人間兇器 | メタボの気まぐれ

　その命絶つ目的のみに凝縮し、なんと簡潔で美しいことか
　（ジャック・ロンドン）」

金と権力、暴力で人生を歩む野望を持った
美影義人の成り上がりを描いた劇画が
原作：梶原一騎　画：中野喜雄の「人間兇器」である。

金と力で快楽の人生を渡る人間兇器を目指す
美影義人は実践空手「空心会」に入門し
総帥・大元烈山に見込まれ、
鹿児島での空手抗争に貢献しNY支部への転属を果たす。

だが支部長昇格の夢を断たれた義人は
大元烈山に叛旗を翻えし

裏切り者への制裁から逃れようと足掻き、
犯罪を重ねる美影義人は、警察からも追われる身となった。

メキシコ・キューバ・NY・ハワイ・日本と舞台を移し、
反逆外道の旅を続ける義人。

自らの欲望が仇となり招いた窮地を
大元烈山と妻・薫子に幾度も救われながらも、
悔い改めようとはしなかった。

CIAも含めた国際的指名犯人となった美影義人は、
一世一代の野望の賭けに出た。

悪徳政治家の弱味を握り秘書兼ボディーガードに収まると、
国家権力を楯に烈山が新たに結成した

義人が政界と結びついた事を知った烈山は、
ついに抹殺を決意。

烈山と弟子達に完全に追い詰められた義人だったが、
崖から転落しそうな息子を間一髪で救った後、
自らは崖下の海に転落した。

連載時期は様々なスキャンダルと権力、暴力で
マスメディアを賑わせていた事もあり
リアリティある傑作劇画でファンに注目されていた。