lovesick

lovesick

PR

×

カレンダー

コメント新着

windsurf4179 @ Re:近況(05/08) お久しぶりです、福岡の加藤です。 何年振…
ぽわぽわ0127 @ Re:近況(05/08) ひろさん! よかった♪たまには近況知らせ…
シゲタロス @ Re:近況(05/08) なんだか凄く久しぶり!! 帰ってきてくれて…
t-nik0618 @ Re:近況(05/08) 良かった、仕事もできるようになったので…
ひかるですが…何か!? @ Re:近況(05/08) ひろ。さん、はじめまして。 こちらでコ…

お気に入りブログ

空想世界と少しの現実 緋褪色さん
きっくまーくのくだ… きっくまーくさん
無限の扉 yuto.さん
room47 shingo4711さん
ココロのまま るーじゅら。さん
     . ☆Yuri☆さん
不況に負けずに肝っ… かわちゃん4729さん
テレビでお馴染みの… 京師美佳さん
食いしん坊のHappyLi… ぽわぽわ0127さん
★★★はるちん garden★… はるちん0707さん
2010.05.13
XML
カテゴリ: box
飛びつくようにドアを開けた俺の目の前に立っていたのは、

「お父さん・・・」

美莉のお父さんだった。手には美莉のケータイ。着信音の鳴り続けるケータイを持て扱っているようだ。俺は、慌てて、自分のケータイを切る。1拍置いて音が止まる。ほっとしたように、俺のほうを向いたお父さんと目が初めて合う。ココロの奥まで見透かされそうな目。美莉によく似た黒目がちの瞳に俺の心は戸惑い、揺れる。そして、いつもどおり、俺は彼に対して、緊張する。最愛の恋人の父親だから、、いや、今は、ただ、最愛の人、の父親、だけど。そんな俺の心を読んだかのように、人懐っこい笑みを浮かべ、

「やあ」

と一言。それだけで、ただ、それだけで、俺の緊張は驚くほどすんなりと解けた。不思議なことだ。今まで、会うと思うだけで緊張していた相手、ただ、美莉が電話で話しているというだけで、緊張してしまうほどの相手、だったのに。一体どうしたというんだろう。恋人、では、なくなったからなのか?まさか。何も言葉の出ない俺に、彼は言う。

「突然、遅くに、悪いね。」
「いえ・・」
「少し話したいんだが、今、いいかな?」
「・・あ、はい。もちろん。」


・・・話?って、、、なんだろう。それに、ケータイ。。美莉の。。いや、俺、今、美莉に、、

軽く脳内のショートした俺に、お父さんは、ケータイをもう一度見つめてから、軽く微笑んで言う。
「美莉に、何か、用だったのかな?」
「いえ、、いや、はい。でも、どうして、お父さんが、美莉の。・・美莉は?」
しどろもどろに問い返す俺に、
「中で話すよ。お邪魔してもいいだろ?まさか、もう、誰か、いる、なんてこともないよな?」
変わらぬ微笑の中、少しだけ鋭くなる、彼の目つき。誰か、すなわち、オンナ、だろう。相変わらずの信用のなさに、凹みながらも、
「まさか。どうぞ」
自分は後ずさりしながら、そう言った俺につづいて、お父さんは、中へと歩を進めた。

応接室、なんて、立派なものはもちろんない。どんな客が来ても通すのはダイニングテーブルしかなくて。
ひとまず、お父さんが席につくのを見て、俺はカウンターに向かう。

椅子に腰掛け、感慨深そうに、あちらこちらに残された美莉の分の空白に目をやっていたお父さんは、
「そうだな。美莉の好きな、ペリエ、もらおうか。アルコールを飲んで話せることでもない」
俺はただ、うなずき、冷蔵庫を開ける。ドアポケットにずらっと並んだ緑の瓶。美莉の大好きなペリエ。アルコールの次に、だが。冷え切ったその瓶を取り出す。グラス2コとともに、テーブルに向かい、お父さんの正面に座ってから瓶をあける。プシュっという音とともに瓶の中で泡が暴れだす。静かに静かにグラスに注ぐ俺の手を、彼は静かにみていた。注ぎ終え、コースターを添えてテーブルを滑らせると、
「ありがとう。いただくよ」
まさかカンパイするわけでもなく、一口そっと、口にしたお父さん。グラスを戻し、唇を曲げ、そのグラスの中ではじける泡を見つめる。俺も同じ様に、一口飲み、話を待った。でも、お父さんはなかなか話し出さない。静かな部屋にただ、響く、細かい発泡の音。



お父さんは、重い口を開く。

「美莉から、別れたと、聞いたよ」

彼の一人娘である美莉と同棲までしながら、こんな結末になったことを、なじられるのか?それでも、かまわない。仕方ない。甘んじて受ける。そんな覚悟をしかけた俺だが、その声色に、なじり、というよりも、いたわりの音を感じ、そっと顔を上げた。しっかりと目を合わせて俺は口を開く。

「はい。・・・申し訳ありません。」

ただ、認めるだけのつもりだったが、そのまま当然のように謝罪の言葉を口にした俺に、美莉のお父さんは、いたわるような目で俺を見て、いう。

「・・・慶介くんは、納得しているのか?」

納得?まさか。美莉からの別れ話を承諾した時とは違って、今の俺は、納得とは程遠いところにいる。美莉の『嘘』の可能性に気づいた今は。

「いえ」

きっぱりとそう答えた俺に、彼は、テーブルの上に置いていた美莉のケータイに目をやり、
「・・・だよな。さもなければ、電話をかけることもないだろう。そうだよな?」

俺はただ、うなずく。

一体、どこまで、彼は知っているんだろう。
美莉の嘘。
俺が、知らない別れの理由。
何もかも知っているんだろうか。

俺に話せなくて、お父さんに話せること。

って、、

一体、なんなんだ?

何度も何度も思う同じ言葉。見えかけては消える答え。

お父さんが、ケータイから俺に目を戻す。絡み合う視線。彼が何かを迷っていることが分かる。そう、美莉と、同じ、迷い。

お父さんは、そっと自分の左の薬指のリングに触れた。何か助けを求めるように。美莉を産んですぐに亡くなった美莉の母、自分の妻、をいまだに愛し続け、外していないというそのリング。自分の妻、そして、自分の患者だった、その女性をずっとずっと愛し続けていて・・・。。。美莉・・・。俺も、きっと、美莉のことを愛し続けるだろう。別れてしまっても。美莉は死ぬわけじゃない。だけど、忘れられるはずのない、愛しい、、・・・・!

・・・・?

なんだ、今の感覚は・・・。今、何かが見えた気がした。少し泳ぐ目。

一体、なんなんだ?

また、俺がそう思った時、お父さんが、口を開いた。

「・・・慶介くん」
「はいっ」
俺は慌てて顔をあげた。そして出会う真剣な目。

「今日は、君に大事な話があって来た。・・・美莉の父親として、、そして、」

・・・そして・・・?

彼はそういってから、言葉を切り、もう一度、リングに触れた。リングに触れる人差し指と親指。リングを静かに回すその指から目が離せないままの俺に、彼は続ける。きっぱりとした口調で。

「美莉の主治医としても」

・・美莉の・・主・・治・・医?

その言葉の衝撃に思考がピタリと停止する。

俺は愕然と、虚ろな目を美莉の父さんにゆっくりと戻していく。



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説へ 人気ブログランキングへ ←2コクリでよろしくお願いします。いつもありがとうございます



◎初めての方・目次ご利用の方は こちら へ(3/18更新)◎

今日のゆる日記の方は、今書いてます。笑。しばしお待ちを。昨日の更新は、ひろ。壊れかけネタ こんな理由 です。ぽっバカップルにご注意ください大笑い

ふぉろみー?






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.05.13 23:08:40
コメント(18) | コメントを書く
[box] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: