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2006年05月10日
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"小牧の戦"と来たら"長久手の戦"となるんですが

文章長くて、ずーっと辟易してました。


一念発起。
ε=ε=ε=ヾ(´▽`*)ノ☆ガンバッテカクゼヨォォ☆ヾ(*´▽`)ノ=з=з=з


書くことにします。

好きなんで。へへへ

**************************************************

長久手合戦図屏風.jpg


家康は、小幡城にあって、八日の夜半に斥候(ものみ)を出して敵情をさぐらせた。
そのころはまだ細い雨が止んでは降り、降っては止んでいた。地上はかすかに道が光って見える程度で、具足のままでのぞく城の窓からは、若葉の匂いが汗ばんで感じられた。



そして、それらの報告を取りまとめて小幡城に引き返してきたのは丑満(うしみつ)どきであった。

家康はその広孝の口から、池田勝入と森武蔵守が夜を徹して三河を目指していることを聞くと、

「岩崎城をそのままにして行くらしいの」
誰にともなくつぶやいて吐息をした。

「して堀秀政の軍勢は、池田勢に続いているのか」

「いいや、少し遅れておりますが、あるいは秀政、われらの進出を感づいているかもしれませぬ」

「ふーむ。それで三好秀次は?」

「これは川を渡って猪子石(いのこいし)の白山林まで来て、ここに宿陣いたしておりまする」

「そうか。それはよい!」
家康は、緊張しきって控えている旗本を見返って、

「では、出掛けようか」


最後尾の秀次勢の位置がハッキリすれば、すぐに行動に移ることになっていたのだ。
先手の将は大須賀康高、続いて榊原康政、岡部長盛、水野忠重父子の順で、ここでも丹羽氏次ぐが道案内役であった。

目指す猪子石は、小幡の南方約二十七、八丁。

そこまで隠密に進出して、夜の明けるのを待ち、一挙に白山林の秀次勢へ襲い掛かるつもりであった。

秀次勢八千が、どのような構えでこれを迎えるか。堀秀政や、池田勝入が、この奇襲を知って、どのような反撃に出てくるか?それらに対してはすべて臨機応変、得意な野戦で各個撃破を展開してゆくよりほかにない。



ここに本陣を置いて、まず夜明けを待とうというのであった。

夜が明けると堀秀政勢の位置がハッキリする。
それを確かめてから、次の行動を起こす気なのだ。

権道寺山に登りついたころははや空が白みかけていた。
池田勝入が、岩崎城を攻めようか?それとも捨て置いて進撃しようかと考えているころであった。

「夜が明けたらの、何よりも先に堀勢の位置を確かめ、これにはこれで、別に攻撃をかけねばならぬ。内藤四郎左と、高木主水(もんど)は、その用意を」

家康が命じているときに、ワーッとどこかで鬨(とき)の声があがった。
「はて、白山林であろうか。それとも街道筋であろうか」

(街道筋ならば、勝入が城攻めに違いないが.....)
家康は耳を澄ましてまばたきもしなかった。

おそらく池田勢が岩崎の城攻めを決心したころに違いない。十九歳の三好孫七郎秀次は、白山林の幔幕のうちで、うとうとまどろんでいた。

戦の経験はさしてない。が、叔父秀吉からも、父武蔵からも絶えずきびしく武将の道は説かれている。それだけに秀次もまたここで池田兄弟や、森長可と武勇を競う気であったが、しかし、周囲は彼を労(いた)わりすぎるきらいがあった。

それに総帥として最後尾にあるというのが、彼にはいささか物足りなかった。
敵は常に前方にあると思い込んでいるせいであろう。

「.....このあたりから張り切ることはない。しばらく休んで明朝しっかり腹ごしらえして行くことじゃ」

秀次は、十分先の苦労に備えるつもりで、付き人の木下利直や利匡(としただ)と計ってここに兵をとどめたのだった。

利直や利匡、それに小姓頭の田中吉政などは、秀次を労わる気があるので、自分たちだけ先に陣中を廻って、炊飯の用意にかからせていた。

「一刻を争う進軍だぞ。やがておん大将から命が下ろうほどに、今のうちに朝の炊(かし)ぎすましておけ」

そう言われて、兵はそれぞれ林の中でその用意にかかっていた。

むろん秀次とて、自分では眠る気はなかった。兵を休ませて明日に備える名称のつもりであった。それがうとうとと夢路に入っているとき、ワーッと時ならぬ奇襲の声を聞いたのである。

「吉政!今の声は.....」
跳ね起きざま、秀次は槍を取って幔幕の外へ走り出た。

まだ夜は明けきっていなかったが、そこここに焚き火と、度を失った人の姿が眼に入った。

「何事じゃ。いさかいか。軍規をみだると許さぬぞ」
と、そのとき、ころがるように彼の足もとへ駆け寄ってきたのは木下利匡だった。

「孫七郎君、敵でござりまする」
「な.....な.....なんと!?」

「徳川勢の朝駆けにござりまする。日ごろのご鍛錬をいかすは今。落ち着きなされて.....」
そう言った利匡の方が、秀次の眼にもおかしいほどに狼狽している。

「あわてるな!」
と、秀次は叱りつけた。

「つねづね申しつけてあること、一人もあまさず討ち取って、叔父上の名を辱しめるなッ」

言葉で言えば簡単だった。秀次はいきなり槍を取って、行く手も見定めずに駆け出そうとする。

白糸おどしの具足に同じ白の袖無し羽織をつけた姿で徒歩(かち)なのだ。利匡は飛びつくようにして抱きとめた。
「なりませぬ。おん大将でござりまするぞ孫七郎君は」

「おう、大将ゆえまっ先に出て行くのじゃ」
「なりませぬ。そのお姿ではすぐに鉄砲の.....」

そこまで言ったときに、ドドドーッと、二、三十挺の銃声が左手にとどろいた。

「あ.....」怖さを知らぬのも、戦になれぬ若さから。この銃声で、無理に地べたへ押し倒されると、はじめて秀次はゾーッと全身に悪寒(おかん)が走った。

本能的に生命の危険を感じとったのだ。

**************************************************
参考 山岡荘八・徳川家康第十巻/乱戦より

つづく

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*この書き込みは営利目的としておりません。
個人的かつ純粋に一人でも多くの方に購読していただきたく
参考・ご紹介させていただきました。m(__)mペコリ





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Last updated  2006年05月10日 14時07分01秒 コメントを書く
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