南蛮語、変遷す



ばてれん、はらいそ、などの南蛮語は、パードレ、パラディ-ソ、などを音写したものであり、
語頭にある「パ」が、「ば」であったり「は」であったりするわけですが、
アクセントが第一音に有れば「ば」という強い音になり、無ければ「は」という弱い音になったわけです。

当時、日本語の「はひふへほ」は、今日のそれ ha、hi ・・・ ではなく、子音はp、b、fの中間の音でしたから、この平仮名で違和感無く代用できました。

その後の時代に、fに近い音は、原則としてhに変わり、南蛮語のなかでアクセントがある時などはbに発音されるようになったわけです。

並行して、和語のなかでは、
語中、語尾にあるhの大部分が、wに変わるものと、bとして残るものに分かれ、さらにwの大部分は消えてしまいました。
すなわち、
「はひふへほ」は、「ばびぶべぼ」として残る部分のほか、
「は」が wa となり、「ひふへほ」が i 、u、e、o と変わったのです。

この結果、伴天連たちが持ち込んだ「るしへる」という名前は、
当時はほぼ正しくrushiferuと発音されていたにも関わらず、
和語と意識的に区別されない状況では、近世から近代を通じて、rushieruと発音されたわけです。これがルーシェルの起源です。

しかしながら、
芥川龍之介が引用した古文書などでは、漢字が当てられており、feに対しては「辺」「布」という文字を選んでいるので、
これらに目を通した人たちは、「ルシヘル」「ルシフル」という、より正確な読み方を知っていたはずです。

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