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ビジネス研究会レポート
10年ほど前から、温暖化対策で都市部の緑化を義務づける条例が増え、「屋上 レン タル農園」に関心を持つビルオーナーが増えてきました。
そんな中、06年に「屋上養蜂・銀座ミツバチプロジェクト」がスタートしました。 目的は、「ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系を感じるとともに、採れた ハチミ ツ等を用いて銀座の街との共生を感じること」です。
仕掛け人はパルプ会館の常務取締役(当時)である田中淳夫氏。メンバーは、バ ーの 支配人から演劇プロデューサー、都市プランナー、弁護士、スイーツのパティシ エなど、さ まざまな職業の人たちです。パルプ会館が「貸し会議室」を運営し、さまざ まな勉強会とご 縁があったので、あっという間に20人が集まりました。
「銀座でおいしいハチミツが本当に採れたら面白いよね。うちのビルの屋上を貸し てあげ てもいいかも...」などと話し、氏は自分がやるのではなく、その養蜂家がやっ てくれるもの と思い込んでたのです。
その後、氏は「まさか自分がやることになるとは...」と言いながらも、件(くだん)の 養蜂 家・藤原さんの指導を受け、銀座3丁目にある「パルプ会館」の屋上でミツバチ を飼い始 めました。 06年の春のことです。
採れた蜂蜜は、松屋銀座の「萬年堂」と「清月堂」の和菓子となり、バーでカクテ ル、ケー キ屋さんでスイーツとなるなど、色んなお店の人気商品になっています。
当初、銀座でミツバチが生きていけるのかと、誰もが思いましたが、松屋通りのハ ナミズ キ、銀座桜通りのソメイヨシノ、マロニエ通りのマロニエ、並木通りのシナノキ など、街路樹 や花壇、屋上緑地が点在しています。
半径を2kmまで広げれば、聖路加病院の外溝や屋上緑地、浜離宮、日比谷公 園、皇 居と、まとまった緑地もあります。
皇居は在来種の草木を守るために農薬は一切使いません。中央区も、農薬はで きる だけ使わないようにしています。熊が出てくる心配もないし、意外とミツバチにと っては穴 場かもしれません。
さて、今回の銀座ミツバチプロジェクトは、飼育しやすいセイヨウミツバチからス タートし ました。
ミツバチの寿命は、女王バチで3年~5年、雄バチは約1ケ月、働きバチは越冬 期は5 ヶ月ですが、蜜を集める忙しい時期は15日程度と、とても短い一生です。で すから、生き ている間に精一杯働くのです。
それでも一匹のミツバチが生涯に集める蜜は、僅かティースプーンに半分くらいだ そうで す。
銀座ミツバチプロジェクトからは横浜、自由が丘、品川区の中延商店街、多摩セ ンター 等、多くのミツバチプロジェクトが拡がって行きました。
そして、発祥地である銀座においては、巣箱のある屋上から、緑らしい緑は全く見 えな いにも関わらず、初年度に採れたハチミツは150kgもありました。
このように、思いのほか自然に恵まれていることが分かり、銀座の人々の意識は 変 わりつつあります。
最近では、銀座のミツバチのために、野菜やハーブを植えるビルが増え、ミツバ チが蜜 を採るための花を植えた「ビヤガーデン」も誕生しています。
さらに、銀座のミツバチによって受粉した近隣の樹木が実をつけ、それを小鳥が 食べに 来るという、「命の連鎖」が回復し、生態系が蘇ってきました。
このように、ミツバチが媒介となって色んなものが結びつき、地産地消の芽が生ま れ、他のプロジェクトとの交流も拡がっています。
これは、今までとは違った角度から、自らのビジネスチャンスや販路を考える上 で、 大きなヒントになるのではないでしょうか。
銀座ミツバチプロジェクト:
http://www.gin-pachi.jp/
ファームエイド銀座2011公式HP:
http://www.farmaidginza.
com/