オトキチ日記

参鶏湯を食す

北朝鮮旅行記2日目

参鶏湯を食す

料理店に入り、予約してゐた参鶏湯を食べます。

1人前を4人で食べると言つてゐたのに、テーブルには私一人の分しかない。
どうやらもともとここでは一人で食事の予定だつたやう。
3人の分も持つてきて貰ひます。
私のメニューよりは格落ちのものでした。
もつとも私のメニューが写真の通りの特別メニュー(宮廷料理)でしたので
むべなるかな。

宮廷料理

<この写真はガイドさんに勧められて撮つたもの。撮るのがお約束のやうです。
 金色の食器は飯床器といふとか。食べきれるもんぢやありません>

参鶏湯は鶏の中に高麗人参ともち米を贅沢に詰め込んでじつくり煮込んだ
もの。美味しかつたです。お酒は焼酎を飲みました。昨日のとは違ふ銘柄
でしたが、結構なもの。
運転手さんが昨日とは違ふ人なので、最後のマイルドセブンに100円電子
ライターをつけて渡しました。

さて、この店で「おや?」といふ会話があつたので長くなりますがご紹介を。

李さんがアメリカ軍が如何に暴虐かといふ話をしました。

「板門店にポーランド人が行きました。そしたらなんとそのポーランド人
は境界線を越えて向うへ行つてしまつたんです。ガイドの軍人は慌てて連れ
戻さうとしますね、それでその軍人は境界線をほんの少し越えてしまひまし
た。そして銃で撃たれて死にました」

「問題はそのポーランド人が境界線を越えたのは、その軍人を殺す目的だ
つたのです。自分が越えれば彼は追つてくる。そしたら堂々と殺すことが
できる」

「じつは、その少し前に木の伐採を巡つて、北と南の間で衝突した事件が
ありました。そのときその軍人は南朝鮮兵士を勇敢にも排除しました。そ
れで南の恨みを買つてゐたのです」

「ポーランド人を使つた南朝鮮の謀略でその軍人は殺されたのです。それ
から境界線に歩哨が立つやうになりました」

この手の話はだいぶ聞かされてゐたので、はあはあと聞いてゐたのですが、
そこにキムさんが、

「でも、ガイドをする軍人はいつも同じぢやないですよ。日によつて違ふ
し、そのときの人数でも違ふぢやないですか? その軍人がガイドにつく
つて限らないですよね?」

「誰かが追つては来るでせうから、その人を殺すことはできても、その
軍人だけを狙ふことはできなくはないですか?」

ほお、と思ひました。
「アメリカの暴虐の事実」とされるものに対して、論理的な思考をして、
自ら判断しようとするんだ? 「アメリカが悪いこと」ならなんでも鵜
呑みぢやないのね。

李さん「それは情報収集をしてゐましたね」
キムさん「どういふ情報ですか?」
李さん「その軍人がガイドにつくかどうか」
キムさん「でもガイド役はその場で替つたりしますよ。事前の情報だけ
     では無理ぢやないですか?」
李さん「それは何回かやる気でゐましたね。彼でなければ次にするし、
    そのときはちやうど彼だつたから決行しましたね」
キムさん「さうですか・・・」

李さん「ポプラの木の伐採で衝突しましたね」と話を私に。
キムさん「ああ、ポプラ事件のときのことですか」
李さん「さうですよ」
と言つて「ポプラ事件」の説明になつたので、二人の問答はそこで終つ
たのですが、

つくづく私が思つたこと。

キムさんは可愛いだけぢやなくて頭も賢いんだなあ。

ますます惚れた次第です。

この料理店ではお土産売り場もあつて、高麗人参茶と高麗人参の粉末を
買つた。6000円。粉末が高かつたみたい。

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