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2009年09月09日
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※リボーン小ネタ。



「な……」
 獄寺隼人は瞳は大きく見開いていた。普段はきれいなその緑の瞳は、しかし、白目の部分が血走っていた。
 四分の三イタリア人の血が混じる彼の肌は白い。やや暗い照明の中ではその白さはなお際だっていた。だから、こめかみでひくつく青筋もしっかりはっきりとしていた。
「な…な……ッ!!」
 安っぽい蛍光ピンクやイエローが踊り、ピュコーンとかバキューンとかぴろぴろりんという電子音が、これでもかという大音量で鳴り響く。
 ここは並盛商店街の外れにあるゲームセンター。
 獄寺は青筋を立てた拳で、アクリルのショーケースにひびを割る勢いですがりついた。

 そこには、在るべきモノがなくなっていた。


 時間は小一時間ほど遡る……
 放課後。かったるい学校の終わった後。
 獄寺は敬愛するボス、十代目こと沢田さんのお供として、この街外れのややひなびたゲームセンターにやってきた。
「い…いいのかな?学校帰りにこんなとこ…」
 キョロキョロと、頼りなさげに周りを見回す様子に、自分がしっかりお守りせねば!という決意を新たにする。
「久しぶりだなー。お!このゲームまだあったのなー!」
 ちなみに野球バカ山本は、獄寺にとっては勝手についてきたオマケ、という認識に過ぎなかった。
 ノーテンキな山本と違い、獄寺にはボスで十代目・沢田さんをお守りする、という使命があった。
 そのために、常に周囲に気を配り、ガンをつけてくる人間にはガンをつけ返していた。
「ご、獄寺くんっ。あんまり周りの人を威嚇しちゃ…って、獄寺くん?」

 不覚にも獄寺は、ゲームセンター内の、ある一角に目を奪われてしまっていた。
「なに見てるの?…UFOキャッチャー?」
 そう…獄寺が視線を奪われた先にいたのは、UFOキャッチャーのケースの真ん中に鎮座していた“それ”だった。
 つぶらな黒い瞳…複数な美しい模様…その優美に丸みを帯びたフォルム…!
 このゲームセンターなどという空間で“それ”に出会えるなど、獄寺は思いもよらず、興奮をした。

 “それ”がいかにすばらしいかを熱く、熱く語る獄寺を、沢田は呆れたような目で見た。
 それに気がついて、獄寺は我に返った。
「す、すみません!俺は今、十代目をお守りする立場にありながら、こんなものに心奪われるなんて……!!」
「いや別に気にしなくていいよ!」
 しかしそんな自分に優しい言葉をかけてくれる沢田さんに、獄寺は瞳を潤ませ、感動した。
 それだけではない。
「それに…うん、まぁ…分かるよ。かわいいしね」
 沢田さんの笑顔の方が1000倍…いや1億倍は素敵っス……!!
 獄寺はその笑顔のまばゆさに目を潰されそうになりながら、心の内で絶叫していた。
 しかし。その一言で、獄寺の優先順位は変動した。
 十代目は“これ”をお求めなのだ!
 だって「かわいい」って言ってたし!
 ならそれを手に入れることは、十代目の右腕である俺の役割……!!!
 獄寺は“それ”の獲得のために走りだした。
 その為に、
「え?おい獄寺、どこに行くんだよ?」
「うっせぇ!俺には俺にしかできない重大なお役目があるんだよ!」
 ゲームセンターで遊ぶのを楽しみにしていた沢田さんには申し訳ないが、ゲームの対戦相手、兼、護衛は山本のアホに任せることにした。
 俺の手にかかれば!
 まっていやがれッ!!――――
 だが……
 開始15分後。獄寺は苦戦を強いられていた。
 お…おかしい……!
 獄寺の頭の中では幾通りものシュミレーションが行われていた。
 クレーンの掴む力、“それ”の重さ、位置、角度……現に、そのシュミレーションを元にして“それ”の周りにある邪魔な小物は排除できた。
 だが“それ”は落ちてこない。
 崩した小銭はすぐに尽きた。獄寺は何度も両替に行くのを惜しみ、有り金すべてを小銭に換金した。
 しかし“それ”は落ちてこない。
 20分経ち、30分経ち、40分、45分………
 イライライライラ。と、獄寺がイラつくほどにクレーンの精度は落ちていく。
 獄寺の左右には小物が積まれ、山を成した。周りには人垣ができる。
 “それ”は落ちてこない。
 しかし、“それ”はわずかずつだが、出口の穴に近づき、移動を始めた。
 人垣からは「そこだっニーチャン!」「がんばれ兄貴ィイーッ!」という、声援まで聞こえる。
 獄寺は内心の高揚と焦りを、深呼吸をすることで抑えた。脳内で再生した通りの道筋を繰り返した。
 “それ”はやっと、出口にかかる位置まできた。
 だが獄寺は、そこで大きなミスに気がついた!
 有り金が底を尽きていた……!!
 ポケットを探ったが、見つかったのはライターに大量のダイナマイトばかり…小銭の一枚も出てこなかった。
 痛恨のミスだった…ここまで来たのに……!
 獄寺は唇を噛みしめ、金を下ろしに銀行へ駆けた!走って、走って、走り続けた!
 すべては……十代目のために…ッ!!!!


