オトキチ日記

香山ホテルの夜

北朝鮮旅行記3日目

香山ホテルの夜

高速道路に戻り、ひた走り、山を登つて、香山ホテルに着いた。

写真は下。

香山ホテル

<香山ホテル。15階建て、客室228室、最上階には回転式の展望レストランがある>

さて、このホテルについてなぜ上記のごとくキャプションに細々と書いたかといふと、以下
の李さんの言葉になぜ私が驚いたのか、お分かり頂きたいがゆゑである。

「これからの予定ですが、まづ、お湯は20:30からの1時間だけなんですね」
「ああ、さうですか」
物資乏しいことは承知してゐるので、そんなものなのかと素直に頷いたのですが、
「実は今日はお客さん、私たちだけなんですよ」
「えっ!?」
ここに私らだけ? 15階建てで、客室228室で?
「それでその時間だけ機械動かしてお湯出るやうに頼みました。明日の朝はたぶんお湯出ませ
んね」
あ、さうですか。
私一人にガイド2人・運転手1人も専属でつけて頂いて恐縮してゐたのに、たうとうホテルま
で貸切になつちやひましたか。国賓並みだね、こりや。

20:30~21:30の間にお風呂を使ひ、そのあとカラオケに行くことに。
疲れてゐたので、カラオケ歌ふ気もなかつたのだが、熱心に勧めてくれるし、キムさんの歌
ふ姿も見たいなあといふ純真な少年の心も動いたので、同意しました。

部屋でひと休みしてから、夕食。そしてシャワータイム、カラオケとなつた。

部屋に行く。ちなみに私の隣が李さんの部屋でキムさんはその隣とのこと。
(平壌の羊角島ホテルでは私と李さんが18階、キムさんは32階だつた)。
廊下の電気もこの一角しか点いてゐない。ま、そりやさうだ。

部屋に入る。あれ、ここもメインの電気が点かないよ。どうやら蛍光灯切れね。羊角島ホテ
ルと同じく、他のスタンド等は点くので何とかなりさう。

トイレは、さすが、ホテルだけにきちんとしてゐて、トイレットペーパーもちやんと、え?
何これ?

驚いた。

平壌のホテルのトイレットペーパーは紙質良いとはいへぬものの、普通のトイレットペーパー
だつた。が、ここのは違つてゐた。

色は茶色。段ボールの色である。
そして厚さがハンパぢやない。昔々の便所の落とし紙(ご存じの方をりますでせうか)より
もごわごわしてゐて更に厚い。
所詮尻を拭く紙である。紙質が悪からうが、分厚からうが、あるだけ有難いとは承知。
しかし、驚いたのは、さういふ紙が、トイレットペーパーに、つまり巻き紙になつてゐると
いふことだつたのだ。

この程度の紙なら無理に巻き紙などにせずに、素直に四角に切つて重ねておけばいいのでは
ないか?
なぜこんな紙質の紙を無理に巻き紙にする?
だからロールもきれいな円筒にはなつてゐなくてデコボコ。すぐになくなりさう。
(この茶色いトイレットペーパーは他では見なかつた。ま、ホテル以外ではほとんど紙は
なかつたのだけれどね)

TVを点ける。ここは一般と同じやうで、映るのは朝鮮のTV1局だけだつた。
軍人さんが主人公の何かのドラマ。

夕食を摂りに2階のレストランへ。李さんが案内してくれるが途中の廊下が暗くて迷ひさ
う。そして今日の夕食はここで私ひとりとのこと。あら、さうなの。

40席くらゐあるレストランで1人きりといふのも、いやはやなんとも、ね。
料理は平壌のホテルとほぼ変らず、量はとにかく多い。
が、ご飯は麦飯(麦入り白米)でした。平壌のホテルのご飯は感心するほどに美味しい白
米だつたのに。まあ、嫌ひぢやないし、健康にいいだらうし。健康志向で麦飯を出したの
かなあ、違ふだらうなあ、と考へながら食べた。

大きな夕日が赤々と燃えてゆらゆらと沈んでゆくのを眺めた。
きれいだつた。

部屋に戻り、お湯の出る時間を待つ。
が、20:30になつてもお湯は出ず、21:00になつてやつと出た。しかもぬるい。
でも不満には思はず、私らだけのためにお湯を出してくれたことに感謝する。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: