オトキチ日記

国際親善展覧館 別館

北朝鮮旅行記4日目

国際親善展覧館 別館


本館から別館へ。

こちらは金正日将軍宛ての贈り物が展示されてゐる。
元は一緒だつたのが、数が増えてきたので別館を建てたとのこと。

無駄金の二重奏。

同じやうに靴カバーをして入る。
同じやうな荘厳な造り。
そして、廊下がとんでもなく長い。
突き当たりに鏡があるのかとホントに思つた。

「長い通路ですねえ」と私。
「前に鏡があるのかと思ふ人が多いです」と現地ガイドさん。
やつぱり、さうか。

金日成の彫像にはたまげたが、ここにも全く同じやうに金正日の彫像があるので、また驚いた。
同じポーズ、同じ大きさ。

しかし、よくよく思ひ返せば金正日の彫像はここが唯一のものだつたやうに思ふ。
肖像画も金日成のものばかりで、金正日のものは記憶にはない。

さて、ところで、その部屋はまはりの壁がショーケースになつてゐて、贈り物が展示されてゐるのだが、な
んと、ところどころ蛍光灯が切れかけてをりました。

言はば国家だか党だかの威信をかけたこの部屋ですら、蛍光灯が切れかかつてゐる。

ここで私はホテルの蛍光灯が切れてゐたことに思ひを馳せたのです。
この部屋ですら蛍光灯が切れかかつてゐるんだもんね。
ホテルの部屋のごときがまともに点いてゐるわけがない。
交換云々と言ひ出さなくてよかつたと思つた次第。


贈り物は、はい、金日成のものと同じです。
肖像画を焼き物にしたり、刺繍にしたり、手がこんではゐるのだらうけれど、趣味がいいとは言へんわなあ。
かういふものを贈られて喜ぶ神経が分らぬ。



庭

<金正日の館から庭を>


バス駐車場

<団体客のバス>


団体客

<団体客の皆さん。北朝鮮の人たちがたくさん来てゐた>


「今年の金正日主席の誕生日には1日で600件以上の贈り物が贈られました。世界の指導者でこんなに贈り物
を贈られる指導者が他にゐるでせうか?」
あー、はいはい。

ここにも車が展示されてゐる。
金日成のはうはクラシックカーだつたが、こちらは現役の新車。
だから、人民のために使へつて。

金金ピカピカの家具セットやら、どこの王様が寝るんだといふ天蓋つきの寝台やら。
運ぶのも大変だつたらうといふものがぞろぞろ。
だから、その労力を(略)。

トイレに入つた。
さすがに汚くて使へないなどといふことはない。
しかし、館全体の荘厳な造りからすれば不調和な造りで、ここだけお粗末といふ感じ。
さびれた地方のスーパーのトイレ級か。
「世界各国の首脳」もこのトイレを使つたのかねえ。
それともVIP用は別にあるのか?
いづれにせよ、トイレはご不浄、設計思想の枠外といふ考へが感じとれた。

香山ホテルに戻り、またひとりだけで昼食。
しかし、こんどは他の団体客の予約が入つてゐるやうで、テーブルは半分くらゐに用意がされてゐた。

1人で食べてゐると店員さんがにつこりとビールを差し出し「ビール?」。
「はい、ありがたうございます」とありがたく頂きます。

ちなみに旅行中、私はやたらに「ありがたうございます」を連発してゐた。
買ひ物をしても「ありがたうございます」。
料理が運ばれてきても「ありがたうございます」。
ビールを注いで貰つても「ありがたうございます」。

これはとにかく敵意はないのだよといふアピールの意味が強かつた。

で、よく日本に来てゐる外人さんが「サンキュー」を連発してゐる心理が分つたやうに思つた。

仏頂面をしてゐてはどんな誤解を受けてどんな目に会ふかわからない。
先んじて「ありがたうございます」を連発してゐた次第。
挨拶は大事です。
身を守るためには。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: