気まずい

2004.05.11
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先日、あるビルを目指して歩いていた。

方向に関してはからっきし駄目である。
唯一の弱点と言えよう。(こんなキャラだったっけ)
もちろんこの日も目的のビルの方向を見失っていた。
駅を出てからは方向を認識していたはずだったのだが、
角を2つほど曲がるともう何がなんだかさっぱり分からなくなる。
やけになって一つの方向に突き進むこともあるが、
大抵あとで後悔することになるので、最近は人に聞くようにしている。


30代ぐらいのスーツの男の人を見つけた。
「すいません。○○ビルってどこですか?」
恐縮することもなく、普通に聞く。
これは俺の一つの特徴かもしれない。
あまり礼儀がないというか。
「あーはい。そこはですねー(略)」
と非常に丁寧に教えてくれた。
あまりに教え方が優雅であったので、
話を聞くよりもその人の顔、表情を眺めながら、
ロートーンの美しい声に聞き惚れていた。
気が付いたら説明が終わっていたと見える。

一応教えてもらった通りに進みはじめたけど、
どうもおかしい。
やっぱり折角の道案内を聞いてなかったのか。
しょうがないから、適当に歩き始めた。
いくら俺でもたまには適当が当たることもある。


角を曲がって、はっとした。
道を教えてくれた彼がいたのだ。
もう随分時間は経っている。
これは気まずい。
折角教えてもらったのに、まだ行けてないことがばれてしまう。
俺の感覚だとその紳士がいる方角に行きたかったのだが、
あきらめて別の道を進んだ。

今書いてて思いついたけど、いいナンパ方法になるな。

好みの女性に道を聞く。
「ありがとう」といって去る。
こっそり、彼女の後をつける。
しばらくたったら、彼女の前に登場する。
「あー折角教えてもらったのに、まだ着けてないんです。ははは」
俺ってなんて間抜けなんでしょうを自己演出。
二回も会った俺に運命を感じる彼女。
そして俺の間抜けさが彼女の母性本能をくすぐる。

「また分かんなくなるかもしれないから、連絡先教えてください」

どうだろ、これ。
町でそれをやられたら、俺だから、その時はよろしく。





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Last updated  2004.05.12 00:22:55
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