ヘナヘナライター 生態日記

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加藤美保

加藤美保

2005.01.27
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火・水と取材が続いてこの二日間は、慌しい日々を送っていた。

火曜日の取材分原稿締め切りが来週月曜日なので、サクサク仕事をしなければいけないものの、全くやる気が起きず現在読書中(笑)。
先ほど、桐野夏生の『柔らかな頬』を読み終えた。

主人公カスミは、東京の片隅で、倒産しそうな小さな製版会社を経営する夫を支えながら、娘2人を懸命に育ている女性。
しかしその一方で、彼女は夫の会社の得意先である大手広告代理店に勤めるデザイナー石山と不倫関係にあった。
石山はカスミとの大瀬の場所として、北海度に別荘を購入する。実は、カスミは高校を卒業したばかりの頃、北海道にいる両親の元を家出同然で出てきたという経緯があり、彼女にとってその場所は、足を踏み入れたくないところでもあった。しかし、石山に説得されて、カスミは夫とふたりの娘と一緒に石山の別荘を訪れる。
その別荘で、お互いのパートナーや子供達の目を盗み、貪欲に愛し合う二人。しかし、ついにそれが石山の妻の知るところとなる。石山とカスミは、お互いの家族を捨ててふたりで生きることを考え始めるが、その翌日、カスミの長女有香が突如行方不明となった・・・。

この作品は、単行本では上下二巻に分かれている。上巻途中までは、娘失踪の真実を知るために紛争するカスミの姿が主に描かれているが、途中、末期がんに侵され引退した刑事内海が登場したあたりから、作品は様相を変え始める。特に下巻に入ると、登場人物たちが見る夢物語がストーリーに挿入されるので、どこまでが夢で、どこまでが現実か、読者にもわからなくなってくる。


それはさておき、私は以下の一節に感銘を受けた。
「カスミはいつも、自分は有香という名の小さな時計を失ったのだと思っていた。子供は時間を表す存在だ。妊娠から一週ニ週と数えられ、十月十日で誕生すれば、その子の生きる年月が親の記憶となる。豊かな未来がいっぱい詰まっている時間。そして互いの記憶の中で風化する時間。それら全てを刻むものが子供だった。カスミは一個の時計を人生から見失ったのだ」
そう、まさに、子は親の人生の時計だ。親は子を見るたびに、自分の人生を確認している。





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Last updated  2005.01.27 15:00:21
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Re:桐野夏生の「柔らかい頬」(01/27)  
こんばんは。

親を失うことは過去を失うこと。
配偶者を失うことは現在を失うこと。
子どもを失うことは未来を失うこと。

と言われるのだそうです。
未来を失うのはいちばんつらいよね。

でも、大阪教育大付属小の事件で娘さんを奪われたお父さんが、娘さんの血痕から最後の足取りを知り
(致命傷を負いながらも、廊下を50メートル歩いていました)「娘が最後まで必死に生きようとしたことがわかった。そして自分は、娘の分も一生懸命、生きなければいけないと思った」と語っているのをテレビで見たとき、心底、人間って、親ってすごいと思いました。 (2005.01.27 20:09:39)

Re[1]:桐野夏生の「柔らかい頬」(01/27)  
加藤美保  さん
スピッツのチャーさん

すばらしい書き込み、ありがとうございました。
過去を失うことも、現在を失うことも辛いけれど、未来を失うことは本当に辛いでしょうね。私は、この小説を読みながら、拉致被害者の横田さん夫妻のことを思い浮かべていました。

>でも、大阪教育大付属小の事件で娘さんを奪われたお父さんが、娘さんの血痕から最後の足取りを知り
>(致命傷を負いながらも、廊下を50メートル歩いていました)「娘が最後まで必死に生きようとしたことがわかった。そして自分は、娘の分も一生懸命、生きなければいけないと思った」と語っているのをテレビで見たとき、心底、人間って、親ってすごいと思いました。

言葉では言い尽くせないものすごく話だと思います。死ぬ間際に、50mも歩いたそのお子さんもすごいし、そのことを知り、生き抜こうと決心するそのご両親もすごいです。
ただ、すごいとしか言いようがありません。

このところ、子供が被害者になる恐ろしい事件が多いので、つい娘に、「世間では危ないことも多いから、ひとりでブラブラしないでね」と言ったら、「カオちゃんは世間なんてひとりで歩かないよ」、答えました。
娘は今、5歳。まだまだワケわからないことを言う盛りです。
(2005.01.27 21:07:44)

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