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2006年12月24日

天皇陛下のこの一年のご動静

テーマ：皇室三(37)

カテゴリ：歴史傳統文化

　旧暦十一月五日。霜月しもつき、乃東だいとう（夏枯草）生ず。

天皇陛下のお誕生日に際しての記者会見の内容とこの一年のご動静

この一年のご動静

　陛下はこの一年も、宮殿において、ほぼ毎週二回国事行為にかかわるご執務を行われ、内閣よりの上奏書類等にご署名やご押印をなさった数は千五十二件に上りました。その外、宮殿では、恒例の講書始の儀及び歌会始の儀にご臨席になり、親任式（内閣総理大臣及び最高裁判所長官）、認証官任命式（九十六名）、信任状捧呈式（三十名）、勲章親授式、さらに、勲章・褒章受章者、医療功労者、矯正職員、優良公民館代表、自衛隊統合幕僚幹部などの拝謁、内閣、最高裁判所・高等裁判所長官、検事総長・検事長、知事等との午餐、文化勲章受章者及び文化功労者、第二十回オリンピック冬季競技大会入賞選手及びトリノパラリンピック冬季競技大会入賞選

手等とのお茶、国際緊急援助隊員、国際平和協力隊員、テロ対策特措法及びイラク人道復興支援特措法に基づき派遣された自衛隊員並びに在サマーワ外務省連絡事務所職員、日本青年海外派遣団員、人事院総裁賞受賞者のご接見などを含む多くの行事に臨まれたほか、日本銀行総裁、各省庁事務次官等のご進講をお受けになりました。
　外国との関係では、十一月にインドネシア大統領夫妻を国賓として宮殿にお迎えになり、歓迎式典に臨まれ、宮中晩餐を催されました。今回、迎賓館が改修工事のため、歓迎式典が初めて宮殿にて行われました。また、第四回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議に出席する十五か国の首脳及び代表夫妻等を茶会に、公式実務訪問で来日したマラウイ大統領、サウジアラビア皇太子殿下、カメルーン大統領夫妻、エルサルバドル大統領夫妻を午餐に、またアゼルバイジャン大統領夫妻始め外国の元首、三権の長さらに国際連合事務総長等の賓客を宮殿にてご接遇になりました。その外、新任の外国大使夫妻をお茶に、日本滞在が三年を超える外国大使夫妻を午餐にお

招きになり、離任する外国大使夫妻をご引見になっています。
　御所では、恒例の日本学士院会員、日本芸術院会員、青年海外協力隊帰国隊員・日系社会青年ボランティア帰国隊員、シニア海外ボランティア・日系社会シニア・ボランティア、国際交流基金賞及び同奨励賞受賞者等とのご懇談やご接見がありました。また、内閣総理大臣、最高裁判所長官の交代に当たり、それぞれを夫妻でご夕餐にお招きになりました。五月には、平成十八年年ＦＩＦＡワールドカップ・ドイツ大会出場に当たり、日本サッカー協会キャプテン等を御所にてご接見になったほか、ヨルダン国王アブドッラー王妃両陛下、タイ王女シリントン殿下始め外国王族の方々をおもてなしになりました。さらに、外務省総合外交政策局長によるご進講を始め各種行事に関する事前のご説明等をお受けになりました。
　都内では、国会開会式、全国戦没者追悼式を始め、日本国際賞及び国際生物学賞の授賞式、国連加盟五十周年記念式典等にご臨席になり、お言葉をお述べになったほか、日本芸術院賞、日本学士院賞

の授賞式にもご臨席になりました。
　また、東京大学大学院理学系研究科附属植物園（小石川植物園）、国営昭和記念公園及び昭和天皇記念館、再興第九十一回日本美術院展覧会及び第九十一回二科美術展覧会へのお出まし、毎年行われている企業ご視察など、都内行事等へのお出ましがありました。
　こどもの日、敬老の日、障害者週間に当たっては、例年のとおり、それぞれの関係施設をご訪問になり、入所者及び関係者をお励ましになりました。
　両陛下は、本年三月、三宅島噴火災害による全島避難から帰島後一年を迎えた島内状況ご視察のため、ヘリコプターで三宅島をご訪問になりました。現地では、阿古漁港、高齢者在宅サービス支援センターをご訪問になり、村役場にて復興尽力者をねぎらわれ、住民とご懇談になりました。
　地方行幸啓は、一道八県にわたり、この一年間でご訪問になった

