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2020.10.14
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カテゴリ: 映画・読書


タイトルのアス(us)は、そのまま「私たち」の意味。

主人公一家が、自分たちとそっくりな「ドッペルゲンガー」に襲われ恐怖を体験する物語です。

あらすじ、
1986年の夏、幼少のアデレード・ウィルソンは両親とともにサンタクルーズにある海沿いの遊園地へ遊びに行く。
両親が目を離した隙に、一人でビーチにあるミラーハウスに迷い込んだアデレードは、自分と瓜二つの少女に出会う。
慌てて探しにきた両親が彼女を見つけたとき、たった数分間の行方不明中の出来事により失語症となっていた。

現在、大人に成長したアデレードは失語症を克服し、夫のゲイブと娘のゾーラ、息子のジェイソンと四人の家族となり、一家でサンタクルーズにあるビーチハウスを訪れる。
夫がビーチへ遊びにいくことを提案するが、アデレードは反対した。しかしながら、夫に説得され一家はビーチへ向かうことに。

アデレードが少し目を離したすきに、ジェイソンの姿が見えなくなり、幼少期の出来事を思い出した彼女は、慌ててジェイソンを探しに行く。
ジェイソンはトイレへ向かっていたが、その途中で腕から血を流しながら立っている男を目撃していた。
無事、アデレードはジェイソンを見つけ、一家はビーチハウスへ戻る。
帰宅してからアデレードは、ゲイブに幼少期のビーチでの出来事を伝える。
このビーチハウスで過ごすことを不安に感じているアデレードをゲイブは宥めるが、遂にアデレードが恐れていたことが起こってしまう。
日が暮れてから、家が停電してしまう。
そしてジェイソンは、外に4人の人影が立って家の方を見ていることに気づく。

その人影は、まるで自分たちのような体格をしており、
(細身の女性(アデレード)、大柄の男(ゲイブ)、すらっとした女の子(ゾーラ)、小さい男の子(ジェイソン))
ゲイブが呼びかけても返事はなく、ただ、こちらをじっと見つめていた。
ゲイブがバッドを持って外に出て、四人組を追い払おうとするが、逆に家に押し入られてしまう。

そして、一家の恐怖の夜がはじまる

ざっくりと、ここまではなんとなく、予告編のイメージと一致していました!
そのドッペルゲンガーの存在が心霊的なものだと思っていたら、ちゃんと生きた人間だったので、それが明かされてからは、予想とかけ離れたストーリーでした。

見る際に注意点としては、R15指定の映画のため、暴力シーンが多いです。血が飛び散るような描写も多いため、苦手な人は見ない方がいいかもしれません。

地上に住む人間 VS 地下から来たドッペルゲンガーの戦いを描いているのですが、アメリカ映画ながら銃が全然出てこず、ドッペルゲンガーたちの武器はハサミです。



気になったところは、あらすじには書きませんでしたが、映画の冒頭に

アメリカの地下には数千キロのトンネルがある。廃棄された地下鉄、使われなくなった通路、廃坑など。多くの者はそれが存在する意味を知らない

というような文章が流れます。
それがフラグです。

このナレーションのあとに、アデレードの幼少期のビーチでの出来事の映像が始まるため、観客はなんとなく、そのときアデレードを襲った恐怖の原因は地下にあると想像できます。
そして、ポスターや予告編での前情報から、その地下にあるのは自分たちとそっくりな人間「ドッペルゲンガー」のことだろうと察しがつきます。

映画冒頭ではもう一点、幼少期のアデレードがテレビで「ハンズ・アクロス・アメリカ」というチャリティイベントのCMを見ており、本人もビーチでトラウマな出来事にあったその日に、ハンズ・アクロス・アメリカのロゴの入ったTシャツを着ていました。

このイベントは、アメリカで実際に行われたイベントで、数百万の人々が15分間にわたって手をつなぎ、「ウィ・アー・ザ・ワールド」、「アメリカ・ザ・ビューティフル」、「ハンズ・アクロス・アメリカ」を歌いました。
人々が手を繋ぎ人間の鎖を作る。
目的は、寄附金を集めて飢えで苦しんでいる貧困層の人々を救うことです。

物語が進み、ドッペルゲンガーたちが大勢で手を繋いでいるシーンが何度か登場しますが、それがこのハンズ・アクロス・アメリカを暗示していることがわかります。

冒頭に入る、「アメリカの地下には〜」という文章と、ハンズ・アクロス・アメリカのCMを見れば、なんとなく、
地下には貧困層の人たちが住んでいるのかな?
と考えられますが、
ではなぜ、貧困層の人たち?が地上に住む人と瓜二つなドッペルゲンガーなのか、
なぜ地上に住んでいる人たちを襲撃するのかは、アデレードたち家族が四人のドッペルゲンガーと対面した際に明かされます。

