そして今日も日は過ぎる

2004/01/11
XML
 今日も都市伝説についてです。
 今回は本当にあった話として流布している怪談系の都市伝説についてお話したいと思います。
 様々なバージョンがありますが、私が直接聞いたのは二つのバージョン。それぞれ紹介してみましょう。

その1
 数人の若者がある夜ドライブをしている。
 道は曲がりくねっていて視界は悪い。そんな折、トンネルに入って走っていくと、トンネルの出口付近で女性が立っているのに気付いた。
 このままでは轢いてしまう!
 慌てて急ブレーキをかける。
 しかし、女性は忽然と姿を消した。
 不審に思って、車の外を見るが女性はいない。

 先ほどの女性はそれを警告してくれたのだと、車の中で皆で話していると、ふいに声がした。
 「・・・死ねばよかったのに」

その2
 タクシーの運転手が女性を乗せる。
 そのどこか暗い影を背負う女性はぼそぼそと道を指示しはじめた。
 どんどん指示通りに進んでいくと、峠に入る。
 そして女性の指示に従って峠を上っているうちに、運転手は不意に、そのまま直進すると崖から転落する位置に来たことに気付き、慌てて急ブレーキをかける。
 青ざめた表情で助手席を見るが、あの女性はいなかった。
 だが、耳元で声がした。
 「・・・死ねばよかったのに」

 何度か紹介している『 現代奇談 』では、その1の類話としてトンネルは出てこない話を、その2の類話として二人連れの女性のケースなどを紹介されています。

 そしてその全てのオチは『死ねば良かったのに』。
 このオチがなかなか効果を挙げている為、怪談として語り継がれているのだと思います。
 なんとなく私の紹介してるその2は、『タクシーの幽霊』というこれまた有名な怪談系都市伝説を足したバージョンのような気がします。
 まあ、これは良くあることで、話が伝わる過程で細部が変わっていくのは避けられないことだと思います。私が紹介している話も、実際は直接聞いた話から変容しているかもしれません。オチが強烈である為、細部についてはおぼろげにしか覚えていないんですよね(苦笑)。
 いずれにしても、その1系・その2系はもともと別個の話だったのでしょう。これはオチの良さから同時発生的に生じた都市伝説ではないのかと考えています。その1系は『警告』型、その2系は『指示』型として、話の志向性がかなり異なるからです。最初にこの話を作った人が2バージョン用意していたということも考えられますね。

 それにしてもこれらの怪談系都市伝説が本当にあったのだとしたら、この幽霊は失敗ばかりしていることになりますね。いやいや、本当は人を助けたいんだけど、幽霊の矜持(?)として人助けが恥ずかしくて、照れ隠しに一言残しているだけかもしれませんが(笑)。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004/08/21 11:00:12 AM
コメント(0) | コメントを書く
[好奇心は猫をも殺す] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!
剣竜 @ Re:投票義務制の問題点(11/10) ありがとうございます。 随分昔に書いたの…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: