オトキチ日記

さあ、日本へ

北朝鮮旅行記5日目

さあ、日本へ

12:30 離陸

機内で、まづ、大洞江ビールを飲む。
と、ハンバーガーが配られた。
機内食が出るとは思つてゐなかつたが、これが、とびきり美味しかつた。美味しく感じられた。
なんだかほつとして、持参の文庫本を読み始める。

いきなり、ズンといふ衝撃。
乱気流か? まさか墜落しねえよな?
窓の外には地面が。
あら、もう着陸してゐたのね。

高麗航空機は着陸のときもうるさいことは言はないので気づかなかつたわけである。

13:30(中国時間では12:30) 瀋陽着

ええ~と、中国に着いたんだから、まづ、中国に入国するんだよな。それでもつて、全日空関空行きに乗る
んだから国際線出発ロビーに。
これは高麗航空に乗つたときと同じでいいわけだから、2階なわけで。
そこで全日空の搭乗手続きさへしてしまへば、とにかく日本には運んで貰へるといふことで。

そんなこんなで頭いつぱいになりながら、無事入国手続きをパスして、2階の出発ロビーに。
途中、来たときと同じやうにタクシーの運ちやんに声を掛けられる。
聞えるのは中国語ばかり。
不安。
北朝鮮のはうがまだ落ち着ける。

ああ、ここだ、ここだ。
ここで紙を書かなかつたから止められたんだから、え~と、何だ、税関申告書か?

と、記帳台で書きはじめてゐたら、後ろから声が。
「全日空機に乗る方ですか?」
振り向くと、制服姿の女性が。
日本人の日本語ではなく、察するに中国人スタッフのやう。
しかし、このときは涙がぶわつと出るほどに嬉しかつた。
無人島で遠くに船影を見つけたときの喜びとはこのやうなものかと思つた。

「はい、では私が書きますね」と代筆もしてくれた。
人の情けが身に沁みました。

15:10(中国時間では14:10) 瀋陽発

まはりは中国人のご一行さま。関空を経由してグアムに行くとか。
なんでそんなことが分つたかといふと以下の事情に拠る。

スチュワーデス(日本人)が私に声をかけてきた。
「こちらとはお連れさまではありませんよね?」
「はい」
「実はこの方たちは関空からグアムに行かれるのですが、関空で入国手続きが必要なのかと聞かれてゐる
のです」
「はあ」
と、後ろの親父が私に向つて、
「チャイヤン£#ハイヤー&*∞チンジャオ$$オースー∴∴∴」
慌てて「私は、中国語はわかりませんから」と手を振つた。

初海外の私に通訳頼むなよ~。
日本人だつて分つてんだしさあ。
それとも、瀋陽から1人で飛行機に乗る日本人は中国語ペラペラなのが当り前なのか?

あげくにこのご一行の1人はタバコを吸ひ始めた。
スチュワーデス(日本人)が飛んでくるが、この親父は中国語以外は英語も分らず、スチュワーデス(日
本人)は中国語は話せないやう。
どうやら親父は「火をつけるタバコではなく電子式のタバコだ」と言ひたいらしい。ホルダー分解して説
明する。
スチュワーデス(日本人)は「でも、煙が出てゐます、バッド・スメル! バッド・スメル!」と説得。
結局はご一行のお仲間に言はれて親父が折れたが、全く中国人つて奴は、と思ふ。
ひと昔前の日本人の「農協ご一行さま」もこんな感じだつたのかね?

大連でトランジット。
こんどは中国出国手続きだ。
ややつこしいなあ。

とはいへ無事手続き終了すると気持にも若干の余裕が。
免税店でパンダのクッキーを買つた。
日本円で買へるとは知らなかつた。
買ひ物をするのにパスポートを提示するなんてことも知らなかつた。

大連発。

来るときは気付かなかつたが、戦闘機がごろごろ停まつてゐる。
軍民両用の空港なんだなと思ふ。
眼下にはオランダ風の建物がずらずら。趣味が悪いとしか思へない。

19:05 関空着。

日本だよお~。
日本に着いたよお~。

税関係官はキャリーバッグの中身もしつかり検査。
さういふものなのかどうかは初海外の身ゆゑわからない。
「どちらからですか?」と係官。
「平壌から瀋陽と大連を経由して来ました」
「平壌ですか? 個人で行けるんですか?」
税関係官にまで驚かれてしまつた。

羽田行きの搭乗手続きも終了。
2時間近く待ち時間あり、関空のなかの飲食店でゆつくりと酒を飲んだ。

ここはどこだ? とまはりを眺める。
電気が点いてゐる。蛍光灯も切れてゐない。
色と文字とデザインがあふれてゐる。
日本人がゐる。聞えるのは日本語ばかり。

21:25 関空発。
なぜか最後のこの飛行機はビジネスクラスだつた。

22:30 羽田着。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: