鉄の爪 | メタボの気まぐれ

狼男的な要素を含んだ大映版変身人間シリーズ
「鉄の爪」は1951年公開の大映映画である。

ある夜、都会の住宅地で奇怪な殺人事件が起きた。
被害者は新興成金の野村という男。

事件を目撃した野村の情婦・月岡雪江（園マリア）は
犯人はゴリラのような人間獣だという。

雪江の精神状態を調べた警察医の山崎隆三（二本柳寛）は
彼女の友人・原口恵美子（日高澄子）から
事件の前日、戦死したと伝えられていた雪江の夫

田代に雪江の消息を伝えた。

という事実を聞き井上刑事（小柴幹治）と一緒に
その田代を訪ねた。

田代は教会の浮浪児寮を預かっていて
純真な人格者だと大沢牧師や娘・正代（喜多川千鶴）に
保証されるが山崎は田代の前身に思い当たる節があった。

戦争中、発狂状態で山崎の勤務していた陸軍病院に
患者として来ていたのが田代だった。

南方の密林でゴリラに噛まれその毒素の為
昂奮状態になると狂暴になり面相もゴリラの様になるのだった。

その後、陸軍病院を脱走し見世物師・灰田天心

今では大沢牧師に救われ正代の温かい心づくしに
すっかり落ち着いていたが彼を探し出した天心が
酒をもって誘惑し、再び見世物に引っぱり出した。

天心の勧める薬品を飲んだ彼はすっかり人間獣に変貌
暴走した田代は雪江を浚って摩天楼へ登った。

「柔道一直線」赤月旭「人造人間キカイダー」サブローを演じた
真山譲次の父であり、主に時代劇を中心に
戦後の映画界を支えてきた俳優である。