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2005年02月10日
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空港に降りたった瞬間、なんともいえない空気と異様な緊張感が空港内に漂っていた。
入国審査に進む乗客ひとりひとりに空港職員が鋭い眼光を浴びせた。
大阪からたった二時間半でこの上海虹橋空港に着いた。
僕には初めての異国だった。

旅行は好きだが、さほど海外には興味を示さず、また何の知識もなかった。
もし行きたい外国と聞かれたら漠然とギリシャか南極なんて答えたかも知れない。
海外旅行を初めて経験した友人の旅行談義を聞きながら、英語が話せなくても海外に行けるのだと思った。
そう僕は海外に行くなら、ある程度の英語力がなければいけないと勝手に思い込んでいた。
あとから気付くことだが言葉が通じないからこそ味わえる旅もあるものだと…不器用な僕にはかえって言葉が通じない旅のほうが合っているのかも知れない。



中国にいいイメージを持っていたわけでもなく、どちらかと言うと悪いイメージ(トイレが汚い、物がない、ダサい、日本人を憎んでいるなど…の一般的な日本人がアジア諸国に持っているような固定観念)が先行していた。
あまり好きにはなれそうにない国!一回行ったらもう二度と行かないだろうなぁと、ただの海外の足がかり的な感じでしか捉えていなかった。

空港の通路を軍服姿の空港職員の監視の目を浴びながら黙々と歩いた。
少しでも挙動不審な態度を見せたら連行されるのだろうか?あきらかに歓迎ムードではない。
そして入国審査に入った。
入国審査官の顔は僕が今まで見たこともないような無表情な顔つきだった。
そして自分の順番になり少し緊張気味の僕は僕なりに精一杯の笑顔で入国審査官にパスポートを手渡した。
怪訝そうな顔をしながらパスポートの写真と僕の顔を見比べたあと、パスポートにハンコを勢いよく押し、命の次に大切だよと言われたパスポートを投げかえしてきたのだ。
日本に生まれ育ち、ヒトにモノを渡す時は手渡しが原則だと思っていた。
一瞬何が起こったのか要領を得ないまま、入国審査官はとりつくしまもなく。
目も合わさず、手を出口のほうに振るジェスチャーで「後ろが混むから早く行け」と言わんばかりに僕を追い払った。


王(ワン)さんというらしい。軽い挨拶のあと足早にカタコトの日本語で僕らを誘導した。
横断歩道も信号もない交通量の多い空港の道路を手際よく渡っていく。王さんに必死で着いていく。
昔やった道路を横断するゲームウオッチを思いだした。
ガイドの王さんの合図で古びたバンから運転手が出てきた。僕らの荷物を車の中に運んでくれた。小柄で親切そうな人だ。
どちらかというと王さんはカタコトの日本語を話すせいか、どこかの手品師のように怪しい存在に見えてならなかった。


前方の車をカーチェイスばりに追い抜いていく。
乱暴な運転で車酔いになりそうな気分のなかで、
王さんはたんたんといろんな説明をしてくれた。

さっきの道路を渡る話だ。
「日本の道路は歩行者優先だそうですが、中国では何が優先だと思いますか?」
と、問いかけてくる。
「自転車かな?」
ありきたりの答えを返す。
すると、
「中国では勇気が優先です。中国ではゆずりあいの精神がないので勇気がないといつまでたっても道路を渡れません」
「・・・・・」

車の窓から空を見上げた。不機嫌な空が僕らを迎えた、えらい所に来てしまった。
それが中国に対する第一印象だった。





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最終更新日  2005年02月10日 11時45分15秒
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