市町村は十四市十町一村でした。天皇陛下は、第五十七回全国植樹祭（岐阜県）、本年より夏季及び秋季大会を統合して開催されることになった第六十一回国民体育大会（兵庫県）、第二十六回全国豊かな海づくり大会（佐賀県）、札幌市において開催された第十六回国際顕微鏡学会議記念式典にご臨席になり、お言葉をお述べになったほか、レセプション等にご出席になりました。その機会に、北海道においては、長年心に掛けてこられたえりも岬植林地緑化事業など地方の事情をご視察になったほか、各地で福祉施設、文化施設などをご訪問になりました。また、十月には埼玉県和光市の独立行政法人理化学研究所をご視察になりました。
　天皇陛下は本年六月、皇后陛下とご一緒にシンガポール、タイをご訪問になり、その際マレーシアにお立ち寄りになりました。
　本年は我が国とシンガポールの外交関係樹立四十周年の年に当たり、両陛下は国賓として各種の公式行事にご出席になり、現地の人々との交流にお努めになりました。

　タイでは、国王陛下御即位六十年慶祝儀式を始め多くの行事に臨まれ、タイを始め各国王族とのご親交を深められました。両陛下の真摯しんしなお人柄に触れ、タイ国民が深い感銘を受けたことを現地の新聞が報道しています。
　マレーシアでは平成三年にご訪問の折、山林火災による悪天候のため中止をやむなくされたペラ州をほとんど当時のご日程どおりに訪問され、当時国王陛下であられたアズラン・シャー・ペラ州スルタン殿下を始め現地の人々の歓迎をお受けになりました。またクアラルンプールでは、昨年三月に国賓として訪日されたサイド・シラジュディン国王王妃両陛下とご会食になりました。
　天皇陛下は例年のとおり、生物学御研究所の田で種籾たねもみのお手まき、お田植え、お手刈りをなさいました。新嘗祭には、お手刈りになった水稲の一部を別途お育てになった粟と共にお供えになり、神嘗祭に際しては、お手植えになった根付きの稲を神宮にお供えになりました。

　宮中祭祀は、恒例の祭典のほか、桓武天皇千二百年式年祭など祭祀三十五回にお出ましになりました。また本年は大正天皇崩御八十年の年に当たり、多摩陵、多摩東陵をご参拝になりました。
　本年の勤労奉仕団、賢所勤労奉仕団、献穀者ご会釈は五十八回ありました。
　九月六日、天皇陛下は皇后陛下とご一緒に北海道行幸啓のところ、秋篠宮家に親王殿下がご誕生になりました。両陛下は、皇孫殿下のご誕生をお喜びになり、北海道よりお帰りの翌日、病院に秋篠宮妃殿下をお見舞いになり、新宮様とご対面になりました。十一月十四日には、悠仁親王殿下が初御参内になりました。
　十一月十一日、愛子内親王殿下の着袴の儀が行われ、両陛下はご挨拶をお受けになったほか、東宮御所での祝宴にご出席になりました。
　陛下は、お忙しいご公務の合間にハゼのご研究をお続けになっておられます。本年は、五月に横須賀市で開かれたＧＯＲＩ（ハゼ類

の地方名）研究会年会に二十一年振りに、また、十月には、静岡市で開かれた日本魚類学会年会に六年振りにご出席になりました。
　両陛下は四月、皇居内生物の追加調査結果について、国立科学博物館関係者等から報告をお受けになりました。これは、皇居の自然に関して、平成十二年（西暦二千年）における皇居内の生物について正確な記録を残し、その後の経年変化などを把握することが望ましいと願われた天皇陛下のお気持ちが発端となり、平成八年（西暦千九百九十六年）より、百名を超える人が携わって国立科学博物館による詳細な生物調査が実施され、平成十二年（西暦二千年）十二月にその調査結果が発表されており、又動物についてはその後も追跡調査が行われ、平成十八年（西暦二千六年）三月に更にその後の五年間の追跡調査結果がまとめられたものです。平成十九年（西暦二千七年）から新たに「みどりの月間」が設けられることとなった機会に、こうした成果を国民と分かち合いたいという両陛下のお考えを踏まえ、この度この皇居吹上御苑において自然観察会が開催さ

れることになりました。
　天皇陛下は、前立腺摘出手術後、引き続きホルモン療法を受けておられますが、ご健康維持のため、早朝にはご散策をされ、御所と宮殿との往復はなるべくご徒歩でなさり、ご公務のない週末や休日にはテニスなどのご運動に努めていらっしゃいます。
　天皇陛下は十二月二十三日、七十三歳のお誕生日をお迎えになります。

平成十八年　十二月廿四日
　女王様「女王様物語」を聴きながら

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