2004/09/09
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カテゴリ: 読了本


東京外語大ロシア語科卒→日ソ貿易関係の商社マンを経て、文筆活動。

ロシアとの合弁会社のモスクワ事務所長の秋山純二は、事務所に訪ねてきた老婦人にとてつもない依頼を受ける。
老婦人は かつてのロシア貴族の子孫で、革命によって没収された父の財産だった絵画をロシア政府から返還して欲しいという。
どうしても返還に応じなければ盗み出して欲しいという。
秋山は東京にいる三原社長にその話をする。

そんな時、エルミタージュ美術館副館長らから、絵画を数点買い取って欲しいと言う話が持ち込まれる。
そして、エルミタージュ美術館内で、秋山と三原社長、鑑定士の赤坂ら3人は、副館長や文化庁部長と2枚の絵画の売買契約をする。
ロシア政府との売買でないだけに国外に持ち出すのに いろいろな問題点がある。
途中、偽警官に車を止められたり、ヘルシンキへの国境での税関での事件。
なんとか、ロシア国外に絵画は持ち出された・・・・が!
サンクトペテルブルグに残っていた三原、赤坂らはエルミタージュ美術館で、同じ絵画が展示されているのを見る!
偽物をつかまされたようだ!
鑑定士の赤坂は、あんなに本物と寸分の違いも無い偽物は見たことが無かった。

三原は太平洋戦争の特攻隊の生き残り。
友の殆どが死に、妹の好きだった男性も特攻によって死んでいた。
今はその妹との2人暮らし。
三原には子供達も居たがその子供達も所帯を持ち、妻を亡くした今は妹との暮らしが心休まる日々だった。
そして、もうしたいことはしてきたと思う今、決意をする!
絵画を盗み出そう~と。

***************************
絵画を国外に持ち出す時のハードボイルドタッチの面白さ。
偽物をつかまされて、エルミタージュ美術館に入る大胆かつ緻密な計画。
あの老婦人の正体は?
鑑定士をも騙せる偽物の絵画は誰が書いたのか?
そして偽物の絵画の売買を計画したのは誰か?
何のために?
どんでん返しの面白さ。

以下「・・」は本文より
「外国との交渉は、まず声高に要求を突きつける。
良心や神に対する懺悔はあとで独り密室ですればよい。
日本人は、懺悔しながら交渉する。正直に心情を吐露することで、相手に気に入られたいという阿諛、おもねりがひそんでいる。
腹を割って話せば、相手も人間、おたがいに理解できるはずだ、と自国に不利な状況までしゃべってしまう事がある。」
あ~なんか解かるな~って思いました。
外交面での失策って、これなんでしょうね。
分かり合えない相手もいるし、外交も作戦なんですよね。

「ロシアはいったん手にしたものは、どんなことがあっても手放さない。これは昔から変わらない。領土だろうが絵画だろうが、みな同じ」
そうだわぁ~北方領土も、ロシアからの独立も。。。

どんどん読みすすむ面白い本でした^^








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最終更新日  2004/09/10 07:54:41 PM
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Re:『エルミタージュの鼠』・熊谷独さん(09/09)  
olive2004  さん
題名は、エカチェリーナがエルミタージュ宮殿の絵画を見ることができるのは私とエルミタージュの鼠だけといった有名な言葉からきてるのかな?

ロシア人の強欲さを表しているのかな。

モスクワっ子が寒中水泳大会をしているのをみて、こんな熊野郎と戦争しても勝てるはずがないと思ったと誰かがコメントしてたけど、ロシア人は熊+狐+鼠かな?最後は鼠ではなく、ミンクかセーブルか?

小学校の事件を見て思ったのよね、あんなに恨みをかっているのに、領土を手放そうとしないんだもんね。

(2004/09/10 10:52:18 PM)

Re:『エルミタージュの鼠』・熊谷独さん(09/09)  
はなびら  さん
拉致の次は北方領土ってわたしは思ってるんですけど無理かなぁ・・あきらめてはダメよね。しかしあのテロの解決の仕方を見てると無理っぽい。小樽へ行ったとき領土返還の旗がひらめいていたのを思い出します。
(2004/09/11 09:05:04 AM)

Re:『エルミタージュの鼠』・熊谷独さん(09/09)  
ばあチャル  さん
>「日本人は、懺悔しながら交渉する。正直に心情を吐露することで、相手に気に入られたいという阿諛、おもねりがひそんでいる。」

きつい言葉ですが、経験者だから語れるのですね。ほんとうにそうですよ。

>分かり合えない相手もいるし、外交も作戦なんですよね。

どんどん先へ行ってますね(笑)これって外交だけでなく日常にもあてはまるかもね、ほんと。
この本も面白そう! (2004/09/12 08:38:29 AM)

Re[1]:『エルミタージュの鼠』・熊谷独さん(09/09)  
☆かよ  さん
olive2004さんへ
>題名は、エカチェリーナがエルミタージュ宮殿の絵画を見ることができるのは私とエルミタージュの鼠だけといった有名な言葉からきてるのかな?
-----
それと鼠のように盗みに入るというのと両方かもですね。
暖かい南国だと自然にフルーツが生ったりでボォーっとしてても生きていけるから鷹揚な気質になるでしょうけど(そのかわり働かないよね・・笑)
寒い国だと短い夏に一生懸命に冬の蓄えしないといけないから、決して手放さない気質になるんでしょうね。。。
(2004/09/12 11:38:25 AM)

Re[1]:『エルミタージュの鼠』・熊谷独さん(09/09)  
☆かよ  さん
はなびらさんへ
>拉致の次は北方領土ってわたしは思ってるんですけど無理かなぁ・・あきらめてはダメよね。しかしあのテロの解決の仕方を見てると無理っぽい。
-----
強硬派のプーチン政権では難しいでしょうね、北方領土は。
穏健派のゴルバチョフ、エリチィンの時代でも、ロシア気質の=決して手放さない=でしたから・・
現在日本人が住んでない北方領土も返還されれば、公共工事で多額の税金がかかるし・・
(2004/09/12 11:43:45 AM)

Re[1]:『エルミタージュの鼠』・熊谷独さん(09/09)  
☆かよ  さん
ばあチャルさんへ
>この本も面白そう!
-----
この本もお勧めです=!^^
日常生活でも「この人とは分かり合えないなぁ~」って人居ますものね、確かに。
(2004/09/12 11:48:22 AM)

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