2007年01月16日
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○花村委員長 これより会議を開きます。
 本日の日程は刑事補償法案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、本日の日程に入ります前に、昨日梨木委員よりの質疑に対して保留されておりました答弁を、この際求めます。高橋検務局長。
○高橋(一)政府委員 それでは昨日梨木委員からお尋ねのありました、横浜の海烈号事件で、法務府の報告を受けました内容を御説明いたします。犯罪の日時は、本年八月十七日、場所は川崎市扇町所在、日本鋼管大島工場でありまして、被疑者は中国側が合計八名、船長その他船の乗組員や、それ以外の商業その他に従事しておる人たちでありまする日本側の被疑者は合計六名でありまして、その氏名は阪田誠盛、三上卓、板垣清、橋本武、志間忠兵衞、大窪謹男という人であります。以上十四名であります。捜査の端緒は、八月十七日に前に申し上げた大島工場の埠頭において、被疑者の一人であります阪田が、その場所の警備の任に当つております第二公安警備司令部警備員に対して、荷物を運搬したいんだが便宜を與えてもらいたいということで、十万円を贈賄しようとして発覚したのであります。犯罪事実の内容は、阪田と申しますのは、満州事変以来中国各地で日本軍側に協力し、いわゆる支那通として活動したもののようでありますが、終戦後中国から引揚げ、極東経済研究所というものの幹事長に就任して、現在に至つておるようであります。その者が従来自分の部下であつた板垣清が、先般中国国営の招商局所属船海烈号に乗つて、香港から日本に帰つて参ります際に、船中から電信で連絡をいたしまして、今回の密輸に協力方を頼まれたもののようでございます。それで阪田は知合いの三上に相談し、さらに知合いをたどつて大窪及び志間忠兵衞と相談をし、志間が運搬関係について橋本に話を持ち込み、結局橋本がトラックを用意して、八月十七日、問題の埠頭におもむいた際に発覚したということになつております。当時陸揚げしようとした物資は、米国製ペニシリン、ストレプトマイシン及びサッカリンがおもなものであつて、個数は三百六十五個、総見積り価格は二十万米ドル相当と言われております。阪田は八月十四日に、板垣を通じまして荷主でありますところの中国人側から、運動資金として現金、小切手を合せて百九十五万円ばかりを受領し、それぞれ分配しておるようであります。本件の捜査は、日本側では全然やつておりませんで、占領軍側の横浜第二公安司令部において担当いたしております。その後本人たちの身柄につきましては、阪田は保釈金百万円をもつて在宅になりましたが、同様百万円で在宅となつた中国人の劉というものが逃走した関係で、その保釈を取消され、他の者と同様現在勾留されておるもののようであります。この問題に関しまして、こちらでわかつておりますことは以上の通りであります。
○梨木委員 この密輸事件に関連いたしまして、特に今度逮捕された人々は、この以外にも相当多額の密輸を計画し、また実際成功しておるということをわれわれは聞いておるのでありますが、この点について、検察庁はどういうような捜査をし、どのように事実が判明しておるか、これを伺いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 その点につきましては、現地の検察庁でもおそらくそうであろうと思いますが、法務府といたしましては、ただいま申し上げたことのほかには事情を知つておりません。
○梨木委員 この事件で逮捕された三上卓、これは御承知のように五・一五事件の関係者であります。こういう人がこの密輸に関係しておる。そうして彼が逮捕されて語つたところによると、この密輸によつてもうけた金で、かねての志を実現しようと考えておつたということは、とりもなおさず軍国主義的な、国家主義的な計画を実行しようということだと思うのであります。そうすると、こういうような人々が計画的に、つまり軍国主義的な計画を実行するために、軍資金を集めるための運動がなされておつたということが、これによつて明白であります。そこで特に最近いろいろと原因不明の奇怪な事件が起つておる。たとえば下山事件だとか、あるいは今度の三鷹事件だとか、松川事件だとか、これらは現在検察庁が手を入れたところによると、何か共産党と関係があるようなことが宣伝されておるのでありますが、たとえば去る十月二十九日に、国鉄信濃川送電線が何者かによつて妨害された。このために東京地方においても、幾らかの間停電しておつたという事実があるのでありますが、この事件の犯人として検挙された上村達雄という人間がおります。この上村達雄という人間は、過般の国会の本会議におきまして、問題となりました新亜通商、これは大体われわれの調べたところによりますと、密貿易を主として目的としてつくられた会社のように思われる節があるのでありますが、この新亜通商の中心人物であるところの今成拓三という人の分家にあたる今成クミという人の家に身を寄せて、お世話になつておつたということが判明しておるのであります。この人間がこういう信濃川の送電線の妨害をやつておる。しかもこれは現在捜査の進められておる段階におきまして、この事件が起ると同時に、やはりこれは共産党がやつたのじやないかということで、いろいろとそういう調査が進められておるのであります。しかしこれは上村という人間がつかまつたので、右翼系統の人間がやつたものだということがほぼ明らかになつたようでありますが、下山事件にいたしましても、すべてまだ明確になつておりません。そうすると、こういう密貿易から、地下組織を通じていろいろな軍資金が出て、その軍資金におどらされて、いろいろな原因不明の事故や事件が引起されるということが歴然としておると思うのであります。しかもこの新亜通商の立役者と言われておるところの今成は、こういうことを言つております。現在いろいろ原因不明の事件が起つておる。これはわれわれの聞いたところによりますと、どうもこういう地下組織の連中のやりそうなことだという趣旨のことを言つておる事実があるのであります。そうしますと、これは非常に重大な問題だと思うのであります。でありまするから、この点についてまず私が伺いたいのは、この信濃川送電線妨害事件の犯人の上村達雄と今成拓三との関係を、どういうふうに調べられておるか。この点を伺いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 ただいまの点につきましては、ただいま手元に資料を持つておりませんので、お答えができません。
○梨木委員 それではその次に、新亜通商というのは、実は中国との貿易で、約四億円ばかりの砂糖の密貿易に成功しておるということも、われわれは聞いておるのであります。こういう点について、法務府には一体どういう報告が入つておるか。検察庁はどうい捜査を進めておるか。これを伺いたいと思います。

