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2010.09.29
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その1 その2 その3 その4 その5 その6 の続きです。


生まれた子供は、生後2ヶ月から多種食物アレルギーの症状で、
授乳しているひろ。も除去食。とにかく壮絶な日々を過ごしてました。
ひたすら家に閉じこもって育児して、合間に資格に関わる勉強をするくらいで、
正直、外界と関わるヒマすらなかった。

ちーこ(長男)の食アレで大変だった時期のことは、本当に忘れたいくらい大変な日々だったから、正直あんまり記憶にない。

ただ、そんな中、唐突にシホを思い出した。
ヒロトの死から1年が過ぎ、腕の中に(病気とはいえ)愛しい忘れ形見を抱きながら、ヒロトの死にまつわること以外の何もかもから逃げていた自分が、まず、また社会と関わるつなぎ目として、探したのがシホ。
今思えば変な話。だってシホとの糸はシホとしか繋がっていないのにね。

ただ、電話すればそれでいいんだって思った。

だから、シホに電話した。

電話に出たシホは、私からの電話をすっごく驚いていた。言葉につまりながら、もう、連絡なんてくれないと思ってた。って、そう言った。自分のせいで、音信不通になったこと、謝るつもりだったのに、そんなこと言われて戸惑った。

ひ:なんでそんなこと思うの?
シ:愛想つかされたと思ったの。
ひ:どうして~?
シ:??手紙読んだでしょ?
ひ:・・・・手紙?読んでない。ごめん。
シ:ええええっ、届かなかった?
ひ:・・・てか、ごめん。私、いろいろあって、去年の夏から、ほんと、時間止まってた感じなんだよね。。

そういったら、シホ、声が変わった。



あったよ、いっぱい。ヒロトが自殺したこと、その後、子供を産んだこと。病気のコト。

そう言おうとしたけど、びっくりするくらい、言葉にならなかった。

シ:・・・サラ?
ひ:・・・ごめん。なんか、うまく言えない。
シ:いいよ。私、ごめんね。自分のコトでいっぱいいっぱいで、サラに何かが起こってるなんて、考えもしなかった。私に連絡できないくらいだったなんて、きっと、よっぽどだよね?・・・だけど、ヒロトさんは?サラにはいつもヒロトさんがそばにいるから、サラのことで、こんな気持ちになること、私初めてかもしれない。ヒロトさんには相談できないコトだったの?



そう言えばよかったのに、やっぱり言えなかった。何か、悩みを抱え込んでるシホに、そんなこと伝えることが、どんな影響与えるかも分からなかったし。だから、私は曖昧に話題を変えた。

ひ:シホは、何があったの?

シホは笑って、

シ:全部手紙に書いたよ。笑
ひ:なんて書いたの?

今度はシホが黙った。

シ:・・・手紙、読まないまま捨てちゃった?
ひ:ううん。まさか。私は見てないけど、実家に帰ったら、きっとまとめて置いてくれてあると思う。
シ:実家?って、サラ、今どこに住んでるの?
ひ:ヒロトのマンション。
シ:ラブラブなんだ~。よかった。サラがヒロトさんのそばで相変わらずワガママ放題でいるんだと思うと、なんかホッとする。

何も知らないまま、そんなこと嬉しそうに、本当にほっとしたように、呟いたシホ。

・・・ヒロトのマンションに住んでるよ。だけど、ヒロトはもう死んじゃっていなくて、ヒロトの弟にただ添い寝してもらって、ヒロトの子供と住んでるんだよ。

私は、また何も言えないまま、そんなこと思って、泣いちゃいそうになって、でも、泣くわけにいかなくて、

ひ:シホは?オオタくんとラブラブじゃないの?
シ:・・・どうかな。

その言葉は内容よりも、やさしく愛しく響いた。
きっと、まだ、ラブラブなんだ。
そのことは、シホが想像する、もう、現実にはない私とヒロトの姿と同じように、私をほっとさせた。
何かあったんだとしても、オオタくんがそばにいてくれてるなら、きっと、シホ、それほど悪い状態じゃない。って。
だから、私は言った。

ひ:ねえ、会えない?顔見て話したい。できたら、こっちに来て欲しいんだけど。

自分から誰かに会いたいなんて思うこと、本当に久しぶり。

もちろん会えば、何があったのか話すつもりだった。
シホが甘く想像してくれているヒロトと一緒の私はもうこの世のどこにもいないんだけど、
でもね、暗いニュースだけじゃない。
ヒロトが遺してくれた愛しい我が子。
シホに見せて驚かせたかった。
ちーこを抱きながら、シホの顔を見ながら、なら、私も、なんかちゃんと話せそうな気がした。だから。

だけど。

シホは、微笑声で、

シ:私もすっごくサラに会いたい。でもその前に、私の書いた手紙、読んでみて。それでも、愛想尽かさないで、電話くれるならまた電話して?会う約束は、その後で。

そういって、電話を切った。

その日、実家から、私宛の手紙のつまった箱を届けてもらって、私は、中からシホの手紙だけを探したのでした。





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最終更新日  2010.09.29 15:58:58
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