう」は、スズランの花のようにリリ~ンと可愛くわたしの名まえをふるわせて呼ぶ懐かしいおねえさまの声と、あの麦わら帽子。不治という言葉は、運命の黒い裂け目のようにある日とつぜんに襲ってくるけれど、魂という言葉は、その裂け目を飛び超えさせるだけの愛と勇気の力にみちたものだと、おねえさまの歳月をみていて思います。この夏のこの村での滞在でしあげたいのは、そうした魂の「ほんとう」の物語です。あすは蟹をさがしに磯のほうまでいってみるつもりです。麦わら帽子の絵は、今もおねえさ病室に飾っ…風?…この…香水…ねえさロータス…………………あゝ「ほんとう」の…、麦わら帽子です。
2014.07.17
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