ヘナヘナライター 生態日記

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加藤美保

加藤美保

2008.06.27
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最近DVDで「28週後」と「アイアム・レジェンド」を見た。どちらもいわゆるゾンビ系映画であり、謎のウィルスが流行って次々と人々が感染、正気を失った人が正常な人々を襲って、人間社会が崩壊する様を描いている。

私は昔からゾンビ系映画が苦手だ。できれば見たくない類のジャンルなハズなのに、深く考えずに新作コーナーにあったものをサクサク借りてしまったのである。「アイアム・レジェント」に至っては、軽いノリのスペクタクル映画だと誤解していた。

苦手なジャンルではあるものの、実はゾンビ系映画の魅力みたいなものもよくわかっている。弟がスプラッタ・ホラー映画好きだったので、否応なくその手の類の作品をたくさん見るようになったからだ。どれもあまり好きになれなかったが、ゾンビ系映画のみ苦手なのに目が離せず、「面白さはわかる」と言う境地に至った。
ウィルスに感染してまるで違う生物に変化し、次々と人々を襲っていく。街が機能を失って、正気を失った人々が徘徊するゴーストタウンと化してしまう。当然、恐ろしくて仕方がないのだが、その裏腹に、たぶん終末観への魅力も感じてしまう。

人には、生きると正反対のベクトルで死ぬという本能も刻まれているに違いない。生きているけれど死んでいる、死んでいるのに生きている。そんな生と死の境界線で蠢くゾンビには、本能的に恐怖を感じつつ惹かれてやまない何かがあるような気がする。

さて、話を映画に戻そう。「アイアム」と「28週後」、私は「28週後」の方が断然面白かった。「アイアム」は100%ハリウッド系の大作映画で、内容といい作品のセットといい、いかにもお金かけました的な堂々として出来栄だ。対して、「28週後」の場合、配給は20世紀フォックスながら、物語の舞台はイギリスで、イギリスとスペインの合作映画だ。
映画をよく見ている人ならおわかりだろうが、ヨーロッパ映画は一言でいえば暗い。暗いというのは内容云々だけではなく、文字通り画面が粗かったり照明が暗かったりということも意味する。ハリウッド映画の場合、貧乏人を描いても、なぜかそこには生活感が希薄で、真の意味での“貧困”があぶりだされてこない。貧しい家の情景を映しても、なぜか悲壮感が感じられないのだ。対して、ヨーロッパ映画は違う。画面からは、暗くて不潔でジメジメとした冷たい貧困がリアルに感じられるものが多い。
「28週間後」もそう。物語の最初に描かれるのは、ウィルス感染者に見つからないように、隠れ家で息を凝らして生活する人々の様子だ。貧しい食事で飢えをしのいでいるその生活ぶりが実にリアルで、見ているこちらまで息が詰まりそうになる。これはアメリカ映画では絶対に出せない味であろう。
「アイアム」も「28週後」も、人が消えて荒れ果てた街の情景がところどころに映し出される。雑草が明日アスファルトの割れ目から好き勝手に顔を出し、野生動物が街の中を疾走する。そんな「アイアム」で描かれる街の様子の方が、リアルだしよく練られていると思う。


「28週後」はカタルシスの欠片もなく終わる。たいして「アイアム」は、未来に希望をつなぐ終わり方をする。それでも、私は「28週後」のあの救いのない終末観に惹かれてしまう。





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Last updated  2008.06.28 00:27:14
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