kazesan 2

Oct 16, 2007
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カテゴリ: 日々のカケラ




 「おめでとう」とニコニコ微笑んで、ヨシエどんが言った。「えっ?」と向かっていたパソコンの日付をのぞいた。そうか、結婚記念日だった。昨日で、いっしょに歩き出して31年目。高3で同じクラスになって以来、もう干支が3周もしてしまった。長かったのか短かったのか、何かの記念日がめぐってくると、最近はそんなことばかり思ってしまう。サッシの磨りガラスから柔らかな朝日が差し込んで、人生の同伴者を照らしている。何年かしたら、そんなこともまたなつかしく思い出すのかも知れない。

 「ほんじゃ、今夜はどこかで食事でもする?」
 「いえ、いえ」
 「はうす」

 しゃれた会話が飛び出して、ふたりで笑った。

 午前中は白山の筋肉痛を持て余しながら雑誌の取材。曹洞宗の古刹大乗寺を撮った。ご住職の東隆眞禅師の簡潔でしかもていねいな話を伺いながら、それでもぼくの心は少しうつろだった。若者たちにもっとお寺に親しんでもらおうとコンサートなどいろんな催しをされているそうだが、観光コースからはずれたこの静かな山寺の雰囲気は、何にも代え難い。必要のある若者が訪れるだけでいいのではと、昨日までの白山を想いそんなことを感じていた。


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 このままじゃなんにもない記念日だなと、少し気になったが、アイディアも浮かばずに帰宅した。おお、そうだ。昨日北海道の友から届いたばかりの秋鮭が丸ごと1尾、どかんと玄関脇に鎮座していた。コックの弟が忙しいからと今日までそのままになっていたが、これを捌くことで記念日にするかと決めた。決めると、弟宅から電話。ヨシエどんの実の妹でもあるイッちゃんからだ。それではと、ここはやっぱりプロの腕に頼ることにした。見事な鮭は、美しい切り身にしてあげたい。

 ハードな仕事のあとで疲れているだろうに、手際よく淡々とさばく弟を見ていると、言葉にはできなかったがありがたいなぁと少ししんみりした。これで何年目だろうか。北の幸を届けてくれる友のことにもまた思いが及んだ。ありがとう、友。さりげなくあたたかにふれあう、人と人。記念の一日もさりげなく過ぎて行った。ふとんにもぐるとすぐに眠ってしまった。31年目の古女房にありがとうを言うのをすっかり忘れていた。















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Last updated  Oct 16, 2007 09:06:29 AM
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kazesans @ Re:こんばんは^^ 雪花鶏・ゆきあとりさん えっ? お気に…
雪花鶏・ゆきあとり @ こんばんは^^ 満月の白山、とても大好きな一枚です。 …
kazesan@ Re:一期一会 縷衣香さん 波紋かぁ、なんだかぼくの今…
縷衣香@ Re:一期一会(11/28) 或る日、ゆうこさんのブログを最初の日か…
kazesan@ Re:お久しぶりです だいだーさん 元気そうでなによりです。…
kazesan@ Re:僕は ささき春喜さん ぼくにとってスキッパー…
だいだー@ お久しぶりです。 お久しぶりです。 だいだー、かなり変…
ささき春喜@ 僕は・・・ 身体の中から・・・海だ!海だ!!という…
kazesan@ Re:感謝です mackyさん 紅茶の時間のことですね。ぼく…
kazesan@ Re:宇宙の約束 masaelさん 何度も何度も泣いて、もう涙…

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