編集王 | メタボの気まぐれ

週刊ビッグコミックスピリッツ1994年から
1997年まで連載された青年漫画誌の編集部を舞台に
編集者や漫画家の姿が描かれた
土田世紀による漫画が「編集王」である。

15年近く打ち込んだボクシングの世界で芽が出ないまま
網膜剥離で引退する事になった桃井環八が
新たに出発したマンガの編集の世界で
あしたのジョーを目指す姿を描く。

実在の人物・事件を大幅に戯画化し

地名が多く使われ、容姿はモデルとなった芸能人がいる。

「週刊ヤングシャウト」編集部にバイトとして入った
桃井環八は直情で涙もろく、最も大切なものを
最優先できる屈強な男である。
名前は環八通り、名字は東京都杉並区桃井から。

編集部デスクで効率重視の編集長とぶつかる
青梅広道は萩原健一がモデルで名前は青梅街道から。

編集長で徹底した効率主義、データ主義の
疎井一郎のモデルは小沢一郎で妻は中森明菜似

背が低くオカマっぽい口調で話し趣味も女性的な
宮史郎太のモデルは演歌歌手の宮史郎。

「姐さん」と呼ばれる目白通代。名前は目白通りから。

大人気作家ではないが、若手漫画家のリーダー格
骨川サヨリ。外見上のモデルは西田敏行。

この作品で名作と言えば戦後のコミック史に名を残す
巨匠漫画家・マンボ好塚のストーリーで

重度のアルコール依存症であり

堕落した自分を認めることを恐れて拒否した末に、
酒がきっかけの傷害事件を起こして全てを失ってしまう。

だが、カンパチたちの激励を受け、
若い頃の気持ちで真剣にマンガに取り組む事を決意し
再起を賭けて新作「あした」に取り組む。

しかし、長年の飲酒が身体を深く蝕んでいて
「あした」を描き上げた日に心不全で静かに息を引き取る。

このマンボ好塚は赤塚不二夫や
梶原一騎を彷彿とさせるエピソードが描かれており、
「複数のベテラン漫画家の欠点を
集めて作られたキャラクター」である。

「編集王」はそのテーマゆえに話題を呼んだが
様々な事情があり、中途半端な状態で終了せざるを得なかった。