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2010.08.24
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カテゴリ: box
楓、流しすぎじゃね??

ココロの中でだけそう突っ込んだ俺をイノセントに見上げる楓の瞳。もう笑ってない瞳。

「・・・楓?」

静かに呼びかけた俺に、楓は、少しだけ瞳をゆるく微笑ませてから言う。

「・・・もしかしたら、悠斗は、何かを感じてたのかしら?」
「え?」

短く問い返した俺に、楓は、柔らかく微笑んで、

「・・・だって、ずっと私と碓氷さんを会わせようとしてくれてたでしょ?」

確かに、何か感じていたのかも知れない。

今も俺を見つめているイノセントなその瞳は、確かに、碓氷さんと共通しているのに。

そんな想いを言葉に出来ずに、ただ、否定も肯定もできないまま、その瞳を覗きこんでいると、楓は、

「・・・私、もう一度、碓氷さんとちゃんと会わなくちゃ。ちゃんと話さなくちゃ」

決意に満ちた瞳で呟く。俺を見上げ、

「ね、悠斗、今日は突然のことであんな風になっちゃったけど、でも、次は、、、そばにいてくれる?」

一転、おずおずとした瞳で尋ねる楓に、微笑んで、

「もちろんだよ、、、なんなら、今からでも・・・」

碓氷さんに連絡しようと、ケータイを取り出しかける俺に、楓は、ゆっくりと首を振る。

「だめよ、悠斗」
「なんで?」
「だって、・・・蒼夜、、さんだっけ?碓氷さんの、、」


俺は思い出す。俺が腹立ち紛れに言っちゃったこと。

『蒼夜ちゃんも、見てますよ。ほら、あそこで』

・・・・あ~あ~あ~、俺、ほんと、なんてこと。。

シートにもたれて、天井を仰いだ俺に、

「あっちはきっともっと、、大変じゃない・・・?」

静かに呟く楓。



「・・・、俺、余計なこと言っちゃったよなぁ。。。」

反省とため息と共に吐き出した台詞。楓は、静かに微笑んで、

「私だって。もっと私が早く反応していれば、悠斗にも、蒼夜さんにも、あんなに誤解されるような形にならなかったのに・・。碓氷さんにも、蒼夜さんにも悪いことしちゃったな。。」

がっかりそういう楓に、

「・・・電話だけでもしてみる?」

って聞いてみたけれど、

「ん~、余計にこんがらがっちゃわない?」
「かなぁ。説明が必要なら、向こうからかかってくるかな」
「あんまりシゲキしない方がいいかもしれない」

俺は少し考えてみて、

「・・・だなぁ。どっちにしてもまた明日会うし。そんときに、しっかり謝って、・・・・楓と碓氷さんが、落ち着いて会える日も約束してくるよ」
「・・・ありがと、悠斗。」

・・・礼なんて。

ただ首を振った俺に、穏やかな瞳でもう一度礼を告げてきた楓だったけど。

「なあ、碓氷さんのことだけど、、、」

ってフリかけた俺からの話題を避けるように、強引に、

「ねっ、だけど、ほんと、悠斗って、、」

そんな言葉を重ねてイタズラな目つきになる楓。

「なんだよ~」

その目つきに少し先走って、口をとがらせた俺に、楓は、

「結構、激情型だったのね~。気をつけなきゃ」
「気を、、って」
「やきもち、妬かせないようにしないとね~。何されるか分かんないっ」
「ちぇーっ」

そういって拗ねてみるけれど、反論はできない。てか、そのくらいに思ってくれててもいいくらいだし。口を尖らせて黙った俺に、楓は、慌てたように付け足す。

「でも、怒ってくれる悠斗って、かっこよかったよ?・・守ってくれてるって感じがすごくして」
「・・・お気遣いどーも」

しょげたまま、ぼそっと言い返した俺に、楓は、

「そんなにしょげないで?」

なんて、ただ、くすくす笑う。その笑顔はいつもどおり、とてもかわいくて。いや、いつも以上に全開な笑顔で。その笑顔にまた見とれてしまいそうになる俺。

・・・だけど。

俺は、楽しそうにニコニコ微笑んでいる楓をそっと抱き寄せた。いつも以上にはしゃぐ楓に、落ち着かない心の揺れを感じたから。そっと背中を撫ぜると静かに笑いを収める楓。しばらく黙って抱きしめていた。ゆっくりと深呼吸を繰り返す楓。

「ムリに笑わなくていんだよ?俺の前で」
「・・・分かってる」

素直にこたえる楓に、

「今夜はそばにいて、いいだろ?」

やさしくそう問いかける。楓は、そっと顔を上げ、震える瞳で俺に、

「・・・絶対いてくれなくちゃ、やだ」

素直すぎる言葉で告げてくる愛おしい楓。

「・・・とりあえず、家に帰ろうか?」

そう静かに告げると、微かにうなずく楓の体をそっと離し、俺はゆっくり車を出した。

時折楓の横顔に視線を走らせながら、思う。

本当の父親を知った衝撃が少しずつ収まるにつれ、楓の中で、湧き上がってきている、お母さんへの思いと、そしてもちろん、碓氷さんへの思い。様々な感情に多い尽くされている楓のココロ。

・・・家に帰ったら、楓をココロごとしっかりと抱きしめてあげなくては。家に帰ったら。それはこんな車の中じゃムリなことだから。

それにしても。

・・・なんだろう、この何かを思い出しそうで、思い出せない感覚。

さっきの感覚がまた俺の中に戻ってくる。

・・・ここまで気になるってコトは、きっと、楓に関することで。

ゆっくり慎重に車を走らせながら、思う。

・・・思い出せないのか、思い出したくないのか。どちらにしても、すごく重要なこと。

そう、重要なこと。

それだけはしっかりと感じている俺、だったんだ。



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最終更新日  2010.08.24 18:38:18
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