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M’t DAISEN. ~ Oogamiyamajinnjya.
社殿の入り口付近には、ジャージ姿の子供達が雨宿りをしていた。
傘を持つ者、いない者、ひとしきり何か話をしていたが、雨脚が少し弱くなったのを合図に、そろそろ下山しようという事になったらしい。境内付近は急に人が引いていく気配がした。
久遠と俺は傘をたたんだ。
こんな山を上がったところに、と思うほど、本殿は立派だった。国宝級の建物ということだが、実はここは本社ではない。雪の降る冬季には閉まってしまう奥宮。大山詣での遥拝所だったものが神社に成長したということだが、ひょっとすると、麓の本社より、訪れる人は多いのではないだろうか。
中に入ると、意外に広く明るかった。左手の壁には、神社の縁起、ご利益などが書かれた看板や、オオナムチ神の肖像が飾られている。
主祭神 大己貴命
ご利益 畜産、安産、授福、病気平癒
人も動物も何でも来い、というわけか…。
入って右手にはチケット売り場の受付のようになってあり、その奥が社務所のようだった。ずらりと並んだお札やお守りは、品揃えが豊富な分、こんな山奥にまで…と、幾分興ざめな気もしたが、下界でもここまでの神社は数も限られる。そう思えば今もって盛んな大山信仰の表れ、ともいえるだろうか。
一通り中を見回して、俺たちは本殿に手を合わせた。ここではコレといってなんと言うことはなかった。むろん、そう矢継ぎ早に色々あっては身ももたないだろうが…。
外にでて一服するつもりでいたが、濃くなった靄を見てやめておいた。もう一雨きそうな気配だ。傘のいらないうちにと、近くにある末社の下山神社に足を向けた。
Simoyamajinnjya.
そう離れてはいない場所に下山神社はあった。まだ新しい建物に見えたが、本殿から数段下がったところという不思議な立地条件だ。しかし、俺が一番気になったのは、神社の門番…。狛犬ではなく、狛狐だ。
『おきつねさんか…。』
俺の脳裏に先ほどの日吉神社の稲荷がよぎった。こういうのにも相性はあるのかい?振り返り訊ねようと久遠を見ると、ヤツは階段を下りようともせず、そこに立ち尽くしていた…。
…おいおい、そんなにヤバイのか?!
狛狐の顔をもう一度見る。新しいせいか、別に気になるようなものは感じない。まあ、初対面の挨拶くらいはしとかないとな…。俺は意を決してズカズカと、賽銭箱の前に歩み出た。
開け放たれた戸口から室内が見える。ご神体の鏡ののった祭壇には、榊や、神饌、脇には献上された酒などが置かれている。畳表は新しく、清々しい匂いがしていた。
遠方よりの来客だ。縁あってのことならば、万事恙無く事の運ぶよう…
二礼二拍手一拝で手を合わせた俺は、そう念じた。
靄がいよいよ濃くなってきた。
山頂がすっぽりと、雲で隠れてしまった山に背を向けて、俺たちは先ほど来た道を降りていった。
つづく。
トップレスファイル ~vol.19 2007.03.28 コメント(6)
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