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2008年03月30日
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山岡荘八著書の中で僕の好きな言葉
「この身の道理を野ぶれば天地に満ち、天地の道理を縮むれば我が一身のうちに隠れる」 を書いているくだりです。
この文章読んだだけではチンプンカンプンですが、これを読んだら分かると思います。

時は、ちょうど関が原の3年後、少したって秀忠に将軍職を譲り、大坂の陣が始まる前の伊達・キリシタンによる不穏な動きが出始めのころです。

***********************************************

家康は、自分の周囲に、家康の肚を謀りかねて、不穏な空気がただよいだしていることには気がつかなかった。これが、直接合戦につながるような性質の不穏さであったら、彼は皮膚でそれを感じ取ったに違いない。

ところが、太平の世の底に、新しくうまれてゆく不穏の芽は、彼にとっても経験のあることではなかった。

いささか気になることといえば、秀忠上洛のおりに、秀頼が挨拶に来るのを拒んだことであったが、それもこれも時を籍(か)せばひとりでに解決することと軽く考えている。
そういえば、その前から大坂にはいささか気負いすぎた感じがなくもなかった。


しかし、これとて、考えようによれば、いかにも子供らしい微笑ましい競い心の現われといってよかった。あるいは千畳敷と呼ばれているのだから、キッチリ千畳なければ嘘になると、少年の秀頼が言い出したことかもしれない。

「.....どうじゃな秀頼どのは?」

兄秀忠の代理として、大坂におもむいた六男の忠輝が、役目を果たして伏見へ戻ってきた折に、家康は、忠輝の秀頼観をそれとなく訊(ただ)してみたことがある。

そのとき秀頼より一つ年上の忠輝は、ちょっと首を傾げて考えるようにして、
「.....少々ひ弱そうに見えまする」

そう言ったあとで、あわててそれを訂正した。
「.....背丈はわれらよりも高うございまする。あのぶんでは六尺豊かの偉丈夫になりましょう。太閤殿下というお方は、そんなに大きなお方だったのですか」

「.....いや、太閤殿下は、それほど大きなお方ではなかった。そなたとてわしよりずっと背丈は伸びている。戦のない世で、のびのびと育つせいであろうよ」

笑えながらそう答えたのだが、どうやら忠輝の眼に映じた秀頼は、気性の点で、幾分忠輝に軽く視(み)られた気配があった。

そこで家康は、二人の官位の差について、それとなく言い聞かせたものであった。
右大臣といえば、忠輝のいまの官位の左近衛少将とは比較にならぬひらきがある。それゆえどこまでも高位の人に対する礼儀を失わぬようにと.....



その秀頼が、今度は醍醐の三宝院に仁王門を寄進するという。三宝院は太閤が贅(ぜい)を尽くして最後の花見をやったゆかりの地だ。

「.....父君を忘れぬ殊勝なお心がけ.....」

そう言って褒めてやりながら、しかしこれも競い心の現われかな?ふっとそう考えないわけでもなかった。というのは、これより一月ほど先に、高台寺が出来上がり、北の政所の貞淑さが都の噂になっているからだった。が、むろんそうしたことは今の家康にとって、心をよぎる太平の春の微風にすぎない.....

***********************************************No.01
参考 山岡荘八・徳川家康第二一巻/巨樹の思案より



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*この書き込みは営利目的としておりません。
個人的に一人でも多くの方に購読していただきたく
参考・ご紹介させていただきました。m(__)mペコリ





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Last updated  2008年03月30日 10時59分56秒
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