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鬼羅の歌 鬼羅は 毎日 耕の畑を手伝った。 耕は 毎日 鬼羅に歌った。 「なんで 自分で歌わない?」 そう問われて 鬼羅は驚いた。 「あたいは 鬼。 泣いたり 歌ったり できない」 「鳥だって 狼だって 歌う。 鬼羅だって 歌えるさ」 「歌えない」 「教えてやるから 歌ってみろ」 耕は 鬼羅の目をのぞきこみながら ゆっくりと ひと節 歌った。 ほら と つつかれて鬼羅が真似る。 鬼羅の口からでるのは 枯れ枝をこすり合わせる音ばかり。 鬼なんだ。 歌えっこない。 歌おうなんて 思わない。 耕の歌があれば それで よかった。 写真byげこる「げこるでつくる」
2008.05.07
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秋が来た。 ある朝 若葉が言った。 「今夜 満月やし 川のはじまりまで 行かへん?」 「うん 行ってみたい」 川のはじまりへ行くには小さな滝を二つほど登る と 若葉が言う。 「満月あびて滝登りした二匹は ずうっと仲良しでいられるんやって」 早口で言い添えると 小さな水しぶきをあげ 泳いでいってしまった。 ぼくは ぽおっと 若葉の残した波紋に みとれた。 と そのとき 山ガラスが川を横切った。 くちばしに きらりと銀色に輝くものをくわえている。 月の光に似ている。 月夜にぴったりのおくりもの。 若葉にあげたい。 カラスは 山中へと もどっていく。 ぼくは カッパだ。 水から離れるのが 怖い。 長時間 水から離れると とんでもないことが起きる と 山ふところから 聞いたことがある。 カラスが遠ざかる。 いそげば大丈夫。 走って行って 走って帰ってこよう。 ぼくは 陸に上がった。 写真byげこる「げこるでつくる」
2008.04.15
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