○梨木委員 そうすると、あなたの報告のあつた事件だけを見ましても、これは重大な事件であります。特に右翼的な三上卓であるとか、支那通と言われて今度の戦争に協力した戦争犯罪人的な人物との連絡のもとに、こういう密貿易が行われておるということは、これは重大な事件であります。この事件を契機といたしまして、最近こういう密貿易の大がかりなものが行われたという事実が、われわれ民間人の耳にさえ入つておるのに、取締り当局に何ら今日までそれがわかつておらぬということは、これは重大な怠慢だと思うのでありますが、一体これは全然調べておらないのか、知らないのか、調べようともしないのか、これをひとつお答え願いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 上村達雄の問題につきましては、検察庁が調べ、あるいは報告をしておらぬという意味ではなくて、私がただいま手元に資料を持つておりませんのでお答えをいたしかねると言うにとどまるのであります。もちろん検察庁においては、重要なる事件につきましては、熱心にこれを捜査いたしておるものと考えるのであります。
○梨木委員 私が申しましたこの新亜通商の問題も、一回四億円何がしかの砂糖の密貿易に成功したというのですが、この点はわれわれ民間人の耳にも入つておるのでありますから、この点は一体検察庁が調べておられるのか。今わからないというのならば、次会までに御報告を願いたいと思います。
 それからまたこの三上卓だとか、あるいは坂田誠盛だとかいう人たちと、他の地下組織との結びつきというものについて、どういう程度の調べを法務府はやつておるか。これをひとつ明確にお知らせ願いたいと思うのであります。私は一時質問を留保いたしまして、さらにその御答弁を得た上でお伺いしたいと思います。
○高橋(一)政府委員 上村達雄関係につきましては、承知いたしました。海烈号関係につきましては、いわゆる裁判権の行使に関する問題でありますけれども、現在勅令三一一号というのがございまして、それの第一條に定める事件につきましては、日本側では公訴を提起してはならない、こういうことになつております。この勅令の根拠になりましたのが、昭和二十一年二月十九日付の刑事裁判権の行使に関する覚書でございますが、その覚書によりますと、日本側で裁判権を行使し得る犯罪でありましても、占領軍側におきまして、これは占領軍の軍事裁判所で管轄するのであるというふうに、具体的の事件について認定いたしました事項につきましては、やはり日本側には裁判権の行使が禁止されているわけでございます。従いまして、現段階におきまして海烈号関係について検察庁が捜査をするということは、穏当でないとわれわれは考えております。
○梨木委員 今お答えがあつたのは、貿易等臨時措置令ですか。
○高橋(一)政府委員 勅令三一一号と申しまして、連合国占領軍の占領目的に有害なる行為に対する処罰等に関する件という勅令がございます。これによつて向うのやる事件とこちら側とがわかれておりまして……。
○梨木委員 それはわかりました。しかしこちらといたしましては、できるだけ占領目的違反の犯罪についても捜査しなければならぬ。いよいよ捜査しまして、あるいは事件によつては、連合軍最高司令部の方でこれを裁判するということになるかもしれませんが、私はこういう日本の民主化を非常に阻害するような犯罪については、日本の官憲といたしましても、極力捜査を進めて行かなければならぬという見解のもとに立つて、どの程度のお調べをしておられるかということを伺いたいし、これはやはりしなければならぬものだと考えておるのであります。
 それから今成拓三という人は、われわれの聞いたところでは、元ビルマ首相のバーモ氏をかくまつたという経歴の人のようでありますが、この人は一体公職追放か何かになつておるのでありましようか。その点お伺いしたいのであります。
    〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
○高橋(一)政府委員 ただいまお尋ねの点は、特別審査局の所管になりますから、私からお答え申し上げかねます。

○梨木委員 私はもうこれで打切ります。







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最終更新日  2007年01月16日 09時40分14秒
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