 ――そして今に至る…
 すべてが遅かった…
 獄寺が戻ってきた時には、“それ”はすでに、他の人間に落とされた後だった……
 獄寺はついに、地面にがっくりとヒザをついた。
 俺は、俺は間に合わなかった……!!
 十代目…っ申し訳ありません……ッ
 獄寺は悔し涙でそこらの地面を濡らした。その時だった。
「だ…だから!お金は持ってないんですってばッ!」
 獄寺は、はっと顏を上げた。ゲームセンターの奥に目をやる。
 すると、そこには男たち数人に囲まれている沢田さんがいた!
「金なんかいらねーんだよ!」
「そいつは兄貴のモンだ!」
「おとなしくここに置いていきなッ!」
「そ、そんなこと言われても…!」
 男たちはどれも人相も柄も悪い。背の高い男たちに囲まれ、沢田さんは青ざめ、怯えていた。
 獄寺は自分の愚かさを呪った。怒りで、体中が熱くたぎった。
 自分が…自分がUFOキャッチャーなどに夢中になっているから、ボスを危険な目に遭わせるなんて……!!
「何してやがんだテメェらぁあっ!?」
「あ、兄貴…へぶぅ!?」
 身近な一人をぶん殴り、沢田さんを背中にかばう。
「すみません十代目!俺が…俺が近くにいながらこんなことになるなんて!
「ご、獄寺くん!?」
「ちょっと待ってくださ…」
「テメェら…沢田さんに手を出しやがって…全員まとめてっ、地獄に叩き落としてやらぁッ!!」
 獄寺は、沢田さんに手を出した不届き者たちをにらみつけ、武器のダイナマイトに着火した。
 すると、沢田さんが腕に抱きついた。
「だ…ダメだよっ、獄寺くんッ!」
「止めないでください十代目ッ!」
「ダイナマイトはダメッて、いっつも言ってんだろぉおっ!!?」
 例え菩薩様のように優しく慈悲深い沢田さんの頼みでも、獄寺は無礼者たちを許す気はなかった。
「獄寺!」
 だが、沢田さんがすがりついた左腕の反対側、右腕を捕まれた。捕まえたのは山本だった。
「離しやがれ、山本!」
「獄寺!派手にやりすぎだ!もうすぐヒバリが来る!」
「げ!?」
 沢田さんが青ざめた顏を引きつらせ、獄寺の腕を抱えた。反対側の腕を山本が抱く。
「に、にげないと…!」
「おぅ!」
 獄寺は抵抗した。まだ、沢田さんに無礼を働いた男たちに制裁を加える任務があったからだ。
「山本ッ、はーなーせーぇえぇぇッ!!」
 俺を…
 俺をッFBIに引きずられる宇宙人みたいに連行すんじゃねぇえぇっ!!