この映画の監督は前作も人種差別をテーマにしたホラー映画を制作しており、今作でも、貧困や格差という社会問題を扱っています。
単純に「怖い」だけでなく、考えさせられるストーリーになっています。
ドッペルゲンガーの「私たちはアメリカ人」という言葉には、同じ人間であり、同じように生きる権利があるという主張です。

例えば、ホームレスの人を見たとき、あなたは何を思いますか?
そういう身近なところから、考えを改めて行くべきだというメッセージを感じました。


広告以下ネタバレを含む私の感想です。
※映画を見た前提で書くので、未視聴の方には意味わからないかもしれません!

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はじめは、地下に住んでいる人たちが、地上の裕福な人間と入れ替わるために、自分とそっくりな人間を探してつけ狙っているのかと思ったけど、全然違いましたね・・・

まず、地下に住んでるのがクローンという突然のSF展開、びっくりしちゃいましたね。
肉体を作ることに成功したが、魂は作れなかったかので、地上に住んでいる人と地下のクローンは一つの魂を分け合っている。
だから同じ行動をしてしまうというのは、かなりぶっ飛んだ設定ですね・・・
実験は失敗として、殺されもせず放棄され、地下で生きながらえていたクローンたち、とっても可哀想。

この破棄されたクローンたちというのは、かなり現実離れした設定ですが、
実際にアメリカでは、貧困により十分な教育が受けられず、読み書きが出来ない、話すにも簡単な言葉だけ、文化的な生活が送れない人たちがいるそうです。
今作に登場するクローンたちも、教育を受けておらず言葉(英語)が話せず、動物の鳴き声のような、唸り声や叫び声でコミュニケーションをとっています。
その中で、自分のクローンと入れ替わってしまった"本物のアデレード"は、言葉を話すことができて、外の世界を知っている。
それに加えて、入れ替わった"ドッペルゲンガーのアデレード"が失語症の改善のために習い始めたバレエを、魂のリンクで"本物のアデレード"も踊ることができ、それによって、地下に住む言葉を持たないクローンたちに言語以外で語りかけることができた。
そして、外の世界への反乱のリーダーとなった。

でも、彼らが、地上の人間を皆殺しにして、入れ替わったとして、
もともと社会を動かしていた人たちがいなくなれば、地上も地下と同じような世界になってしまうのでは?
空の下、太陽の光を浴びて生きることはできても、
"本物のアデレード"が語ったような、温かい食事やふわふわのぬいぐるみのある生活は出来ないような気がします。
"本物のアデレード"がいれば、可能だったかもしれませんが、彼女は殺されてしまいました。
リーダーを失ったクローンたちは、地上で如何に暮らしていくんでしょうか?

また、ラストで、母親に助けられたジェイソンは、安堵の表情も見せず、一言も母と口を聞きません。
おそらく、本物のアデレードから、過去の真実を聞かされ、
自分の母親が、本物のアデレードの人生を奪ったクローンであると知ってしまったのでしょう
家族の中でジェイソンとアデレードだけが知る真実、それを抱えてジェイソンはどうやって生きていくんでしょうか

クローンのアデレードが戦ったのは、家族を守るためだったのか、自分の自由な人生を守りたかっただけなのか、
ラストの笑顔を見るに、地下のクローンたちと同じ演技なのかと感じたので、
必死に助け出したジェイソンのことさえ、余計なことを喋りそうになったら排除してしまいそうな、恐ろしい印象を受けました。

主人公であるクローンのアデレードを、悪役だと思ってしまうけど、だからといって、本物のアデレードがやったことが正義だとも言えないし、
アデレードが入れ替わらずに、二人とも外で生きることは出来なかったんだろうか
クローンのアデレードが、本物のアデレードを自分の代わりに地下に閉じこめるのではなく、地下に住んでいる人たちがいることを社会に知らしめられたら、彼らは救われたのではないだろうか

そして、この映画はそのためにある、
地下のクローンは存在しなくても、もっと身近に、現実に、苦しんでいる人たちがいる
それを大衆に知らしめるために、みんなが考え行動を起こしてもらうための映画なんだと思います。

いま、自分に何ができるかは、まだわからないけど、まずは知ること、調べること。
それだけでも、意味はあると思います。







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Last updated  2020.10.14 21:03:50


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