「本当に…どうしたの?獄寺くん」
 ゲームセンターからの逃走後。
 獄寺たちは河原の土手の上を歩き、家路についていた。
「申し訳ありません、十代目!」
「いや!だから謝る必要はないって…だから道の真ん中で土下座はやめてってば!?」
 沢田さんの優しい許しの言葉を聞いても、獄寺の心は沈んだままだった。
「そーだぜ?なんとか、ヒバリや風紀委員に鉢合わせもしなかったんだしよ。終わり良ければすべてよし、ってな!」
「テメェは黙ってろ!野球バカ!」
 外はすっかり夜だった。月が出ていた。
「俺は…肝心な時に、十代目をお守りすることができませんでした…」
「獄寺くん…」
 姿勢を正したまま、獄寺は反省を続ける。自分が恥ずかしかった。穴があったら入りたいくらいに。
「俺は……」
 その時、獄寺の目の前に白い何かがつき出された。
 驚いて顏を上げた獄寺の目に、月夜の下でも淡く輝くような、大好きな笑顔があった。
「…元気だしてよ!」
 獄寺は笑顔に目を奪われていたが、沢田さんのさし出した白いものを見た。
 それは大きな白いビニール袋で、よく見たら先ほどのゲームセンターの店名が入っていた。
「な、なんスか?」
「見たら分かるよ」
 沢田さんの、わくわくしているような、いたずらっぽい笑顔は少しだけ珍しく、獄寺はドキドキとした。
 そして袋の中身を見た獄寺は、息を飲んだ。
「これは……ッ!!」
 “それ”は、UFOキャッチャーで、獄寺が有り金すべてはたいても手に入れられなかったもの………
「ツチノコのぬいぐるみって、珍しいのなー」
「だよねー。しかもデカッ!」
 沢田さんは一抱えもあるぬいぐるみを持って笑った。
 獄寺は驚くばかりだった。
「こ…これをどうして……」
「ん?や。獄寺くんがいつまで経っても戻らないから店先まで見に行ったらさー。この子が目に入って」
 沢田さんがツチノコの頭をなでる。
 獄寺には、その手になでられたツチノコが、うっとりしているようにも見えた。
「そうしたら、店に来た時は落とせなさそうな位置にいたこの子が、落としやすそうな場所に移動してたからさ」
 それから照れたように、沢田さんは笑い声を上げた。
「俺さ!UFOキャッチャーで景品落とせたの、初めてだったの!」
 興奮した口調に、獄寺は沢田さんの嬉しさを感じ、不思議な気持ちになった。
 いつの間にか、自分ができなかったこと、失態に沈んでいた心が、そわそわと浮いていた。
 そうか……そいつを俺が落とせなかったのは、最後に十代目がキャッチするための……
 今だけなら獄寺は、神様のいたずらを信じても良い心地になっていた。
「…良かったですね、十代目!」
 獄寺は、ありったけの笑顔を沢田さんに向けた。
 これが…十代目の幸せが、俺にとっての幸せだ…―――
「これ…獄寺くんにあげる」

「………え?」
 さし出されたぬいぐるみと、まばゆい笑顔の沢田さんを、獄寺は信じられない気持ちで見比べた。
 受け取らない獄寺に、沢田さんは不安そうに慌てる。
「いらない?こんなデカイぬいぐるみ」
「そ、そうじゃなくて…で、でもこれ、十代目が欲しくて取ったんじゃ…」
「え?だって」
 沢田さんは、不思議そうに目を丸くする。
「だって…これ、獄寺くんが見てたから」
 そして、ふんわりと笑った。
「だから欲しいのかな、って。だから……はい!」
 獄寺は、しばらく呆然とした。
 それは…つまり…十代目は、俺と同じことを考えて……
「良かったな、獄寺!お前、会いたい日本の珍獣ベスト8なんだっけ?」
「え!?そ、そうだったの?」
「そうそう!あとなんだっけ?雪男?ナマハゲ?」
「いや!どっちも珍獣じゃないから!」
 やり取りの間で、獄寺はツチノコのぬいぐるみを受け取った。
 巨大なぬいぐるみには、沢田さんの抱いた体温が移っているようだった。
 そして獄寺の胸にも、それと同じくらい温かいものが、満ちて、あふれてゆくようだった。
「でも今日はバタバタしたから、今度はちゃんと獄寺くんも…って、獄寺くん!?」
「泣いてんのか?」
 バカ!これは男泣きだ野球バカッ!
 顏中を真っ赤にして、目には涙までためて、でも嬉しくて、獄寺は笑い出した。
「十代目ッ!」
「な、なに?」
 胸にあふれる思いはあるが、今はただ一言、伝えたい。


「ッ………ありがとうございます!!」


※獄寺くん、お誕生日おめでとう!リボキャラ誕ss書いたの久しぶり!
※最近UFOキャッチャーにハマって武者修行に出たい、庄次郎でした!





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最終更新日  2009年09月10日 11時11分32秒
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